オータムカップ雑感 〈その他のチーム〉

日本代表、トヨタ自動車以外のチームについて連々と語ってみます。その前に大会全体を通して感じたこと。

 

  • 日本代表選手の負担が大きい

5人制の五輪メンバーは髙田選手、本橋選手など非帯同だった選手がいた一方でトヨタ自動車の3選手は4連戦でチームの核として出場していた。アジアカップ候補メンバーでは根本選手、赤穂選手は土日の試合ではプレータイムをコントロールしての出場だったが、トヨタ自動車の4選手は金曜日にダブルヘッダー。また山本選手、西岡選手は日曜日の試合中に負傷交代したが、治療してすぐに戻ってきた。

このご時世練習試合もあまり組めないだろう。代表選手が多く、チーム全員が揃うことが少ないチームとしては貴重な機会ではあったが、ここまで無理させる必要はあったのか。試合数が少なく1つの負けが命取りとなりかねないので、試合をこなしながら徐々に上げていくということも言ってられない事情は理解するが、疲労や怪我には配慮してほしい。

 

  • オフェンスファールが多い

どの試合を見ていても多い。ディフェンス側がリアクションするとオフェンスファールを取られるといっても過言ではないくらいだった。驚きを通り越して呆れている選手もいた。

これが基準となるのなら選手も見ている側アジャストしなくてはならないが、競技の魅力が削がれるのではないだろうか。

 

  • 各チームの仕上がり差

シャンソン化粧品は早すぎると思うくらい仕上がっていた。東京羽田、アイシンは新HCのカラーが出ていて、開幕が楽しみだ。一方でまだ1ヶ月半あるとはいえ心配になったチームもある(怪我人が多すぎて出場辞退したチームもある)

大会の中でチーム力、個々の能力を総合すると純粋に試合を楽しめたのは日本代表、トヨタ自動車シャンソン化粧品のみだった。開幕までに全チームベリーハードワークで仕上げてほしい。五輪で女子バスケに興味持った方を沼に引きずり込むために笑

 

ではいくつかのチームのことを。

  • アイシン

リバウンドなど球際の強さ、速く攻める意識、全員がペイントアタックをする姿勢など中川HCのチームが作っているチームだと感じるものがあった。酒井選手、遠藤選手を3試合ともスターターで起用し、プレータイムも長かった。中川HCが好むガードとは異なる印象があるが、発展途上にあるオフェンスの基盤を固めるために基本スキルが高い選手を長く起用しているのではないだろうか。 

昨シーズンはほぼチャンスがなかった高卒2年目の山口選手が2試合で長くプレータイムを得るなど育成への意識も見えたが、プレータイム配分は謎なところがあった。リーグ戦では上手いこと…(そこは期待してはダメか)

 

永井選手の成長には眼を見張るものがあった。PGは川井選手が移籍し、新加入の笠置選手と見崎選手の争いが激しくなりそう。

この大会では根本選手のプレータイムをセーブし、また渡邉選手のファールトラブルもあり、若手選手がチャンスを得ていた面もあるが、リーグ戦でも育成する意識を。毎シーズン上位チームとの対戦だと7人くらいでローテーションしている印象だが、引退・移籍で正直なところ年々戦力ダウンしている。そろそろ台頭がないとかつての定位置すら危うい。

 

知花HC・福島アソシエイトコーチの新体制となり、オフェンスではオフボールの動きが活性化された印象。移籍初年度はチームにフィットしきれなかった白選手の高さ・強さも活かせており、Bブロック優勝。最飛躍の予感を漂わせてた。

飯島選手の欠場は残念だったが、ルーキー岡田選手が穴を全く感じさせない活躍ぶり。SFの争いは激しくなりそうだ。

日本代表では不発に終わった平末選手も所属チームで躍動。コントロールするよりもある程度自由を与えた方が活きる選手。岡本選手(ENEOS)や梅木選手(トヨタ自動車)のイメージで使うべきではないか。

そしてインパクトを与えたのが東藤選手!このシュートを決めて、「ショットクロックがどこにあるのが分からなかった」と言ってしまうのだから大物ですよ(笑)五輪を経て凄みが増しました。五輪ではディフェンスでのタスクが多かったが、所属チームではこうしてエースの役割を果たすってもう何と言っていいやら。これで20歳って末恐ろしいです(・。・)

 

主力だった2選手が引退、鶴見選手は今大会欠場した中で谷村選手の頼もしさを感じた。選手の入れ替わりはあったもののコンセプトは変わらず、谷村選手・マレム選手のインサイドを起点に3ptシュート主体に攻めていく。

その中で大卒ルーキー船生選手、2シーズン怪我に悩まされていた高卒3年目の関選手の活躍が光った。船生選手のプレーは実に兄・誠也選手そっくりで見てて魅了される。関選手も幼なじみの東藤選手がスターダムにのし上がっているだけに負けていられない!

