Wリーグ2021-22 第16週 デンソー×ENEOS

ENEOS野戦病院と化していた昨シーズンのリーグセミファイナル、デンソーは2試合とも優位に試合を進めたが連敗。連勝してもおかしくない内容だっただけに歯がゆさが残る終戦だった。今シーズンの皇后杯決勝、1Qは互角の展開だったが、2Q以降突き離されて、3Qで決着はついてしまった。

そして今回の対戦でもデンソーENEOSの壁を越えられなかった。前週の試合でENEOS岡本選手、デンソー近藤選手が負傷。診断の結果2選手とも膝の大怪我で戦線離脱。またENEOS林選手、デンソー髙橋選手が欠場。両チームともベストメンバーではなかったが、ダメージが大きいのは紛れもなくENEOSデンソーはアーリーエントリーのクンバ選手、木村選手がフィットしてきており、皇后杯からの上積みもあったが、それでもスコア以上の完敗だった。1回勝てば殻を破れそうだが、その殻はものすごく分厚く固い。

まるでベテランPGのような冷静沈着なプレーでチームに落ち着きをもたらした木村選手は高評価だが、ENEOS相手だとどうもコーチも選手も萎縮してしまっている気がする。戦術の引き出しは少なく、髙田選手とクンバ選手を同時起用しても活かしきれていなかった。オフェンスは単調で、ディフェンスではENEOSが前週も多用していたハイロープレーを止められなかった。ENEOSはスタメン起用された奥山選手がキャリアハイの得点数を記録。

前週は攻守で穴になっていた梅沢選手がインサイドを制圧。PGの中では一番若い星選手の堅実なプレーも光った。一方のデンソーはスターター頼みになってしまった。リードして2Qを終えたものの3QはアジャストしたENEOSが一気攻勢。3Q終了間際に木村選手がロングブザービーターを決め、望みを繋いだが、勢いある中でシュートをことごとく落とし、リバウンドも確保出来ず。ENEOSが流れを取り戻して押し切った。

 

ENEOSがものすごく良かったわけではない。コンディションが万全ではなさそうな渡嘉敷選手が40分フル出場するなど苦しい状態でもある。game2はトヨタ自動車戦でいつも見せる堅固なディフェンスと研ぎ澄まされた集中力を見せてほしい、と思っていたら無念の中止。

一連の試合中止や不成立に関しては言いたいことがたくさんあります(笑)今週末の開催予定が確定したら当ブログを更新いたします。

Wリーグ2021-22 第16週 三菱電機×トヨタ自動車

三菱電機は渡邉選手、小菅選手、根本選手が欠場。この時点で正直なところ結果は見えていたが、game1のトヨタ自動車三菱電機の若手選手の気迫に押されたか。はたまたシュートをわざと落としてリバウンド力、フィジカル、メンタルのトレーニングをしてるのかは分からないが(笑)、とにかくシュートが入らなかった。データ分析を担当されている松井テクニカルスタッフのインタビュー記事で「ゴール下のシュートを外してタップで打って、また外して取ってフリースローをもらう、というシーンが多くて、そこでオフェンスリバウンドを2回稼ぐ。トヨタ自動車のオフェンスリバウンドは警戒されているが、数字に騙されている」との旨発言されているが、まさにそういうシーンが散見された。実際のところトヨタ自動車のオフェンスリバウンドは脅威で、今シーズンさらに凄みを増している。分かっていても止められず、この試合でもセカンドチャンス、サードチャンスで得点が決まったり、フリースローを獲得していたが、得点が取れているからそれで良しでは駄目なのです!

山本選手、ステファニー選手は無双状態で特にステファニー選手に関してはもう国内での役割は終えている・来シーズンは海外挑戦してほしいと思うレベルに達しているが、ベンチメンバーは物足りない。安定した地位を捨てて銀河系軍団への移籍を決意した時のことを思い出してほしい。強豪チームで優勝に貢献したい・日本代表に定着して五輪に出たいなどの思いがあったはずだ。

 

game2のトヨタ自動車は相手チームやそのファンを絶望的な気持ちにさせる圧倒的な試合運びを見せた。いつも通りフィジカルごりごりなコンタクトプレーの連続で相手の心身を削ると、守→攻の切り替えの早さが凄まじく、ポゼッション入れ替わって5秒でオフェンスを完結させるシーンが何度も。ステファニー選手中心にディフェンスリバウンドを取って自ら運べるが多く、三菱電機はハンドラーをピックアップ出来ず、防戦一方。

大量リードの後半もオールコートプレスを仕掛けるなど全く手綱を緩めない。オフェンスの流れが悪いといつも笑顔で楽しそうにプレーするステファニー選手が鬼気迫る表情で先輩選手とコミュニケーションを取っていた。こうしてとことん追求する姿勢が強さの証だろう。その姿に牽引されるように川井選手、平下選手が結果を出した。永田選手もデンソー戦に続いて意図した形から3ptシュートを決めた。特に川井選手が攻めの姿勢を見せ、6astしたことは大きな収穫。あとは宮下選手。トヨタ自動車でのこれまでの試合でも随所に能力の高さは見せているので、ホント気持ちの問題だと思う!やるっきゃない!!

