バスケ女子日本代表強化試合 vsトルコ game1

オーストラリア遠征終了後に「完成度は25%、OSのインストールが完了した状態」と語った恩塚HC。

今年度初めての国内での試合でもあり、4418人の観客が集まった。昨年同時期の横浜での試合とは一桁違うかもしれない...大阪でのW杯予選は会場の立地、まん延防止ナンチャラが出ていたのもあってか客入りは良くなかったが、女子バスケへの注目度・期待度は格段に上がっている。もっと赤く染まると盛り上がり・賑わいが伝わるのだが、これは協会、ファン双方の宿題ということで…

 

さてOSインストール完了して、どんなバスケを見せてくれるのかというところだが、安間選手と宮崎選手の使い分けはインストール完了後最大の成果ですかね(成果値低い?笑)

安間・山本・宮崎、さらにいえば安間・山本・町田のローテーションが出来ると21-22シーズンのトヨタ自動車をも凌駕する魅惑のオフェンスが展開されるはずです。

 

オコエ選手が1Qだけで3ptシュート3本を含む15pt。ゴール下でも積極果敢なプレーを見せて、良い時のオコエ選手。これで試合としては事実上決着を見た。

東藤選手は五輪やアジアカップとは違いエースの風格を見せ、平下選手は若いベテラン感を披露。

朝比奈選手は桜花学園出身のインサイドプレーヤーらしい身体の強さ、ファンダメンタルの高さで堅実なプレーを見せた。アウトサイドシュートを身に付ければポスト髙田として期待できる(でもトヨタ自動車で待ってる)

江村選手も含め数年後日本代表の中軸を担えるポテンシャルのある選手はこうして早期に招集してプロレベルを体験してもらい成長を促すしかないだろう。A代表を育成の場に使うことへの賛否はあるだろうが、男子のような特別指定選手制度がない、大学に常勤コーチがいない、退部・退学して企業チーム入団は非現実的である以上は他にやり方がない。

 

2Qオフェンスが停滞した中でコートに戻った安間選手が打開した5分ほどの時間。キックアウト、中をこじ開けてのバスケット・カウント、3ptシュートと頼れるPG感を存分に発揮した。

 

チームとしてはディフェンスはどんどん磨きがかかっているが、選手交代を頻繁に出来る・結果が全てではない強化試合だからできるやり方でもある。決勝or3位決定戦まで進むと10日間で8試合(?)の超過密日程となるW杯では同じ戦い方はできない。そのためには10人ローテションで選手を追い込むシチュエーションは必要だし、もっとスタミナをつける(これ以上つけられるのか?笑)、プレッシャーディフェンスを少なめにする、ゴール下での肉弾戦強化(ボックスアウト徹底)が求められる。

 

オフェンスに関しては前半3ptシュートが多く決まったが、あまり褒められる傾向ではないと感じた。チームとして狙いを持って崩した型よりもドタバタとした中でなんとなくオープンができて、打てていることが多かった。世界で日本代表のような戦い方をするチームは他になく、長距離移動もあり、トルコの選手たちの足が動いていなかった側面もあるだろう(海外遠征すればより強い相手と戦えるが、普及・発展の面では国内でも強化試合をしたいジレンマ。。)

話は逸れたが(笑)、3ptシュートは水物で実際に後半は失速気味。キックアウトだけでなくセットオフェンスも必要だが、これはもはや期待してはいけない領域なのかもしれない……

 

PG〜PFまではロサンゼルス五輪まで期待できるタレントが揃っているが(Cは朝比奈選手完全覚醒と土井選手どちらが先か?)、それらの選手たちの個性を融合させるのは5段階でのチーム作りにおいてどの段階にあって、W杯までに間に合うのか。誰が出ても皆が運べて、3ptシュート打てて、ミスマッチでも守れて攻められてみたいなところを恩塚HCは求めているのだろうが、型がないのならもっと個性を発揮できるチームにすべきだと思う。素材を引き出して味付けしていかないと…

選手の試合中の表情からはオーストラリア遠征と比べると充実感が出ており、良い方向に進んでいるのは確かなのだろうが、今のままだと7月合流のステファニー選手、山本選手に何とかしてもらう未来が見えなくもない。。あとシューター不在の時間帯が多いのに3ptシュート40%求めるのは鬼すぎませんか、、何故根本選手呼ばないの、、、、、

