【名古屋グランパス】PSM対FC岐阜

2008Jリーグプレシーズンマッチ:vsFC岐阜/試合結果(名古屋公式)

よくこういう試合では「課題が見つかれば良い」と言われる。しかし強風下の試合ということを差し引いても今日の名古屋はそんな温いことを言っていられる状況ではなかった。

守備に関しては及第点を与えられる。岐阜が終始引き気味で戦っていたのもあるが、4バックを敷くDF陣は常に冷静に対処していた。しかし攻撃は課題が多い。左からの攻撃が多く、またその中でのプレーエリアが狭い。右SBに入っている青山はコンバートされて1ヶ月弱の選手だけに攻撃面で物足りず、右SHに入った片山は持ちすぎなシーンが多くあった。また点がとれない試合ではセットプレーが重要となってくるが、そこでも工夫が感じられなかった。ショートコーナーを使うなりライナー性のボールを入れるなり出来ると思うが、単調なボールが多かった。そして何よりの心配はヨンセンと玉田の関係である。玉田はコンディションが非常に良く、今季にかける意気込みは並々ならぬものがある。またヨンセンもコンディションが悪いわけではない。しかし昨年ヨンセンと主にコンビを組んだ杉本はサイドのスペースへ抜け出てチャンスメークを試みることが多かったのに対して、玉田は下がったボールを受け、ボールタッチを重ねて、チャンスメークしていくことに長けた選手である。また昨年までと異なり玉田は比較的自由にプレーしている。そんな中でヨンセンも下がってボールをもらうことが多いため、サイドを崩してゴール前にクロスを上げてもターゲットがいないことが多々あった。また佐川印刷戦時にも指摘したが、シンプルにヨンセンに当てるというボールがあまりにも少なく、ヨンセンの特長が生かせていないように思う。この状況が続けば中断期間に外国人FW入れ替えという事態になるかもしれない。ゴール前に侵入していくプレーが得意なマギヌンが復帰しフィットしてこれば、多少改善されるのかもしれないが、やはりヨンセンはゴール近くでプレーして欲しい選手である。

その他で気になった点ではボランチに入った山口。昨年終盤からスタメン出場の機会が増えていた吉村がストイコビッチ監督の下でも重宝されていたが、練習試合での負傷により、今日は山口がこのポジションに入った。山口の特長は運動量とスペースを埋める動きにある。今日もその点は随所に見られたが、ボールを受けたとき・奪ったときになかなか前へボールを運べない。またプレッシャーを掛けられると簡単にボールを失うことが多く、中盤が落ち着かない最大の要因となっていた。

一方山口とセンターでコンビを組んだ小川は個人的にはマンオブザマッチとも言える活躍ぶりだった。鋭い読みからのインターセプト、サイドチェンジ、サイドへ回り込んでの攻撃参加、ミドルシュートなど秀逸の動きだった。危険なタックルが警告を受けたプレーを含めて3度ほどあったのは課題だが。また深井に代わって福島が入ってからは右SHに回ったが、このポジション変更により右サイドの攻撃が活性化された。真ん中でも右でも質の高いプレーが出来ることを証明し、もはや名古屋の中盤には必要不可欠な存在である。

練習試合で成長を感じた福島、巻は今日の試合も途中から出場したが、J1レベルではまだまだではないか。さらなる成長を期待したい。

守備はこのメンバーで連携を深めていけば、上位相手でも大崩れはしないと思う。しかし今季の目標である5位以内を達成するには攻撃面が物足りなさすぎる。開幕まであと2週間弱だがミスターの手腕がどう発揮されるのか見守りたい。