 

2試合通して露呈したこととしてはソハナ選手のファールトラブル。頑張りすぎて不用意なファールをしてしまっている。game2は2ファールで後半に入り、2分ほどでファールアウトとなった。あえて使い続けた部分はあるだろうが、1人で完璧に守ろうとしないこと、ジャッジにアジャストすることは必要だろう。

 

三菱電機は2日間苦しい戦いを強いられたが、スクランブル態勢の中で若手選手は経験を積めたのではないか。見崎選手、永井選手、佐賀選手ら皆闘志メラメラなプレーが見られた。点差が開いても最後まで戦い続けた姿勢には好印象を抱いた。

 

最後に。

三好選手、まさに点取り屋ですね〜!

3pt成功率、FT成功率1位でフィールドゴール成功率は上位5選手で唯一のガード。レギュラーシーズンMVPは決まりでしょう!!

(記者投票なのであの選手とかあの選手かもしれないですが…)

 

 

Wリーグ2021-22 第15週 富士通×ENEOS

game1 富士通●61-80○ENEOS

game2 富士通○72-57●ENEOS

 

game1はHCが代わったか特任コーチでも加わったのかと思うくらい生まれ変わったENEOSが快勝。インサイドありきのオフェンスではなく、渡嘉敷選手が7アシスト。

タイムシェアも出来ており、髙田選手はベンチスタートながらガード3人でプレータイムが一番長く、奥山選手が2Qに3ptシュートを2本、ヤシン選手が2ケタ得点など若手やプレータイムに恵まれなかった選手の活躍が見られた。

f:id:antelopes_7_12_23:20220307215428j:image
f:id:antelopes_7_12_23:20220307215218j:image

このスタイルが続けば二冠達成の可能性が相当高いだろう。

富士通はアウトサイドシュートがショートばかり、後半は息切れ感が見るからに伝わってきたが、この試合への準備期間が1日しかなかったと思われる。致し方なし、その中で奮闘した。町田選手の緩急織り交ぜたドライブは観客を魅了、相手ビッグマンに勇敢に立ち向かう藤本選手のプレーも光った。

準備不足が否めない中で不安はあっただろうが、希望の光が見えた敗戦だった。

 

game2、ENEOSは渡嘉敷選手が38分出場で25pt。宮崎選手も38分出場。何故か今までのENEOSに戻ってしまった。やっぱり女王だなと思った前日から一転…スピードのミスマッチをとことん突かれているのに中田選手ではなく梅沢選手やヤシン選手でツインタワーにこだわる策は理解に苦しむ。岡本選手の負傷状況も気になるところ…

富士通は古巣対戦の宮澤選手が19pt・15rebと獅子奮迅の活躍。3Qで連続得点の内野選手、スタッツ上では目立った活躍はないもののディフェンスで貢献度大の藤本選手も見逃せない。

f:id:antelopes_7_12_23:20220307222051j:image
栗林選手が約2年ぶりに公式戦出場を果たすという明るい材料もあった。f:id:antelopes_7_12_23:20220307222245j:image

個人的にはこの週の富士通はけが人を出すことなく2試合戦い終えられればOKナノではないかと思っていた。ENEOSに1勝出来たことは自信に繋がるだろう。そして選手・スタッフには最大限の敬意を示したい。

 

第15週の4試合を見て思ったのは優勝するのはこの4チームのどこかだろうが、その先はど全く読めないということ。一昨シーズンまではどうせENEOSが…という空気感があったが、game2を見る限りではそのENEOSが一番厳しそうな状況。

セミファイナル、ファイナルは昨シーズン以上に激戦必至。今後中止なく全試合やり遂げられること、そして各チーム怪我人が出ないことを願ってやまない。

 

PS

f:id:antelopes_7_12_23:20220307223543j:image

我がチームもこれくらいホーム感ある会場で戦いたいです(笑)しかもこの写真の左側はENEOSベンチ裏ですよ笑笑

これに勝つためにはみんなでプレーヤータオルを掲げましょう!1,500円と比較的お値打ちだし、TS-CUBICカードがあれば送料もかかりません!選手は自分のタオル掲げてくれてるファンを探して手振ってくれますよ!