ホーバスHCと比較すると怒られるけど、林選手のコンディションが悪かったことで序列低そうだった三好選手を入れてチーム作りを進めたら三好選手がフィットして、林選手もコンディション上げて五輪で共存できた例もあるじゃないですか…

 

選手個々で見ると未来はめちゃめちゃ明るいが、チームとして見るとOSインストールとか5段階でのチーム作りとか言い訳としか思えなくて、不安が払拭できなかった試合だった。だって五輪から選手が大きく変わったわけじゃないんだし、土台は強固なのに変に自分のこだわりとかを持ち込んでるんですからね…変化なしに成長は望めないけど土台は大切にしないと。。

Wリーグ2022-23シーズン戦力分析 【アイシン】

引退・移籍選手が多すぎてリストにするのも嫌なので割愛しますw

バックコートは何とかなったものの、インサイド陣の駒不足・サイズ不足が深刻で、今まで以上にプレーオフ目標とか言いにくい戦力レベル。戦力値で見ると山梨の方が上と思えてしまう。

エブリン選手古巣復帰しませんか…?戦力的にアップなのは勿論、チームへの注目度が大幅に上がると思うし、エブリン選手自身にとっても重圧ある新女王と比べれば気持ちが楽だと思いますが……

 

ロスターより一番言いたいことはHC!いくら結果出ていないとはいえ3シーズン連続の交代がまずよろしくないし、後任が梅嵜氏って他に誰かいないんですか。。同じ人が色んなチームぐるぐる回ってるこの業界の現状もどうなんですか…

小川氏に再登板してもらえれば良かったのではと思ってしまいますね、ええハイ…田中ACが退団したのも残念ですよね色んな意味でええハイ…

 

ベンチ前での立ち姿勢の良さとENEOSを率いていた20-21シーズンファイナルでタイムアウトを無駄に使った印象が強い梅嵜新HCだが、日本代表AC、Wリーグ複数チームでのHC、さらには大学女子と女子バスケでの指導経験は豊富。直近はB2福岡を率いていた。それらの経験を若いチームに還元してほしい。ENEOSとは違って常勝チームではなくスター選手や絶対的な得点源となる選手もいない。会社が最低2,3シーズンのスパンで考えてくれれば梅嵜HCにとってはやりやすい面はあるかもしれない。

また今までのこのチームはHCの経験則に基づく勘に頼る部分が大きかったように思うので、アナリスト加入はプラスでしかない。

 

  • PG 酒井 山本
  • SG 上長 砂川 篠宮 近藤
  • SF 峰晴 山口 大澤
  • PF 野町 米谷
  • C   梅田 脇

改めてロスター眺めてもサイズで劣ってしまいますねぇ……篠宮選手加入が発表された時、オフェンスリバウンドにガンガン飛び込んでサイズ不足を補ってくれることを期待したが、これって永井選手のことですよね?!勘違いしてましたw

私がこのチームを追い始めてから戦力値で考えると一番厳しいシーズンだが、選手個々の成長を見守る期間にしていきたいと思う。特に峰晴選手、梅田選手は伸び代しかないですよ!!!

 

Wリーグ2022-23シーズン戦力分析 【トヨタ自動車】

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  • HC ルーカス・モンデーロ(退団)
  • SG 三好南穂(引退→トヨタ自動車サポートコーチ)
  • SF 永田萌絵(退団→デンソー
  • PF 長岡萌映子(退団)
  • PF 馬瓜エブリン(退団?)
  • C    河村美幸(退団→トヨタ紡織

他にもコンディショニング系スタッフが3人全員退団、マネージャーも交代など激震のオフとなった。

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強いチームを作り上げることよりもそのチームを維持・発展させていくのは非常に難しいことなのだろう。

 

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一言で表すなら期待と不安が半々、いや不安が7割か。コーチングスタッフ含めた2連覇メンバーが各チームに散らばり、強豪のメソッドが還元されることはリーグ全体として見ればプラスだろうが、こちとら不安ですよwあと2年くらいは銀河系軍団でいたかった←

まず選手を見ると質は確保できた。大神新HCの現役ラストシーズンに三好サポートコーチが移籍してきたように宮下選手、梅木選手は先行投資の意味合いがあったと思う。河村選手の穴はサイズがあり梅沢選手を獲得。スキル的に粗さはあるものの磨き甲斐のある選手ではないか。ENEOSインサイドは渡嘉敷選手ありきだったが、心機一転頑張ってもらいたい。エブリン選手の去就は不透明だが、退団したとしても小笠原選手を獲得できたのは大きい。トヨタ自動車で成長し日本代表でポスト宮澤に名乗りを上げられるか注目。