 

  • 東京羽田

萩原HCが就任し、各選手の特長が活きている印象。ガードは全員がボールを運ぶ・ゲームを作ることを意識させているのだろうか。ボールも人も流動性が高く、推進力もあった。その中で一際輝いていたのが澁谷選手。水を運ぶ選手とでも言うべきか。オフボールでよく動き、ボールプッシュもして、3ptシュートもスパスパ決めて。前から好きな選手だったが、さらに好きになりましたねハイ(笑)

正統派PGの軸丸選手、スピードで切り裂く津村選手、ユーティリティな澁谷選手、鷹のはし選手、ここに本橋選手ってなかなか魅力的ですね〜。昨日の記事通り小笠原選手はアウトサイドでのプレーが増えて、能力を遺憾なく発揮しているし、その小笠原選手とタイムシェアしてる尾崎選手と外に高さ・強さのある選手がいることでインサイドの選手たちはインサイドの仕事に専念できていて、ディフェンス、リバウンドも良化している。

40分の中での波を少なくすることが課題か。

[https://twitter.com/BASKETLIVE_JP/status/1433672317867986944:embed#🏀 #Wリーグ オータムカップ2021 in 高崎【試合終了】#山梨QB 82-93 #東京羽田2018-19ルーキーオブザイヤーの #鷹のはし公歌 2年目の #軸丸ひかる らの活躍で東京羽田が山梨QBに勝利し準決勝進… https://t.co/KdqPtNJHNJ

 

コート上の選手もベンチの選手もコーチも活気がないのが気になった。マルコビッチHCはまだ合流しておらず、ヴクサノビッチアソシエイトHCもセルビア代表のACを務めていたため、合流から日は浅いだろうが、彼女らと日本人コーチングスタッフの連携がよろしくないのかなと思ったりしてしまう。

 

この他中村華祈選手(新潟)、今村優花選手(鶴屋百貨店)の活躍も目立っていた模様。近日中にチェックしたいと思う。

 

最後にこの大会の今後について。

一昨年まではサマーキャンプとして開幕3ヶ月前に開催されていた。入場無料で良くも悪くも緩い雰囲気、全チーム参加の合同イベントのようなもので、試合は試す・色んな選手を使うことに主眼が置かれていたが、1ヶ月半前に開催される真剣勝負感あるプレシーズン大会になった。両ブロックの決勝戦は120%真剣勝負で、ともに優勝したチームが歓喜し、サマーキャンプでは見たことがない光景だった。
毎シーズン10月頭に開幕するBリーグプレシーズンマッチが始まるのは早くても8月末から。今後もこの形式は続けてほしい。1〜2週ズラして東西2ヶ所で開催してもらえるとなお良い。さらに欲を言えば東西の上位チーム同士でタイトルを争ったり、大学や高校の強豪校にオープン参加してもらったりするともっと盛り上がる。

オータムカップ雑感 〈トヨタ自動車〉

9選手で挑んだ日本代表戦は完敗。チームとしてチグハグだった。翌日は日本代表の試合を終えた4選手が即合流し夕方の試合に出場。Wリーグ勢との対戦はいずれもワンポゼッション差ではあったが、このチームのポテンシャルを見せて、Aグループ優勝という結果を出した。

 

オータムカップの3試合を振り返るととにかく選手層が厚い(今さら)コート上の5人は攻守で常に足が動いており、速く攻めて速く止める。オールコートプレスがディフェンスの基本形かと思うくらい前から当たる。時にビッグラインナップ、時に全員ガードと型は様々なので、相手としては溜まったもんじゃないだろう。これらが可能なのも選手層が厚い故だが、その中で誰一人個性が死んでないのもこのチームの凄みではないか。

山形銀行戦の前半はツープラトンを基本に戦っていたが、連携が強化されて、チームケミストリーが高まればリーグ戦でも使える策だと思う。Bリーグ渋谷がやっていたときはロスターの能力差やシーズンの試合数が多いことなどから機能していない印象があるが、Wリーグの試合数とトヨタ自動車ロスターの能力値を考えると夢が広がりますね!

 

ここからは選手個々の短評

 

  • #0 馬瓜(エ)

五輪後TV番組出演が続き、コンディションは良くなかったか。随所に持ち味は発揮。日本代表戦での姉妹マッチアップは見応えがあった。パリ五輪では姉妹で5人制代表に選ばれてほしい。

 

  • #2 長岡

インサイドで軸となるべき選手。当然コンディションは万全ではなかっただろうが、必要な仕事を果たしていた。三菱電機戦での西岡選手とのマッチアップは迫力満点だった。

 

  • #4 川井

ピュアセンターが居ない時間帯も多いチームにおいてパスセンスが活きていた。アウトサイドシュートにも向上の跡。ボール運びの部分では苦労している様子。

 

  • #8 佐藤

銀河系軍団の中でも一番選手層が厚いポジション。人一倍ハードワークし、3ptシュートも積極的に放っていたが、このチームの中で立ち位置を確保するためには何か武器が欲しい。

 

  • #12 三好

トヨタ自動車の中で五輪を経て一番変わった、というか解き放たれたと思える選手。試合を楽しんでいる様子が感じ取れる。気持ちよくシュートを放っているのが印象的だった。このままシーズンイン出来れば昨シーズンのようにシュートで苦しむことはないだろう。

 

  • #14 平下

U19W杯に出場し、帰国後の2週間隔離明け直後でチームには帯同するも4試合とも出番はなし。U19ではエースとして貴重な経験を積んだはず。リーグ戦での爆発に期待したい。