是非ともよろしくお願いいたします(決して回し者ではございませんw)

 

Wリーグ2021-22 第15週 トヨタ自動車×デンソー

game1 トヨタ自動車●64-69○デンソー

game2 トヨタ自動車○66-57●デンソー

 

game1はデンソーのランで幕を開けた。ボールがよく回り3ptシュートも決まると、さくら選手がソハナ選手にスクリーンを掛け続けマークのズレを作り出し、トヨタ自動車を揺さぶった。そしてひまわり選手・本川選手がスピードのミスマッチを突いてリードを広げた。トヨタ自動車タイムアウトを取らず選手たちで打開。山本選手の3ptシュートなどで息を吹き返し、逆転して2Qへ。ここからは抜きつ抜かれつの展開が続いたが、前半最後の最後の場面でセルビア軍隊式で鍛えられた(わけではないだろうが鍛錬されている)デンソーのディフェンスが集中力を欠き、同点での折り返し。

 

引き続きどちらのペースとも言えない試合。3Qではトヨタ自動車は宮下、永田選手がフィジカルの強さを活かしてバスケットカウントをもぎ取るなど奮闘。
f:id:antelopes_7_12_23:20220307153524j:image f:id:antelopes_7_12_23:20220307151821j:image 

f:id:antelopes_7_12_23:20220307153336j:image  f:id:antelopes_7_12_23:20220307153648j:image f:id:antelopes_7_12_23:20220307153615j:image

デンソーも髙田選手、ひまわり選手を中心にインサイドを攻め立て、同点で4Qに突入。
f:id:antelopes_7_12_23:20220307153947j:image f:id:antelopes_7_12_23:20220307154029j:image

ここからは殴り合い。いや、守り合い・我慢比べだが、その中で冷静さを保ったデンソーが一枚上手だった。

f:id:antelopes_7_12_23:20220307165721j:image f:id:antelopes_7_12_23:20220307165546j:image 
f:id:antelopes_7_12_23:20220307154257j:image

残り6:32でのタイムアウト。マルコビッチHCはお冠な様子だったが、そこからゾーンディフェンスを敷き錯乱。トヨタ自動車は悪癖が出てしまった。

ターンオーバーが続き、↓のさくら選手が

ティールからの得点で事実上決した。


f:id:antelopes_7_12_23:20220307184141j:image
f:id:antelopes_7_12_23:20220308185124j:image

40分トータルで見るとトヨタ自動車が(トヨタ紡織戦game2のように)極端に悪いわけではなかった。3ptシュートアテンプトを18本に抑えて三好選手、山本選手にリズムを作らせずインサイドでの肉弾戦でイージーシュートを打たせなかった(2ptシュート成功率はわずか25%)デンソーのディフェンスが上回ったと言えるだろう。

 

game2はトヨタ自動車が立ち上がりからエナジー全開なディフェンスを見せた。攻→守の切り替えが速く、game1で見られたトップの位置でオープンの選手を作ってしまうこともなく、打たせない・インサイドに入れさせないエグいディフェンス。デンソーは為す術なく、単騎攻めが続いた。どんなスポーツでも攻守一体、良い守備が良い攻撃を作るなどと言われるが、この日のトヨタ自動車もまさにそうで、オフェンスでもステファニー選手、ソハナ選手が華麗なアシストを連発するなどノリノリ。2Q半ばで三好選手がディープすぎる3ptシュートを決めたところで私はトヨタ自動車の勝利を確信した(結果はそんなに甘くはなかったが笑、game1では良い流れの中でもそう思えることがなかった)

デンソー・マルコビッチHCもそう思ったのか近藤選手の負傷交代も影響したのかは分からないが、先を見据えた采配に打って出た。木村選手、クンバ選手を投入し、徹底的にハイ・ロープレーを仕掛けてきた。この2選手は同学年で大学ではしのぎを削ってきた間柄。また木村選手の妹はクンバ選手と同じ拓殖大学に在学しており、特徴等聞いていたのかこれも分からないが(笑)、息の合ったプレーを見せていた。と感じたが、河村選手の絶妙なポジショニングと山本選手(or川井選手)のカバーリングで阻止。とことんうまくいかなかったデンソーだが、木村選手の気迫溢れるプレーで後半に望みを繋いだ。気持ちよく3ptシュートが決まるとドライブの力強さも3割増しになる三好選手の突破を止めようと身を挺したディフェンスを見せたかと思えば、大学の先輩でもある7,8センチ大きな永田選手相手に1on1を仕掛けてのターンシュート。41-18と点差は開いていたが、勝利を確信した私の気持ちは下がるとと共にデンソーは後半何かやってくるぞと思わされた。