川井選手の残留も大きく、チームの根幹が崩れることはなさそうだが(安間選手は引き続き欧州でプレーするのだろうか?)、替えが効かない個性を持った永田選手の移籍は痛手。3ptシュートの精度も上げていただけにトヨタ自動車としては辛いところ。新卒選手の加入はなく、エブリン選手が残留しても12人。日本代表選手も多いだけにトレーニングの質・強度低下が懸念される。また2連覇を経験した選手が減り、勝者のメンタリティの面も気掛かり。

(23-24シーズンの新卒選手は大物を根こそぎ獲ってくれるものだと期待しているw)

 

コーチングスタッフは質量ともに気掛かり。大神新HCは現役時代アメリカ、中国でもプレーし、引退後はモンデーロ前HCの下で3シーズンACを務め、3x3日本代表の指導にもあたっていたが、HCは初めて。トリノスアソシエイトHCはモンデーロ前HCと共にチームを離れると思っていただけに残留は非常に大きいが、欲をいうと日本人の経験豊富なコーチが居てくれると新人HCとして良かったのではないか。勿論4シーズンこのチームを見ているトリノスコーチが居てくれることは頼もしく、ファン目線では嬉しいですけどね!

アナリストからの役職変更となる千葉AC、引退したばかりの三好サポートコーチと若い人材にチャンスを与えるチーム方針も良いとは思うが、HCが新人だけに不安もある。でも三好さんをこれからも試合会場で観られると思うと純粋に嬉しい←

コンディショニング系スタッフは経験豊富な方々が来てくれた。先にも触れたように日本代表選手が多いので、個々の身体の特徴把握に時間がかかりそうだが、そこはベテランの手腕に期待か。

そして一番の気掛かりはマネージャーの交代。菊地新マネージャーはプロレベルでの経験はない模様。トヨタ自動車に採用されているので試合や練習、遠征に伴う諸業務は問題ないのだろうが、前マネージャーの坂上さんはSNSでの発信でトヨタ自動車の魅力向上に大きく寄与していた。現在はチームのことがファンには全く分からない状態になってしまっている。坂上さんが担ってた広報面をサポートスタッフに就任した栗原さんが受け持ってくださると今まで通り、いやそれ以上に楽しい情報発信が期待できるのですが…

 

  • PG 山本 川井 平野
  • SG 平下 梅木
  • SF ステファニー 佐藤
  • PF 宮下 小笠原 (エブリン)
  • C   ソハナ 梅沢

PGが全員継続、プレーオフベスト5のステファニー選手とソハナ選手も継続で土台は維持されるし、新HCは前HCのベースまで崩すことはないはず。優勝候補の一角であることは間違いないが、昨シーズン後半のような相手からすると絶望的な強さにはならないだろう。

 

新シーズンのリーグ戦日程も発表されている。例年同様開幕前に全員が集合して練習出来る期間は極めて少ないと思うが、開幕週で1勝できるとチームに自信を掴める(というか1勝で良い(笑)2勝したら天狗になってしまいそうだし2敗したら一気に自信を失ってしまう)あとは下位との対戦が続く中で修正を重ねていければいいはずだ。
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と最初の方でも書いたとおり不安7割な新シーズンだが、戦力が分散され、上位チームの力がより拮抗し、面白くなるはずだ。上位同士の対戦では連戦で星を分け合うことが増えるのではないか。オーバータイムにもつれる試合が何度かあるとより楽しめるだろう。

 

日本代表の試合、移籍、試合スケジュールなど色々な情報が出てきて、開幕へのワクワク感が増すばかりだ。夏すっ飛ばして9月になってほしいw

 

 

 

バスケ女子日本代表オーストラリア遠征雑感

オーストラリア-日本

  • game1 ○72-66●
  • game2 ●54-56○
  • game3 ●67-69○

game1,2はとにかく内容が悪かった。今年度の大目標はW杯優勝(は現実として難しく、3位以上が妥当なところか)、それに向けてチームを完成させていく初期段階ではある。渡嘉敷選手、山本選手、ステファニー選手らが休養中、林選手は負傷離脱中、三好選手は引退。町田選手はアメリWNBAでプレーしており、ベストメンバーには程遠い。Wリーグファイナルから1ヶ月半ほどで招集された選手たちもコンディションは良くない。しかしそれらはオーストラリアもほぼ同じだろう。