 

  • #18 宮下

今季移籍加入の3選手の中では一番苦しんでいる様子。力強いペイントアタックは何度か見せていたが、もっとガンガン仕掛けてシュートも打っていかないと長岡選手、ステファニー選手ら個性派の中では埋没してしまう。

 

  • #19 梅木

アイシンではPGを務めていたが、基本SGで起用されていた。三好選手とタイムシェアしていく形になるだろうが、三好選手より積極果敢にドライブで仕掛けられ、かつアウトサイドからもシュートを放っていく。アイシンでは半ば無謀な仕掛けがターンオーバーに繋がることも多々あり、苛立つ様子も見られたが、フロアバランスが良いトヨタ自動車では彼女の積極性が活きている。スパイスになっている。

 

  • #23 山本

山本選手に関しては前回の記事で述べた通り。得点力、密着マークが持ち味の山本選手とパス、スティールに長け、日本人PGとしてはサイズもある川井選手とのマイマイの争いはシーズン通して楽しみな部分となるだろう。

 

  • #28 シラ

母国セネガルの代表候補合宿に招集され、今大会は欠場。月末に行なわれるアフリカ選手権に是非出場してほしいものだ。

 

  • #32 永田

ビッグラインナップ時に相手PGを徹底的に封じた。最大の特長である豪快なドライブも何度か見せた。3ptシュートにも取り組んでいることはオータムカップでも感じ取れたが、正直なところ入る予感はあまりしない。3ptシュートのレベルアップが出来ないとトヨタ自動車ではプレータイム増は望めないが、そこに拘りすぎると個性を殺してしまう。スペシャル・ワンな魅力はあるが、使い方・育て方が難しい選手でもある。

 

  • #33 馬瓜(ス)

スタメンでも途中からでも、インサイドでもアウトサイドでも仕事ができる。点が取れてアシストも出来て、ディフェンス力も高い。トヨタ自動車でも5人制代表でも重要な選手になっていくだろう。

 

  • #37 平野

佐藤選手とともにWリーグチームとの試合ではDNP。現状フィジカル、ディフェンス力がWリーグ上位チームで通用するレベルには達していない。平野選手が3番手PGとして目処が立てば三好選手、梅木選手がSGポジションに専念でき、普段の練習の質もさらに上がる。

 

  • #45 河村

前回の記事通り、年々プレーの幅を広げている。オータムカップでのパフォーマンスが安定的に出せればインサイドの高さ・強さと速くて鋭いオフェンスが両立でき、無敗優勝も見えてくる(あまりこういうビッグマウスはやめておいたほうがいいのかな 笑)

 

  • モンデーロHC

山形銀行戦ではルーキーの2人も使いながら、連携構築に努めた。Wリーグチームとの

試合では色んなラインナップを試しつつもルーキーは起用せず、後半は勝負に徹する采配を見せた。

入れ替わり立ち替わり選手が抜ける中でチームを仕上げているが(モンデーロHC自身も合流はお盆明けだと思うので、トリノスアソシエイトHC、小笠原ACの力も大きいか)、アジアカップ日本代表候補選手の酷使はいかがなものかと思う…

 

簡潔に言うと開幕楽しみ!優勝はトヨタ自動車

ってことですね(^^)v

 

オータムカップ雑感 〈日本代表〉

9月末から10月頭に開催されるアジアカップに向けて新たなチームを編成している日本代表はトヨタ自動車シャンソン化粧品と強化試合を行なった。

五輪ではACとしてチームを支えた恩塚享氏が暫定的にHCを務めているが、判断力・フィジカル・決定力を求めているようだ。五輪と比べて3ptシュートの重視度は下がっている印象で、メンバー編成からしてもそれは窺える。

 

以下連々と。

  • 山本選手の存在感

3x3代表として名を馳せた山本選手がついに5人制フル代表デビュー。大いに存在感を発揮し、2試合ともスタメンを務めた宮崎選手がコートに立っている時間帯よりオフェンスが機能していたと思う(贔屓目ありなことはご了承ください←)

ステファニー選手、西岡選手とのコンビネーションは圧巻だったが、3x3で磨いた得点力・突破力がある故に周りを活かしきれていない場面も見られた。ここは課題か。

 

  • ステファニー選手、西岡選手のパワフルなプレー

近年の日本代表のインサイドプレーヤーは巧くて3ptシュートも打てる選手が多かったが、愚直に突進していくプレーが何度も見られ、恩塚HCのスタイルを体現していた(日本人同士の試合という点は考慮すべきだが)ただステファニー選手、西岡選手だけでなく、今回のインサイド陣は髙田選手、長岡選手と比べるとボックスアウトなど相手にリバウンドを取らせないプレーに関しては発展途上か。現状だと3年後も髙田選手、渡嘉敷選手が君臨しそうだ。彼女たちをより脅かす存在が出てきてほしい。

 

  • 中田選手のスピード

こちらも他の選手との特長の違いを活かしてアピールに成功。ENEOSで1シーズン鍛え上げられただけあり、とにかく走る。インサイドでのポジション取りも向上している。あとはシュートレンジを広げたいところか。

 