案の定何かやってきたデンソーの前に攻めあぐねたトヨタ自動車。山本選手に対して髙橋選手がフェイスガードで翻弄。フィジカルモンスターにしてスピード、クイックネスも抜群な山本選手があれだけ守られるとリズムが狂うのは必然か。そして今度はディフェンスで流れを作ったデンソーが猛反撃。ひまわり選手の3ptシュートが連続で決まるなど前半終了時に23点あった差が13点まで縮まり、4Qを迎えた。

4Qはトヨタ自動車が点差を考え時間を上手く使ってゲームクロージングしていってるように見えたが、またまた悪癖が見られる場面も。その中でエブリン選手のドライブインルーズボールがステファニー選手の前にこぼれて、ショットクロックギリギリでの3ptシュートが決まった。デンソータイムアウト明けにも三好選手の3ptシュートが決まり、ジ・エンド。

 

2Q半ばまでの展開を考えると正月のENEOS戦のように大差で勝っても不思議ではなかったが、最終9点差まで縮めたのはデンソーのしぶとさ。game2では敗れはしたもののデンソー強し!と思わされる2試合だった。近藤選手の負傷は気掛かりだが、2試合で13選手がコートに立ち、大一番を経験できたことは収穫。特に髙橋選手のディフェンス力はプレーオフでも大きな武器となるだろう。控えPGにあれだけエネルギッシュにプレーできる選手がいると稲井選手、本川選手は常に100%を出せる。

 

トヨタ自動車はスターターとベンチメンバーの戦術理解度に差が開き始めて、選手層厚いようで厚くない状態になっているのが懸念材料。長岡選手が欠場、game1では梅木選手が負傷、ここ数年連戦で星を分け合っている相手に対して連敗は許されないなど考慮すべき点はある。また敗れたトヨタ紡織とのgame2ではオフェンスで穴となっていたソハナ選手のレベルアップが著しい。

f:id:antelopes_7_12_23:20220307180928j:image
ハイポストからドライブで猛突進、合わせのパス、元々得意としていたショートコーナーからのシュートはさらに磨きがかかっている。ディフェンスではスピード対応にはさすがに脆さを見せるものの地上戦では絶対負けない(クンバ選手もマルコビッチHCの指導でソハナ選手のように進化を遂げるかもと考えると恐ろしいです……)

オリンピアンに加えて高い身体能力とそれだけに頼らない強力ビッグマンがいたら固定したくなるモンデーロHCの気持ちもめちゃめちゃ分かるんですよ…ただ7〜8人でのローテーションではプレーオフを勝ち抜くのは難しくて、それはトリノスアソシエイトHCが率いていた18-19シーズンに痛感したこと。。

パスセンス抜群の川井選手にはもっと我を出してほしい。パスとディフェンスで繋ぎ役にしかなれていないのが現状。これは引退が近いベテランガードの仕事。パスセンスを活かすにはドライブや自らシュートを打っていくことが必要で、game1で梅木選手が見せたような強引さを!結果負傷してしまったが、ああいうゴリゴリ感がないとトヨタ自動車では生き残れないし、それによって彼女のパスセンスがより活きて、チームとしても3ptアテンプトを増やすことが出来るのではないか。

宮下選手やデンソー戦では何故か出番が全くなかった平下選手も同様。オリンピアンとソハナ選手は偉大だが、控えに甘んじていてはトヨタ自動車に入った意味がないのです!!

アイシン戦で色々と試すとは思うが、そこでアピールしまくってプレーオフではローテーションに入ってきてほしい。期待している!

 

入りすぎたスリー 〜女子バスケW杯予選 ボスニア・ヘルツェゴビナ×日本〜

まずは3カ国が最後まで戦い抜いて、W杯出場権を獲得したことに敬意を表したい。ベラルーシ欧州選手権や五輪予選での健闘を祈りたい。

 

さてボスニア・ヘルツェゴビナ×日本、良い試合だった。日本の持ち味が発揮できた試合だった。

しかし前日の大敗から建て直したボスニア・ヘルツェゴビナが一枚上手だった。そして何より#35ジョンケル・ジョーンズが怪物すぎた。

 

日本は3ptシュートが入りすぎた。前半で12/24。国際試合だと1試合トータルで24本打たないチームも多いと思うが、前半だけでこれだけ打って、かつ半分決めた。これは日本の持ち味であり褒められるべき結果なのだが、一方で2ptシュートは前半3/12に留まった。