今遠征の目的、このメンバーを選んだ意図、勝ちにいくのか・連携構築に充てたいのか・セレクションなのか。いまいち見えなかった。今回のようにチームとしての仕上がりが悪いなりに戦えるよう選手各々に考えさせる意図はあったのかもしれない。猛練習、長期間・長時間で戦術を叩き込む日本式からの脱却を図るためのフリーランスかもしれない。ただgame2での残り7.5秒からのスローインでのバイオレーションが典型例だが、決め事や戦術がなさすぎる。ニューフェイスのプレータイムが1試合5分以下は酷。ワクワクばかり先行していて、技術・戦術・戦略としてどういうチームを目指しているのかが見えてこない。このあたり恩塚HCもしくは東野技術委員長の話が聞けると批評・批判も幾分減るとは思うのだが…

JBAの広報体制からして女子代表の強化や人気向上への熱量を感じないが、今回のチームだとそれも仕方ないのかもしれない(鶏が先か卵が先かは分からないけどw)

 

以下もう少し具体的な感想

  • ベテラン感漂わせる平下選手

オープンになれば臆せず打つ。クレーバーなディフェンスで相手にシュートを打たせない。初代表で初スタメンの抜擢に応えた。game3もベンチメンバーで最長のプレータイム、信頼を掴んだ。所属チームよりも代表の方がプレータイム長いのはまるで林選手のようだ。game1,2では評価ポイントがほぼなかった恩塚HCを褒め称えたい平下選手の起用法。

 

  • 東藤選手のスキル

五輪、アジア杯では守備職人に徹していたが、今遠征ではトヨタ紡織の時のようなエースぶりを見せた。日本の女子選手ではなかなかいない比江島選手のような(?)華麗なドリブルワークと鮮やかなカットイン。3ptシュートの精度も上がっている。  

 

  • 野口選手のセンス

軽やかなカットインとスピンムーブでゴール迫るプレーに対してオーストラリアの選手を間合いをつかみきれていなかった。野口選手のようなタイプって海外ではいなさそうで、守りにくいだろう。細身でパワーに欠けるだけに覚えられた時どうかだが、こちらも初代表にしてポテンシャルの高さを見せた。

 

98年生 赤穂ひまわり 馬瓜ステファニー

99年生 山本麻衣

00年生 東藤なな子

01年生 野口さくら(早生まれ)

02年生 平下愛佳(早生まれ)

バックコート陣の層の厚さは恐ろしい。もちろん他にもまだまだいる。

 

我を押し殺して戦術なきチームをパス中心のプレーでマネージメントした。game3ではスタメン起用され、宮崎選手がシックスマンに。プレータイムの配分もよく、後半は安間選手も宮崎選手も本来の特長を発揮した。

安間選手はドイツリーグのレベルは日本より劣ると語っていたが、言葉が通じない・20歳前後の選手が多い中でコミュニケーションは磨かれたことだろう。見事なコントロールと与えられた役割の遂行力だったと思う。

 

  • 3ptシュートアテンプトの少なさ

オフボールの動きがあまりにも少ない。シューター鷹のはし選手が数少ないプレータイムの中でコーナーで浮いてるシーンは見てて辛かった。その他外からのシュート力がある選手のオープンを作り出す動きが少なかった。林選手も三好選手もいないのだから余計にチームとしての約束事が必要なのだが…ここでは何故根本選手が招集されていないのかには言及しません苦笑

 

  • 縦への推進力のなさ

安間選手はgame3途中までコントロールに徹していた。宮崎選手はゴールまで一直線なタイプ(笑)オフェンスに迫力がなく、山本選手、ステファニー選手不在の影響を感じさせた。代表の水に慣れたであろう平下選手が今後はボールプッシュの役割も担っていってほしい。

 

  • オールコートプレスの弱点を攻略されている

剥がされてオープン、マークのローテーションが遅れてイージーに決められるシーンが散見された。game3ではオールコートプレスをほとんど使っていなかった。サイズで劣る日本がこれを封印するわけにはいかないが、かといって固執してもダメ。game3でアジャスト出来たのは良かった。オールコートプレスの練度を上げつつ柔軟な対応ができるチームになっていってほしい。