  • 好調なシューター勢

3ptシュートの重視度は下がっているとはいえそれでも日本には必要なもの。五輪から引き続き選ばれている林選手、久々の日本代表戦出場となった根本選手がともに力を発揮した。 五輪後に林選手、宮澤選手が「シューターがプレーの幅を広げなくてはいけない」との旨語っていたが、林選手はドライブ、根本選手はカットインからの得点も決めるなど外だけではないところを見せつけた。

 
  • 安定のメダリスト達

宮崎選手、林選手以外にも赤穂選手、オコエ選手、東藤選手が引き続き選ばれているが、皆貫禄さえ感じさせるプレーを見せた。特にディフェンス面で踏ん張れ、試合を引き締めていた。

 

2試合通して恩塚HCの中での序列が反映されたプレータイム配分だったと思う。永田選手、宮下選手は出番が少なく、平末選手、奥山選手はシャンソン化粧品戦では最後までコートに立つ機会がなかった。アジアカップまでにもう1度合宿があるのではないかと思うが、2〜4選手入れ替えて、サバイバルが必要だろう。

PGはスピードスター宮崎選手、スコアリングガード山本選手ともう1人パスで試合を落ち着かせられるタイプが必要。

SFはいわゆる3&Dタイプを欲しているのだれうか。またピュアセンターも西岡選手のみなのでもう1人試してほしいと思う。

これらを踏まえて私のイチオシ選手!

(まぁほぼ私のというかオータムカップ見た多くの方の共通意見だと思いますがw)

 

PG

ブランクを全く感じさせなかった。それどころか一際輝いていた。本人は今のコンディションを全盛期の60%ほどと語っているが、視野の広さ、トリッキーなパス、クロスオーバーは健在。トヨタ自動車戦では28分出場で8pt・6astの活躍。指導者経験がベンチでも活かせれていて、若手選手とコミュニケーションを取る姿が何度も見られた。

本人に代表へのモチベーションがあるのかが気になるところで、また選手兼高校のACなので高校側との調整も必要だろう。クリアしなければならない点はあるが、オータムカップでの活躍を見ると代表入りを願わずにはいられない。

 

アグレッシブなディフェンスでチームにエナジーを注入。オフェンスでは堅実なプレーに徹するこれぞPGな選手だが、勝負所でのアシストや3ptシュートが光る。代表で正PGとなると難しいかもしれないが、ベンチに控えていたらHCとしても他のPGの選手としても頼もしいことこの上ないだろう。

 

SF

  • 小笠原美奈(東京羽田)

萩原HCが就任し、オータムカップでは昨シーズンよりアウトサイドでのプレーが増え、まさに3&Dな働きぶりだった。コートネームのトビはリバウンドに飛びついてほしいという願いからつけられたそうだが、そういうプレーだけでなく、スティール、アシストなどよりオールラウンドな選手に進化している。現時点ではポスト宮澤の一番手ではないだろうか。今回ピックアップした中で最も招集してほしい選手。

 

あらゆるオフェンス能力が高いWリーグのドンチッチ。大学でもシャンソン化粧品でもエースとして活躍しており、今から代表招集してアジアカップで機能するかとなると難しい面があるのも否定できないところ。3年後のエース候補だとは思うし、華があるというか華しかない選手なので、代表で活躍したら絶対世間一般の人気を集めると思う。

 

C

日本のセンタープレーヤーの中では幅があり、3ptシュートも得意とするなどプレーエリアも広い。なぜこの選手が代表に定着できないのかが不思議でならないが、性格的に優しすぎるのだろうか。代表ではどうも遠慮気味で自分を出せていない。また前所属のシャンソン化粧品時代含め毎試合フルタイムに近いくらい出場する選手で、途中出場・計15分前後の代表にはフィット出来なかった面はあるのかもしれない。今なら若い選手が多く、彼女自身の調子も良さそうなので、再チャンスを与える価値は十二分にある。

 

トヨタ自動車移籍後プレーの幅を広げているが、キャプテンに就任した今シーズンはさらに進化。昨シーズンはプレーオフ含めた23試合で2本しか放っていない3ptシュートを今回の4試合では毎試合1本ずつ放ち、うち3本を成功させている。またインサイドにオールラウンダーが多いトヨタ自動車でクイックネスが鍛えられ、インサイドにダイブしての得点も増えるなどシャンソン化粧品時代にチームメイトだった谷村選手のプレースタイルに近づいている感もある。

2018年春以降はフル代表から遠ざかっているが、トヨタ自動車移籍後は怪我の再発もしておらず、フル代表でも期待したい選手だ。

 

  • 三間瑠依(アイシン)

この選手こそまさに私のイチオシです!東地区チームのファンの皆さんはほぼ知らないと思います…

恵まれた体格を有し、小回りも効くセンタープレーヤー。昨シーズンアイシンで実質HCを務めた桜木ジェイアール氏の指導の下で徐々にプレータイムが増えて、才能が開花した。前が開けば臆せず3ptシュートも放っていく。今シーズンはさらに身体が引き締まり、完全覚醒への期待が高まっている(私の中で 笑)スプリント力が上がれば代表入りどころかポスト髙田まであり得る選手なので、是非注目してください!!