ボスニア・ヘルツェゴビナは3ptシュートを打たせていたのではないか。特に赤穂選手のアウトサイドは空けていたように思う。

個人的にはスリーシュートは水物・最後まで高確率で入り続けることはほぼないと思っている。ボスニア・ヘルツェゴビナも同じ考えだったかは分からかいが(笑)、機動力ある日本に対してアウトサイドを完全に抑えようとしても不可能。実際2ptシュートは試合トータルでも8/30と封じられ、勝負どころで3ptシュートを沈めることが出来なかった。

またオフェンスの形にしてもハーフコートでピックを織り交ぜての3ptシュートが多かった。オプションが増えたのは良いことだが、トランジションからの3ptシュート、合わせのプレーなど日本らしい速いオフェンスは影を潜めた。その中でも前半最後で山本選手の3ptが決まるなど上げ潮ムードだったので、修正せず後半に入ってしまったように感じた。

スローペース・インサイド勝負とボスニア・ヘルツェゴビナの土俵での戦いとなり、連戦だった相手の方が終盤足が動いていた(ステファニー選手がトラベリングした場面にしてもボスニア・ヘルツェゴビナの守備陣形が整っていた一方で日本はステファニー選手が押し上げられていなかった)

ホーム・中2日・本来スタミナ自慢の日本が代表チームとしては初の大陸外遠征となるボスニア・ヘルツェゴビナに対して終盤身体がついていかなかった要因はみっちり分析してほしい。

 

ディフェンスではジョーンズ選手対策の意思統一が図れていなかったように感じる。

198センチでクイックネスあって、3ptシュートの精度高く、ドライブ出来て、パス捌くこともできる。FTも落とさない。要は渡嘉敷選手より高くて幅があって、ステファニー選手のようなプレーをするスーパーな選手。そんな選手はアメリカ代表にもいない。

Wリーグや日本代表合宿であの感覚を分からないのは勿論のこと、ボスニア・ヘルツェゴビナと対戦しない限りは経験できないのでどうしようもないといえばそうなのだが(笑)、徹底的に守るところ・割り切るところの判断が統一されていなかったか。また完全にペイントエリアを支配され見送るしかない場面でファールをしてしまうもっないないバスケットカウント献上も見られた。

ジョーンズ選手封じ以外の場面ではダブルチームやトラップを仕掛けても行ききれない・奪い切れずゴール下ガラ空きの場面が何度かあり、ディフェンスの連携には大きな課題が残った。

ボスニア・ヘルツェゴビナとは当然今後も対戦する可能性はあるが、次からはジョーンズ選手にもっと粘っこく対応したい。スーパースターがゆえに周りと噛み合わず苛立ってることもある。ディフェンスはあまり好きではなさそうなので、2Qで宮崎選手が見せたようなスピードのミスマッチを突いたドライブインを増やしていくべき。決まらなくても・ブロックされても彼女のペースは乱せるだろうし、ファールを貰えればなお良い。

 

2試合を戦い終えて思ったこととして東京五輪銀メダルの日本はものすごく研究されている。研究される対象になっているのは誇らしいが、今後それを上回る戦術・戦略・スキルをどう作っていくか。

  • ディフェンス

東京五輪では髙田選手、アジアカップオコエ選手がインサイドの柱となり結果を出したが、今後は渡嘉敷選手ともう1人190センチクラスの選手が必要か。現状は梅沢選手もしくは留学生選手の帰化という選択肢しかないが、帰化に関しては選手本人が希望していても簡単に事が進むことではない。

梅沢選手、もっと上手くなれそうなチームに移籍しないだろうか

 

  • オフェンス

恩塚体制ではセットオフェンスはほぼ無いようだが、これはコーチ陣に型を作る能力がないのか落とし込む能力がないのかあえてセットを組まず選手に任せているのか。

コーチ陣の能力の問題だとしたらすぐに戦術担当ACを招聘しなければならない。個人的にはあえて今は選手に任せていると信じているし、ゲームコントロールに長けたPGの不在も影響しているはず。今後はバタバタオフェンスはなくなるはず!

 

  • 選手選考

PGは安間選手を一度試して欲しい(今回もその可能性は探っていたようだが)スピードあって点とれて強気なゲームコントロールも光る恩塚HCの志向するスタイルに一番合いそうなPGだと思う。コントロール特化型として町田選手はやはり必要不可欠な存在。ただ春夏はWNBAワシントン・ミスティックスでプレーすることが発表され、日本代表参加となるとW杯直前になってしまうだろう。合宿で連携を高めていきたいなら藤岡選手、小池選手がいる。