 

  • 宮澤選手の不調

昨年のこの時期同様肩が重そうで、打った瞬間に外れると分かるシュートばかり。まるで田中真美子選手かと思うくらい泥臭いプレーに徹する時間帯も。不調でも世界レベルだと宮澤選手のサイズ、フィジカル、ボックスアウトを徹底して続けられる姿勢は代表チームには必須。長岡選手も不在の中で代えが効かないのが日本の現状。東京五輪Wリーグプレーオフの時同様W杯の時には最高のパフォーマンスを見せてくれることを願うのみ。

 

と不安・心配・懸念7〜8割、若手の台頭により期待感・ワクワク感が2〜3割といったところだが、国内でのトルコとの強化試合に向けて三言くらい(笑)

 

  • みっちりとチーム作りを

ほぼほぼベストメンバーが揃うはず。エクスキューズなしな状況になると思うので、銀メダリストの名に恥じない姿を披露してほしい。

  • 柔軟な選手起用を

試しつつも勝負に徹したgame3は良かったと思う。game2はロースコアの接戦という難しいシチュエーションだったが、クラッチタイムで打つ手がもっとあったと思う。トヨタ自動車のモンデーロHCだとポゼッション入れ替わるたびに選手を2,3人ずつ交代することもある。もっともっと突き詰めて欲しい。東京医療保健大学は強すぎてそういうギリギリの試合展開の経験が少なかったと思うので、今遠征は貴重な場となったのではないか。

 

  • シューター、ビッグセンターの発掘・育成

これは継続的な課題となりそうだが、トルコ戦に向けても試してほしい。

 

最後に…

批評・批判を制限するファン風土はよろしくないと思います。誹謗中傷との線引きをしっかりし、もしそういう人がいたら注意し合える風土にするべき。批評・批判より無関心が恐ろしいことです。

INAC神戸がWEリーグ初代女王の座に輝く

開幕から16試合負けなし(14勝2分け)で首位を独走していた。4/3の日テレ東京ヴェルディベレーザ(以下東京NB)との試合に勝利し、同日浦和レッズレディース(以下浦和)も敗れて、あとはINACの優勝がいつ決まるかに焦点が当たった状態だった。

しかし今シーズンを振り返るとINACが圧倒した試合は少ない。スコアで見ても15勝中8勝は1-0、優勝を決めたノジマステラ神奈川相模原戦でも試合終了のホイッスルが鳴っても歓喜している姿は見られなかった。飽くなき向上心の表れだろうが、しぶとく・したたかに・結果にこだわり戦い続けた結果得られた初代女王だと思う。

シーズン前半はFW陣の調子が上がらず、数少ないチャンスを活かして結果を残してきた。皇后杯では東京NBの下部組織であるメニーナに敗れてしまう。さらにはエースナンバーを背負う杉田妃和選手のアメリカ移籍。長いインターバル明けのちふれASエルフェン埼玉(以下埼玉)どの一戦ではゲームメイカータイプの阪口選手を最前線に据える奇策に打って出るも追いつかれての引き分け。屈辱と試行錯誤を経ての好タイミングでエースストライカー田中選手の調子が上がり、チームは加速していった。インターバル明けの2試合では杉田選手の穴が大きいように感じたが、豪快な突破が魅力の水野選手が台頭し、杉田選手とは違う色でチームに推進力を与えた。そして先述の通り東京NBとの6ポイントマッチを制して、突き抜けた。

 

MVPは有無を言わさず山下選手。現役日本人ゴールキーパーでは段違いの能力を持つ彼女の加入は大きかった。ビルドアップの面での貢献度も高く、優勝を決めた相模原戦の先制ゴールに繋がったフィードは浦和レッズ(男子)西川選手のそれを彷彿とさせた。中盤でエネルギッシュにプレーした同じく新加入の成宮選手、シーズン後半戦で得点を量産し、得点王も視野に入ってきた田中選手もベスト11に選ばれるのではないか。

選手のコンディションや相手に応じた柔軟な采配、身長150センチの伊藤選手をセンターバックで起用するなど固定観念に捉われず選 手の個性を引き出す星川監督の手腕もお見事。開幕直後の羽座選手以外大きな怪我人を出さず、コーチングスタッフの力も優勝に大きく寄与しているだろう。

 

16戦無敗とはいえ圧倒していたわけではなく、旧リーグ時代のようなカップ戦もなく、若手育成は難しいシーズンだったとは思うが、来シーズンはそこにも期待したい。WEリーグでも交代枠は5あるはずだが、コロナ前の3枠すら使い切らない試合がほとんどだった。ラスト5分でも良いのでベンチメンバーを使って、経験を積ませて欲しい。

そして昔どこかのJリーグチームが目標に掲げた「目指すのは優勝じゃない。観客を魅了しての優勝や!」、星川監督と技巧派揃いの選手たちならそれが可能なはずだ。今シーズンは巧さを活かして手堅い試合運びをして優勝したが、もっとアグレッシブに!!