中川HCと清水トレーナーに懸かるところは大きいですが、ただ彼女を育てるだけだと来シーズンよそに引っこ抜かれるので(さすがにトヨタ自動車はないと思うがw)、チームも最低プレーオフには進む必要ありですね!

 

シャンソン化粧品在籍歴ありな選手ばかりになってしまったが、それだけ良い選手を獲り育てているということ。

 

まぁ追加招集や入れ替えがあるのかは分からないですが、これだけ良い選手がいるってことを知ってもらえればと。

(オータムカップで仕上がりの良さを披露したシャンソン化粧品から誰も代表に選ばれないのは困るので1人は追加招集してもらわないといかんです)

日常を世界基準にするために必要なこと

日本バスケは東京五輪で終わるわけではない。女子で考えると9月末〜10月頭にかけてアジアカップが行なわれ、その後すぐにWリーグが開幕。次の五輪は3年後。PDCAが常に必要である。

 

まずは男子について。

W杯に続き五輪も未勝利に終わった。ここ3年で分かったのは海外組がベストコンディションで臨めるとアジアのトップレベルではあること。Bリーグは試合数が多く、女子のように長期間合宿を行なってチームケミストリーを高めていくやり方は出来ない。仮にBリーグの試合数を減らして同じやり方をしようにも男子代表の土台は海外組で、彼らはシーズン中に行なわれるW杯や五輪の予選には参加できず、本大会時の合流も直前。国内組が日常で個を磨き、代表では短期間でチームを作る。これはどんな名将でも非常に難しいが、海外組には絶対的な能力の高さがある。

となるまずはBリーグが世界基準のリーグになり、海外でプレーする選手が増えることが近道なのかもしれない。しかし現状のBリーグは外国籍枠が多く、特にインサイドプレーヤーの人材不足は深刻。クラッチタイムを制するのも外国籍選手が多く、ガードも含めて日本人選手に勝負強さが身に付かない。インサイドだけでなく、ゲームをコントロールできる司令塔不在も浮き彫りになったが(田中大貴選手は純粋なPGではない)今のBリーグは世界基準の司令塔が育つ環境なのかという疑問もある。

国としてどうレベルアップしていくか、協会とリーグで強化ビジョンにズレがありすぎないか、アンダーカテゴリーとの連携は出来ているか(佐古氏はレバンガ北海道のHCに転身したが…)などなど課題は山積み。東京五輪は開催国枠で出場したが、次回の出場権を掴むことは相当ハードルが高い。

 

続いて女子。

前回の記事でも触れたように少なくともパリ五輪までは世界トップレベルにはいられると思うが、成功した今のやり方で思考停止してしまってはあっという間に飲み込まれる。

↑は女子サッカーの話だが、女子バスケ界にも通ずる内容ばかりで耳が痛くなる。中国は高さだけでなく、速さやシュート力を上げ、年々レベルアップしている。欧州ではベラルーシボスニア・ヘルツェゴビナ、イタリアなど東京五輪に出場していない国が欧州選手権で健闘していた。すぐに追いつき、追い越されてしまう。

Wリーグの現状を考えると世界基準には程遠い。2ガードやウィングにスピードがあるタイプを並べるなどスモールラインナップを敷くチームが多い。得点は速攻からのレイアップシュート、クイックモーション&ボースハンドでの3ptシュート。ディフェンスで奇策を仕掛けるチームは少ない。

しかし五輪でのアメリカとの2試合では普段なら決められそうなシュートがいとも簡単にブロックされた。マンツーマンでディフェンスすると高さで圧倒される。トラップディフェンスは失敗するとインサイドがガラ空きになり、失点しスタミナも消耗する。

各選手が現状を認識し、課題や取り組むべきことを口にしている。

  • フィニッシュのところでブロックされてしまう場面がたくさんあった。工夫が必要(髙田選手)
  • フィニッシュ力、スキル向上(町田選手)
  • フィジカル強化(林選手)
  • アジャストされたときの一人ひとりの判断をもう少し早くできるように(宮澤選手)
  • シューターももう少しドライブができるようにする(宮澤選手)
  • 一人ひとりの目標設定(髙田選手)
  • より嫌がられるようなプレー(林選手)
  • 普段からサイズ、フィジカルがある選手を想定して練習(宮澤選手、赤穂選手)

様々な声が挙がるのも決勝進出した・アメリカと2回対戦できたからこそではあるが、これらを克服していかないとアメリカとの差は詰められない。しかし男子とは違う意味で日常を世界基準にすることの難しいのが今のWリーグ。練習で意識しても試合では勝利のために最善の方法を取らないといけない。怪我も怖い。渡嘉敷選手もあの時ブロックショットにいかなければ怪我は防げたかもしれない。

 

  • 海外移籍しやすい風土作り(語学教育なども含めて)
  • 移籍先で契約解除されてもシーズン途中でWリーグに登録できるルール策定
  • 外国籍枠導入
  • レンタル移籍制度
  • 育成リーグ創設(代表活動期間など)
  • 2部制導入
  • 試合数増
  • ホームゲーム増