全体的に言えることとしてフィジカルの強い選手でないと今後日本代表に割って入るのは厳しい。女子サッカーなでしこジャパンの場合、WEリーグ3強(INAC神戸浦和レッズレディース日テレ・ベレーザ)と海外クラブもしくは過去にそれらの所属歴がある選手たちが選ばれている。女子バスケ代表もWリーグ昨シーズン4強とメダリストから選ばれる傾向が強くなっていきそうな気がする。4強と5位以下ではフィジカルが段違いで、上手い選手はたくさんいるが、国際舞台でスキルを発揮できるとは思えないからだ。

代表を目指す選手はプレータイム減を覚悟で4強や海外に移籍する流れになっていくかもしれない。そうなるとやはり2部制導入が必要だろう(いつもの話ですみませんw)

 

恩塚体制初黒星となったボスニア・ヘルツェゴビナ戦だったが、負けたからこそ課題や足りないところが明確になったと思う。手も足も出ずに完敗したわけでもないので、この負けを糧にW杯へ進んでいってほしい。

 

 

 

マイシマの奇跡 〜女子バスケW杯予選 日本×カナダ〜

むかーしむかーしアトランタ五輪のサッカーで日本がブラジルに勝った偉業はマイアミの奇跡と呼ばれてますが、それに掛けてのタイトルですw

あの時の日本とブラジル、今回の日本とカナダでは実力差がだいぶ異なりますが(笑)、3Qで最大20点差開いたところからの逆転勝利なので結構な奇跡だと思います!!

 

内容としては悪かったですね、ハイ…勝てたのが不思議なくらいに…でも公式戦なので勝てばいいんです!このご時世において対外試合も組めないなど万全の準備で臨めなかった、招集したい選手のコンディションが整わなかったという中で(カナダもキア・ナース選手不在、新HC就任は1月、今予選に向けての準備期間は4日間など日本以上にエクスキューズはあるようだが)勝つことが全て。

ましては女子バスケではめったにない日本国内での公式戦であり、あの劇的な試合は見る者に大きなインパクトを与えたことだろう。冬季五輪と被ってしまったのは残念だが、国内での有観客のバスケ代表公式戦で考えると千葉ポートアリーナで男子代表がオーストラリアを破った時くらいの価値があるはずだ。

 

ホーバスHCなら何やってんですかっ!リバウンド強く!!など怒声が聞こえてきそうな試合で、課題を挙げ始めたらキリがないが、まずはポジティブな要素をどんどん挙げていきます(笑)基本時系列でいきます!

 

  • うちの子が大活躍

ここめちゃめちゃ重要です😆

山本選手はディフェンスで相手を追い詰め、オフェンスでも3ptシュート2本を含む12pt。攻守にインテンシティの高さを見せつけた。今大会最年少ながらベンチでも一番声を出し、コート上の選手に力を与えていた。

ステファニー選手はチーム最長プレータイムにしてスコアリーダーとなる18pt。華麗なステップで会場を沸かせた。

三好選手も決してプレータイムは長くなかったが、勝負どころで3ptシュートを決め、ディフェンスでも山本選手のような派手さ(?)はないものの相手のボールプッシュを遅らせた。

 

  • どんな相手にも通用する宮崎選手のスピード

出だしは宮崎選手の切れ味鋭いドライブで主導権を握った。3Q終盤のバスケットカウントは日本に流れを手繰り寄せた(あれがなかったら私はそっ閉じしていたかもしれない)

ベンチには山本選手、本橋選手がいて、コートイン直後に得点。3選手とも常にフルスロットルでプレーしていて、これが4Q以降カナダの息切れに繋がっていたのではないか。

 

  • 1Qで10選手を起用する積極采配

とりあえずコートインさせた感は全くなく、皆持ち味を発揮しており、恩塚HCと選手たちの信頼関係の高さが見えた。

 

  • 初試合で完成した渡嘉敷・山本ホットライン

長く見ているファンの方々にバスケットLIVEで解説を務められていた吉田亜沙美さんとのコンビネーションを彷彿とさせると言わせしめた。華麗なアリウープが2回見られるなど好連携を披露。ボスニア・ヘルツェゴビナ戦でも期待したい。

 

  • ファウルが嵩む中で耐えた3Q 

2分半でファウルが4つとなり、ステファニー選手は一度ベンチに下がった。その中でファウルをせずにディフェンスで耐えた。それが先述の宮崎選手のバスケットカウントに繋がり、一桁点差に縮めて4Qに入ることができた。

 

  • 4Qはカナダが早々にファウルトラブル

20秒で3つ、日本が粘っこさを発揮し始めた。カナダは足もメンタルもやられている感があったが、その中で日本はボールが回り、3ptも決まり始めた。そしてリバウンド争いの中でカナダはアンスポーツマンライクファウルを取られてしまった。日本はそのFTもしっかり決めるなど前半とはまるで別のチーム。最初から出来るといいのだが(苦笑)、アジアカップもこういう感じだったし、盛り上がったし、ヨシとしましょう😆