 

最後に…

JリーグBリーグの人気チーム、プロ野球でも集客が伸び悩んでいる現状なので、コロナの影響は大だが、INAC神戸のホームゲーム観客平均が2139人、WEリーグ全体では1432人。シーズン開幕前は平均5000人の目標を掲げたが遠く及ばなかった。INACが勝てば優勝の状況で迎えた相模原戦も神戸から遠く離れた地でのアウェー戦とはいえ、1146人に留まった。

先行き不安でならないが、リーグの理念ばかり先行し、競技の魅力が伝えられていないのではないか。日本女子サッカーの魅力はトラップ、パスでのボールタッチ、一瞬の駆け引きやクイックネスでの動き出しなど繊細な部分だと思う。これは人それぞれだろうが(笑)、競技の本質をもっともっと伝えてほしい。

 

 

 

 

 

解き放たれたアンテロープス 〜Wリーグ2021-22 プレーオフファイナル game2〜

常に笑顔を絶やさず、試合を楽しんでいるステファニー選手が帰りたいと思ってしまうくらい緊張していたというgame1。あれだけ大きな会場・大観衆の中での試合をするのはおそらく日本女子バスケ史上初。五輪やアジアカップ等を経験してる選手たちでも違う種類の緊張感があったのだろう。

その中で泥臭く戦い続け、モンデーロHCは奇策を打ち、選手たちもその意図を読み取り、コート上で表現。前回記事でも述べた通り2勝の価値がある見事な逆転勝利だった。


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緊張から解き放たれたトヨタ自動車の選手たちはgame2で躍動。立ち上がりから3ptシュートと力強いインサイドアタックから富士通のファールを誘うプレーで的を絞らせない。f:id:antelopes_7_12_23:20220424120127j:image

リズムが悪くなると山本選手と川井選手のツーガードでもテンポアップしたボール回しで崩していった。14点リードでの折り返し。

3Qも10点前後のリードで推移すると4Qでさらにギアアップ。game1からのメンバー固定と宮澤選手、オコエ選手のファールトラブルにより足が動かず、インサイドでも踏ん張れない相手に対して小気味良いボール回しと巧みなスペーシングで攻め立てた。f:id:antelopes_7_12_23:20220424120442j:image

エブリン選手が宮澤選手に1on1を仕掛けてバスケットカウントをもぎ取ると山本選手、ステファニー選手の2ptシュートも決まり、4Q4連続得点。富士通タイムアウトを取るも振り絞る力が残っていなかった。

 


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連覇の難しさ 〜Wリーグ2021-22 プレーオフファイナル game1

大神ACがプレーオフ前にテレビ番組に出演した際「初優勝するより連覇の方が難しい」との旨の発言をしていた。現役時代ENEOSの中心選手として数多のタイトルを獲得してきただけに重みがある言葉だと思っていたが、この試合はまさに連覇することを難しさを感じさせられた内容だった。加えてWリーグではこれまでになかった大規模アリーナでの開催に5,800人余りの観客が詰めかけ、華やかな演出も施された中で試合が行われた。プレッシャーを感じない選手はいないだろうが、トヨタ自動車の選手たちの方が重かった。

 

町田選手、篠崎選手のスピードを活かした形から連続得点した富士通に対してトヨタ自動車も悪いなりに三好選手の幸運もあった3ptシュートやシュートファールをもらいFTで何とか繋いでいた。モンデーロHCは堪らず5分経たずにタイムアウトを取るが、それでも打開できない。単発なオフェンスではリバウンドで良いポジションを取ることも出来ず、タフショットやターンオーバーが増えた。そこから富士通は走って、スピードのミスマッチから得点しリードを広げた。残り4分頃の宮澤選手、オコエ選手の3ptシュートがうち1本でも入っていたら、試合は早々に決まっていたかもしれないが、トヨタ自動車にツキがあった。富士通の得点が感覚ほど伸びていない中で選手交代によりディフェンス強度を上げて、粘ったトヨタ自動車。ディフェンスリバウンドは確保できており、1Qの最後もステファニー選手がFTを2本揃えて締めた。これは悪くない終わり方だった。