普段からアメリカやフランスなどの代表クラスの選手と練習をともにし、試合でマッチアップしていたら、それはまさゆ日常が世界基準。もし海外移籍して途中で契約カットされてしまったとしてもそれを国内にすぐ還元出来ればプラスはある。2部制導入、試合数増で拮抗した試合を増やせればレベルアップ、ボトムアップも出来る。高卒選手が減ってきた近年だが、数少ない高卒も伸び悩んでいる感が否めない。レンタル移籍や育成リーグにより伸び悩む若手の実戦の場を増やしたい。リーグ主管や地方協会主催ではなくホームゲームを増やして、ファンに見られてる・叱咤激励されてる意識が強くなれば自ずと試合に向かう姿勢も変わってくる。

これらにより高卒、大卒、五輪メンバーから漏れた中堅・ベテランが切磋琢磨し、競争原理をより働かせたい。

また男子のように二重国籍選手など大型選手の発掘も必要か。そのためには男女でそれぞれに技術委員長が必要か。宮澤選手が言っていたアジャストされた時の判断力に関してはコンボガードタイプの選手の育成の必要性を痛感。

 

 

幸い海外挑戦支援やミックスの選手の発掘、Wリーグ活性化を検討していくことは明言された。今すぐ出来ることばかりではないし、様々な利害関係が発生するだろうが、言うだけでなく真剣に検討し、やれることはすぐに始めてほしいと切に願っている。

Tokyo2020 5人制女子日本代表 笑顔の銀メダル

🇯🇵日本75-90アメリカ🇺🇸

東頭氏のこの一連のツイートが全てではないだろうか。ワンハンドとか関係ないです。決勝Tでアメリカと対戦したオーストラリア、セルビアよりも点差は開いていない。後半はイージーシュートを落としたり、オールコートプレスに屈する場面があったのは日本のしつこくて粘っこくて嫌らしいバスケで体力を削がれていたからだろう。とはいえ明確な差があり、それは日本含む他国の伸び代だと思う。

 

高さでは圧倒的な差がある日本とアメリカ。#15グライナー選手中心にインサイドを徹底して突き、得点を重ねたが、それよりも目立ったのは堅固なディフェンス。宮澤選手、林選手に3ptシュートを打たせないシフトを徹底していた。一瞬のズレが出来てもブロックショット、ドライブでペイントエリアを崩そうにもブロックショット。単独でのドライブインミドルシュートへ誘導されていた。

アメリカのディフェンスをまず褒めるべきで、ワンハンド論争が今巻き起こる意味は全く分からない。あえて言うならば3ptシュート4/5と当たっていた本橋選手、少ないプレータイムながら仕留めてくる三好選手らをもう少し起用しても良かったのでは?というところか。2Qの後半で髙田選手、赤穂選手を休ませるなど準決勝までよりはタイムシェアしていく意図は感じたが、宮澤選手、林選手の3ptシュートで勝ってきた今大会。頼りたくなるのは人として当然かもしれない。

 

日本の得点が伸びない中でアメリカはインサイドだけでなく、3ptシュート、ペリメーター付近からのシュートをオープンになると確実に沈めた。またオフェンスリバウンドに掛ける人数が多い日本の特徴を読み、アウトナンバーの状況でイージーバスケットも増えた。

後半は日本に合わせのプレーが増えるなどかきまわし、ベテランが多いアメリカはやや息切れした感があったが、ディフェンスを怠らず、3ptが決まらない(試合終了時で8/31)。自分たちのストロングポイントを強調するだけでなく、日本対策も完璧だったアメリカが異次元すぎた。

そんな相手にも最後まで戦い続け、決勝Tではプレータイムに恵まれなかった宮崎選手も終盤でバスケット・カウントを獲得するなど全選手が大会の中で特長を示すことができた。そして悔しさはありつつも笑顔で大会を終えられたことが本当に良かったと思う。

 

詳しくは別記事で書きたいが、次の五輪までは世界トップレベルでいられるチームだと思う。アメリカとの差を縮めるには・勝つには「日常を世界基準に」、言葉だけでなく協会・リーグ・チームが一体となって取り組んでいかなくてはならない。

イージーレイアップを落とす・ブロックショットされる、シュートのバリエーションが少ない課題はある。↑の本橋選手のドライブからのリバースレイアップ、林選手の利き手とは反対の左でのフローター気味のシュートなどスキルを身につけるには海外移籍しやすい・出戻りしやすい仕組みを作る、Wリーグに外国籍導入、拮抗した試合を増やす仕組み≠2部制導入などを議論し、やれることはすぐに始めてほしい。銀メダル獲得は賞賛するが、継続出来なければメダルの輝きは色褪せていくばかりだ。 

日本のポテンシャルを示すことが出来た東京五輪だったが、だからこそもっと強くなってほしいし、女子バスケに憧れる少女が増えてほしい。

Tokyo2020 5人制女子日本代表 準決勝 ×フランス

3x3女子、直前に行われていたサッカー男子は予選リーグで対戦し勝利した相手にリベンジされた。それだけ難しいことであるが、予選リーグのとき以上に質の高いバスケを披露して、快勝した。

そもそも日本が相手とのフィジカルコンタクトを伴う団体球技でメダルを取ることが至難の業であることは↓を見ていただければ分かるだろう。かつてはお家芸だったバレーボールですら今世紀に入ってからロンドン大会で女子が銅メダルを取るに留まっている。
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バスケットボールはゴールが上にあるスポーツ、当然背が高い選手を多く揃えた方が有利だ。男子日本代表では大型選手を発掘する動きがここ数年進んでいる。