 

  • 赤穂選手の超人ぶり

40分を終えて選手たちはインターバルで笑みを浮かべていた。勝てるだろうと思ったが、それを確信に変えた赤穂選手のビッグプレー!勝利打点的な3ptシュートも◎

※圧力を受けたので以下加筆(言い方w)

ベースボールマガジン社から出版されている書籍の中でも自ら語っているようにリバウンドをすべて取りにいく姿勢は素晴らしい。バスケ少年少女はまずこういうところを見習って欲しい。

語られ尽くしてるとは思うが(笑)、ヘルプディフェンス、ディフェンスリバウンドからの走り出し、カッティングなどタイミングのセンスが抜群。この辺りは見習いたくても簡単に出来ないとは思うが、指導者が研究して選手に落とし込めるといいですね。

そして圧力を受けて(だからww)改めて見直してみて、コーナーでのオフボール時のポジショニングが向上しているように感じた(マルコビッチHCの指導の効果もあるのかもしれない)今までは45度やトップからのフォワードなプレーが多かったが、コーナーを起点に動き出してバスケットカウントを獲得した4Qのプレーは圧巻。アウトサイドからのシュート力も上がっているので、デンソーでもどんどん打っていくべき。3ptシュートの脅威を相手に植え付けられればますます守りにくい最強のオールラウンダーへと神化していくだろう。

ステファニー選手と共に恩塚ジャパンを牽引していくであろう存在、2人ともWリーグに留まらずWNBAや欧州でプレーしてほしい。

赤穂選手、ステファニー選手と髙田選手、渡嘉敷選手、さらには町田選手、宮澤選手が融合し完成したらどんなチームになるのか。まさにワクワクですね〜!

 

課題としては…

  • 髙田選手と渡嘉敷選手の共存

この試合の中での最大の課題。2選手が揃って出るとオフェンスが重くなった。幅を作り出せない。2019年アジアカップでは普通に機能していたが、これはホーバススタイルだからなのか町田選手がいたからなのかはたまたその両方なのか。恩塚スタイルでどう共存していくか。ここを解決するとパリで金メダルを目標に掲げても現実的なものとして扱ってもらえる。

※渡嘉敷選手のローポストアタックが全くと言っていいほど通用していなかった(竹内のようだと言ってる方がいたけど、私にはどの竹内のことかは分かりません←)これは2年ぶりの国際試合だからなのか大怪我でアスリート能力が下がってしまったからなのか。ボスニア・ヘルツェゴビナ戦を見て判断したい。

 

  • 日本の戦い方が研究されている

カナダはルーカス・モンデーロHC(トヨタ自動車)の下でACを務めたこともあるビクトル・ラペーニャHCが指揮を執っている。モンデーロHCから情報を得ていたのかは分からないが、2Q〜3Q半ばまでは完全にカナダペース(結果うちの子たちが活躍して日本が勝ったのでうちのチームの勝利とでも言うべきか 違)

さておき、日本はリバウンドに人数を掛ける。それに対して体格で上回るカナダがトランジション出来ないよう押し込んできた。日本はディフェンスリバウンドを確保するのに精一杯で走れない・ハーフコートオフェンスでパスが回らない、結果が3ptシュートのアテンプト機会すら少ない。何とかシュートファールをもらってもFTの確率が悪い。対するカナダは1Qでは#21フィールズ選手のドライブ頼みだったが、他の選手たちの3ptシュートが決まり始めた。とにかく悪循環だった。

その中でも耐えて逆転勝ちしたのはスタミナ、集中力の賜物であるが、これはホーバスHCの遺産。大事な部分ではあるが、戦術・戦略で強敵を倒すチームが見たい。

 

  • 柔軟な采配を

タイムシェアを徹底するのは恩塚HCのスタイル。試合前に10人で戦うと決めていたのかもしれない。ただやや機械的な采配だと感じた。調子の良い選手・当たっている選手はもう少し連続で使い続けても良いと思う。「今山本選手代えちゃうの〜?!」的な交代が何度かあった。

それ以上に気になったのが日本の良さが全く出せなかった2Qに手を打てなかったこと。スペースがないのなら動いてスペースを作り出せる近藤選手を投入しても良かったと思う。彼女自身の得点はなかったとしても打開するキッカケにはなったかもしれないし、谷村選手含め手を出し尽くして欲しかった。

 

とここまでああだこうだ書いて思うのは正直なところホーバスHCの遺産、銀メダル・アジアカップ優勝の経験(主にメンタル的なところ)で勝っている面が大きいと思う。ここから恩塚HCがどう自分の色を出していくか。