 

2Qは永田選手が篠崎選手の突破を封じて、トヨタ自動車が流れを手繰り寄せるかと思ったが、富士通入団後ここまで躍動しているのは初めてかと思うくらいの藤本選手と宮澤選手のアウトサイドシュートに手を焼いた。ここは河村選手、ソハナ選手とも一旦下げて、長岡選手で封じにかかる手もあったのではないかと思った。

富士通10点リードでの折り返し。トヨタ自動車としてはオフェンスの交通整理をして、もっとオフェンスリバウンドに人数を掛けられる態勢を作り、セカンドチャンス・サードチャンスを作っていかなくてはならない。vsトヨタ紡織game2や富士通に敗れた皇后杯準々決勝と似た展開だったが、気持ちはゴールに向いており、FTを取れている。相手のファールは嵩んでいる。悲観的にまでなる必要はない前半だった。

 

3Qに入りトヨタ自動車のオフェンスに少し流動性が出始め、ステファニー選手とソハナ選手のコンビでバスケットカウントを獲得。直後宮澤選手に3ptシュートを決められるも山本選手が決め返して応戦。トヨタ自動車の流れのようでまだまだ富士通トヨタ自動車東京五輪で日本と対戦したベルギーやフランスのようにオフェンスリバウンドに人数を掛けられない。相手のファストブレイクを恐れているからだろう。エブリン選手はシュート打てるところで周りを見る・どこか積極性を感じないドライブなどプレーに迷いが出始めた。3年前のセミファイナルを思い出す嫌な空気感だった。

それを打ち破ろうと28分経って初めてコートインした平下選手。冷静沈着に3ptシュートを沈め、チームメイトを勇気づけた。3Qラストオフェンスのステファニー選手は明らかに早打ちだったが、セカンドチャンスを決め切って7点差に。あの早打ちが結果オーライになったのも平下選手の3ptシュートがあってのことか。

ここまでは富士通としては良い意味で、トヨタ自動車としては悪い意味で皇后杯準々決勝と似た展開。富士通のディフェンスは安定しており、逆転できそうでできずにgame1は終わってしまうのか。

 

と思っていたら4Qはようやくこのチームらしさが出始めた。富士通タイムアウト挟んでの4連続得点。試合開始からビハインドが続いていたが、一気に捉えた。

ここから根性比べ・我慢比べだが、トヨタ自動車が一枚上手だった。冷静にマークが空くエリアからミドルシュートを決め続けたソハナ選手、前半は緊張感が伝わってきたが、後半開始直前梅木選手ら仲間に勇気づけられて落ち着いたか。ここぞの場面で3ptシュートを決め切った山本選手、最終盤のバスケットカウントは3x3の五輪最終予選を思い出すキレキレなドライブだった。

 

3Qまでほぼゲームプラン通りに進めたであろう富士通としては痛すぎる敗戦で、トヨタ自動車にとっては2勝分の価値があるくらい大きな大きな勝利

勝敗を分けたのは采配力か。今シーズンFT成功率が90%越え、五輪でも手堅く決めていた町田選手が2本とも落としてしまうくらいプレッシャーが掛かるクラッチタイムに調子が上がらない三好選手や迷いが見られたエブリン選手ではなくプレーオフの経験少ない平下選手、宮下選手を送り込んだモンデーロHC。川井選手含めて目立った記録は残せなかったが、起用に応えた。移籍した意味を・銀河系軍団でプレーする意義をコートで示した。調子の良い藤本選手を後半起用せず、4Q選手交代をしなかったテーブスHC。トヨタ自動車としては宮澤選手をポジションアップし、内尾選手ではなく藤本選手もしくは中村選手のプレータイムを長くした方がやりづらかったと思うが、シーズンの中でやってこなかったことを大一番でやる勇気はなかったのだろう。

 

富士通としては好内容の試合を落とし、万策尽きてしまった感もあるが、当然ながら何が起きるか分からない。ファンとしてはラストダンスになるかもしれない三好選手のプレーを目に焼き付けたい。