世界的に見ると女子は男子以上にインサイドの大型プレーヤーを起点として戦い方を選ぶチームが多い。その中でもベルギー#55アレマン選手、フランス#23ジョアネス選手など速くて強くてシュート力の高い選手はおり、世界的な傾向と真逆をいく日本は正直見た目には強く見えない。私は宮澤選手ら6月の強化試合でコンディションが整っていなかった選手がトップパフォーマンスを取り戻しても良くて銅メダルかなと思ってました。

 

…はい、申し訳ございませんでした。宮澤選手らを外して、結果出なかったら「実績・経験豊富な選手が足りなかった」と言われるだけですからね。そりゃ3人も万全ではない選手がいるのはいくらなんでもキツいとは思いましたけど、信じ抜いたホーバスHCと選手たちの身体を整えたスタッフの皆さんの努力も讃えたいです。

 

さて試合を振り返ってみましょう。

🇯🇵日本87-71フランス🇫🇷

オフェンスの形は良いものの、3ptシュートを警戒され、得点が伸びなかった日本。リバウンドでの粘り強さ、帰陣は準々決勝から改善されて、フランスも得点が伸びない。クロスゲームだったが、日本はセカンドユニットが機能せず、8点ビハインドで2Qへ。

スターターに戻すと1分半でフランスを捉えて、フランスがすかさずタイムアウトを取ったが、ここからは日本がじわじわと流れを手繰り寄せた。肩の疲労が感じられた宮澤選手が2本の3pt、この日はアテンプトが少なかった林選手も決めた。町田選手は3x3代表篠崎選手のごとく鋭く・強いドライブからのリバースレイアップ。これぞ日本なオフェンスで突き放して、41-34で折り返し。

2Qはファールトラブルの髙田選手→オコエ選手以外はほぼ交代なし、3Qも継続。気力、根性、エナジーの勝負だろうが、赤穂選手の連続得点がこの試合のターニングポイントだったか。3ptシュートはどちらかというと捨てても良い選手がライン一歩手前から決めた。ファストブレイクからファールを貰い、FTを2本ともきっちり決めた。宮澤選手、林選手は前半同様チャンスを確実に決めて、さらにはこちらも3ptシュートはあまり得意ではない町田選手がディープスリー!髙田選手が3ファールとなってもオコエ選手がカバー。フランスは戦意喪失してしまったように見えた。そりゃそうなるのも致し方ない。心折られますよ、あの日本は…戦術も決定力も気力も上回られたのだから…

4Qは引き続きオコエ選手、さらには馬瓜選手、東藤選手も起用し、決勝を見据えたか。ここで存在感を発揮したのが東藤選手。ジョアネス選手をシャットアウトし、反撃の芽を摘み取った。ホーバスHCはセカンドユニットでも流れを持続できていることを確認すると宮崎選手、三好選手もコートに送り込んだ。準々決勝で出番がなかった彼女たちも起用に応えた。宮崎選手がスピード、クイックネスを活かしたドライブで得点すると、三好選手はルーズボール争いで気迫を見せ、相手は気持ちで負けたのかアンスポーツマンライクファウルをしてしまった。そして代名詞のディープスリー!

20点以上差がつき、事実上勝敗が決した残り3分からはアピールしたい・点が取りたい思いが先行しすぎたのか凡ミスが続いた。リバウンド、帰陣も疎かになった。本橋選手を投入して、引き締めたが、それでもまだホーバスHCの檄が飛ぶ。

 

全員出場・全員得点、出場時間の長い・短いに関わらず全員が特長を発揮できたと思うが、MVPは赤穂選手(町田選手は殿堂入りですw)赤穂選手ってどこまで成長していくのだろうか。そのうちダンクも出来るようになるかもしれないなw秋からのこと考えるとコワイですね((((;゚Д゚))))

コワイと言えば町田選手と宮澤選手が同じチームってのもとんでもないこと。毎試合のように15アシストとかするのにターンオーバーめちゃめちゃ少ない町田選手と五輪初戦ですら痛めてる肩をかばうようにシュートしてたのにエースの地位を取り戻した宮澤選手のコンビが日常的に見られるんですよ?!競技力もだが、めちゃめちゃファン増やしそうじゃないですか??

でも昨シーズンの覇者は我チームだし、友達感覚でツイートしちゃう広報も愛おしいし(←)、リーグの会長は1ファンのごとく歓喜してるし、Wリーグきますね!きちゃいますね!チケット取れなくなりますね😂

最高の笑顔で五輪を終えてほしいが、バスケットボールという競技で日本が決勝進出すること自体が偉業。選手たちは楽しんでほしい。悔いなく、全力で戦ってほしい。

 