トヨタ自動車は現在アソシエイトコーチを務めるトリノス氏がHCに就任した18-19シーズンで前コーチ陣のシステマティックなスタイルから一転して選手個々の特長を前面に押し出した。結果安間選手、ステファニー選手の成長を促し、翌シーズンからはモンデーロHCが就任し今に至っている。日本代表も制約が少なくなるであろう夏以降恩塚HCが戦術・規律を叩き込むものだと期待している。

 

最後になりますが、日本開催に向けて尽力された関係者には敬意を表したい。昨年末以降スポーツのビッグイベントが次々と中止になる中で日本政府やFIBA、参加各国との調整は大変だったと思う。正直日本で開催出来るのかという疑念の方が強かったが、大きなトラブルなく(ですよね?)初日を終えられたことは素晴らしい。今後も女子の国際大会を誘致してほしいです。

だってジョアネス選手とか観たいですもん😄

 

 

 

 

 

 

女子バスケW杯予選まもなく開幕!

  • PG 本橋 宮崎 山本
  • SG 近藤 三好 林
  • SF 赤穂 ステファニー
  • PF 髙田 谷村
  • C   渡嘉敷 オコエ

JBAからの正式発表はないが、「INSIDE AKATSUKI」を見る限り上記12選手が登録メンバーと見てほぼ間違いないだろう。

→日付が変わる直前で正式発表されました。

 

率直に町田選手、宮澤選手が間に合わなかったのは非常に辛いところ。アジアカップでは3ptシュートに頼らないオフェンスを展開した日本代表だったが、宮崎選手、山本選手、ステファニー選手が個で打開する場面も多かった。五輪のチームとアジアカップのチームの良さを組み合わせる上でマストな2選手の不在は大きな痛手である。

強化合宿終盤に合流した藤岡選手は戦術理解度の問題だろうか。PGが3選手ともスコアラータイプだけに毛色が異なる藤岡選手にもチャンスがあると予想していたが、約1年のブランクがあり、フィジカル面で世界を相手に戦うには時期尚早と判断された面もあるかもしれない(本人も全盛期と比べて6kgほど細く、フィジカルコンタクトは以前の方が充実していたと語っている)

また藤岡選手と同じくシャンソン化粧品所属の𠮷田選手は恩塚HCの期待も大きそうで、宮澤選手不在なら長身シュートとしてチャンスはありそうだったが、SGにシューターを揃えた。林選手、三好選手、近藤選手の中から2選手を同時起用するのはサイズ的に厳しいと思うが、近藤選手は東藤選手のように守備職人として期待しているのだろうか。恩塚HCの意図が非常に気になるが、SFには屈強なタイプを求めているのかもしれない。

 

特有の事情もあり恩塚HCはメンバー選考で頭を悩ませただろうが、メダリスト7人を含む十二分に戦えるメンバーが揃った。

カギを握るのは本橋選手とオコエ選手だと思っている。宮崎選手、山本選手はグイグイ攻める。アジアカップでは彼女たちの攻め気が強くなりすぎた時にコントロールできる選手が居なかった(第3PGが永田選手だったのは謎…)PG最年長で代表経験も一番豊富な本橋選手が2020年以前の町田選手のイメージで派手なことはしなくても整えられると試合は安定する。コンディションは100%に戻っていないようだが、今シーズンは東京羽田でもベンチスタートとなっており、役割も心得ているはず。またインサイドは髙田選手、渡嘉敷選手のプレータイムが長くなるだろうが、オコエ選手がディフェンスで耐えつつ3ptシュートを決められると相手としては厄介なことこの上ない。

 

4カ国出場で上位3カ国がW杯本大会出場のレギュレーションだが、ベラルーシは残念ながら出場辞退となった。しかし残り3カ国が自動的に本大会出場権を獲得するわけではなく、ベラルーシにも救済策が与えられる可能性がある。形式的に試合をするわけではないので勝利が求められる。

五輪後にHCがスペイン人に代わり(リオ五輪などでルーカス・モンデーロHCの参謀を務めていた方のようだ)選手も大きく入れ替わっているとの情報があるカナダ東京五輪には出場していないものの2021シーズンWNBAのMVPである#35ジョンケル・ジョーンズというスーパースター擁するボスニア・ヘルツェゴビナ、共に未知数な難敵である。

新生JAPANも世界トップレベルにあることを証明する格好の機会だろう。冬季五輪もあり地上波やBSでのTV中継が無いのは残念だが、フジテレビNEXTDAZN、バスケットLIVEで見られるので多くの方に見てもらいたい。