Tokyo2020 5人制女子日本代表 準々決勝 ×ベルギー

🇯🇵日本86-85🇧🇪

1Qは良いスタートだったと思う。ベルギーが3ptシュートで先制しても宮澤選手がすぐにやり返した。

アメリカ戦後半、ナイジェリア戦でのディフェンス面の修正は出来ていたし、3ptシュートありきにならず、不動神・髙田選手、試合毎に成長が目に見える赤穂選手、FIBAも大好きな町田選手が果敢にドライブで仕掛けて点をとったりファールをもらったりして、的を絞らせなかった。オフェンスが停滞すると見るやすかさず本橋選手、東藤選手、長岡選手を投入して、流れを変え、さらにオコエ選手、エブリン選手が加勢。しかし世界ベスト4を賭けた戦いは甘いもんではない。3x3でも痛感させられたことだ。

2Q残り7分以降は1Qでも顕在化していた問題の傷口が広がり、ベルギーが攻め立てた。オフェンスリバウンドを取りかけてもベルギーの手がもう一伸びしてきて確保し切れなかった。シュートでオフェンスを終えられているのは良かったが、帰陣が遅く、ファストブレイクでの失点が増えた。ベルギーのオフェンスを遅らせてもボックスアウトが不徹底、ダブルチームでプレッシングしても強度不足、カバーに行き過ぎなこともあって、かいくぐられる。悪循環だった。疲労なのか緊張なのか前がかりになりすぎていたのかは分からないが、日本の最大の強みだと思っている遂行力がなかった。

そうこうしているうちに絶対的エースの#11ミースマン選手だけでなく、今大会調子が上がっていなかった(らしい)#5キム・メスタフ選手を乗せてしまい、ベルギーの流れに。タイムアウト後1Q同様本橋選手らを投入し、何とか耐えて1点ビハインドでの折り返し。見ている側としてはもっとビハインドがある感覚だったが、3Q立ち上がりでその感覚が現実のスコアになっていった。

流れが悪くなっても選手交代はほぼなく、本橋選手が出て得点をとってもすぐにスターターの5人に戻して…‘継投’が上手くないホーバスHCが戻ってきてしまった。#55アレマン選手に決められて、9点差で4Q。と思っていたところで町田選手のプレーがチームを勇気づけたように思う。クロックギリギリのところでシュートファールを獲得。さらにはFTも2本とも決めた。この試合は1Qラストで本橋選手がアレマン選手を止めて失点を防いだ場面など巧みに戦えていたと思う。

そして最大13点あったビハインドを宮澤選手、髙田選手の得点で残り6分ほどでベルギーを捉えた。ただこの時点では個人的には危ういなと思っていた。

スターターと心中、流れを変えるようなプレーもない、そもそもあの重い展開を打開できる選手がこの12人の中にいるのかと…3月のWリーグプレーオフ以降プレータイムを制限していた宮澤選手は3ptシュートのアテンプトも増え、疲労困憊だった。

 

その流れを打ち破ったのはまたしても町田選手。相手がアンスポーツマンライクファウルで止めざるを得なかった鋭い突破、髙田選手へのノールックパス、そして決勝点となる林選手へのアシスト。痺れる場面で日本の小さな巨人(世界最小最強PGと竹下佳江さんのパクリを使いたかったが、プエルトリコの控えPGの方が小さいらしいのでw)がゲームを支配した。

 

ベルギーのラストオフェンスは1点でも40分での負けはなくなるわけで、ミースマン選手ありきではなく、選択肢を増やすセットに出来なかったか。オーバータイムを避けたいから2点を取れる可能性が一番高いセットを選んだのだろう。ミースマン選手のシュートが外れてもセカンドチャンスを押し込める、ルーズボール争いでファールをもらえる可能性も考えてのセレクションだろうが、あと1秒早く・あと1歩前で打てれば日本はやられていたかもしれない。それだけ日本のディフェンスが良かったということだ。

ただオーバータイムを避けたかったのは宮澤選手、林選手に綺麗な形で打たせられておらず疲労も顕著で、無観客のため声援の後押しも得られない日本だったような気がしてならない。これもベルギーにとっては粘っこくていやらしい相手だった故だろう。なんせアメリカの選手ですら試合後に「No more JAPAN」と思わず漏らしたくらいだから。

 

しかしバスケって複雑で過酷で心を削られるスポーツだなと実感させられた試合。

このスタッツでベルギーは負けた……

 

この6選手皆MVP級の働きをしたと思うが、確かに日本の強みである。個人的には先述のとおりクラッチタイムでゲームを支配した小さな巨人に一票です!!

 

準決勝の相手はフランスに決まった。トヨタ自動車の指揮官でもあるモンデーロHC率いるスペインとの対戦を期待していたが、エースの#7トレンス選手の不調が痛かった。#12カソルラ選手が三好選手を思わせる活躍ぶりで逆転勝利の可能性も感じさせたが、2Qの失速が響き、フランスが勝ち上がった。

フランスとは今大会初戦に続く再戦。リベンジに燃えていることだろう。強豪国ではあるが、欧州選手権・五輪ではスペイン、セルビアの後塵を拝しているだけに力を示したい気持ちも強いはず。しかし予選に続くフランスとの再戦で敗退した3x3代表のリベンジを日本の誰しもが期待している。

そのためには中1日での試合でもあるだけにベンチメンバーの活躍が欠かせない。宮崎選手のスピードを活かせる場面は必ずある。林選手、宮澤選手包囲網はさらに分厚くなるので、シューターでも特徴が異なる三好選手の力も必要だ。

12人でゴン攻めしよう!!!