レバノンで開催されている男子のアジアカップ、日本はベスト8決定戦で韓国に敗れ、この大会から姿を消すこととなった。
ベスト8に進めば、仮にそこで敗退しても順位決定戦があるため、ラマスHC就任から間もない日本としては
実戦経験の場が減ったという点からも率直に残念である。
9月末にBリーグが開幕するが、その後は毎週末試合があるため、W杯予選前に対外試合は組めないだろう。
やはり韓国に勝って1試合でも多く、試合をしてほしかったという思いが強い。
男子代表の進化は感じることが出来る。既にラマス氏の色も出ており、今後が楽しみでもある。
ただアジアバスケ界において五輪、W杯に続く大きな大会であるアジアカップで韓国に敗れ、ベスト8にも進めなかったことは事実。
ここは厳しい目で韓国戦の敗因を探っていきたい。
①メンタルが弱い、勝負弱い、韓国に執念で上回れた
28分までの戦いを考えると日本が10点以上差をつけて勝つべき試合。
これを落としたのは精神論・根性論になってしまう。
日本は富樫の360度シュート、アイラのアリウープと連続ビッグプレーのあとに突き放せなかった。
逆に慢心があったのではないか。それが韓国の闘志に火をつけることとなった。
韓国はどのでも日本相手だと非常に高いモチベーションで臨んでくる。
日本はそれに対して受けに回ってしまった。
②采配ミス
ビハインドとなった4Qはまずディフェンスをハードに行い、チームを引き締めることが求められるはずだが、
ラマスHCはディフェンス面で効果的なプレーが出来ているとは言えない馬場を起用した。
またゲームを通してゾーンディフェンスが機能せず、3ptシュートを多く決められていた。
その中で4Qも最初のポゼッションでコーナー3ptを決められ、相手を完全に乗せてしまった。
③シュート精度の低さ
1Q序盤の太田が象徴例だが、イージーショットを外す場面が韓国戦に限らず散見された。
実際3ptの成功率は悪くないが、2ptは42%、FTは61%
2ptは50%、FTは75%は越えないと国際舞台では厳しいだろう。
結局ここもメンタルの弱さにつながってくるのだろう。
※ターンオーバーの多さを指摘する声もあり、実際18個あったので多いことは否定できない。
しかし筆者はトライした結果だと思っている。
サッカーJリーグ2部名古屋グランパスの田口泰士選手が雑誌の取材でこのようなコメントを残している。
「このスタイルは個人のミスが目立つ部分があります。でもそれはトライしているから。ミスなくできていたらこんな順位にはいない」
(現在は3位ですが、取材時は6位、7位あたりだったと思います)
これはそのままバスケ男子日本代表にもあてはまると思っている。
ミスを恐れて外のシュートに頼っていてはオーストラリア戦のような展開になることは目に見えている。
インサイドへアタックすることにより、タフメンタルを身につけ、フィジカル的にどこまで通用するかも体感することができるのだ。
日本代表には7フィートクラスのセンタープレーヤーはいないので、Bリーグクラブのようなハーフコートオフェンスで押し込むことはできない。
自分たちがトライしていくしか道はないのだ。
今後もターンオーバーを恐れすぎないトライをしてもらいたい。
続いて12名の選手個々の評価も行いたい。
♯2 富樫勇樹
最も評価の分かれた選手。
サイズやディフェンス面で劣ることはバスケに詳しくない人でも分かるが、オフェンス面で彼以上の日本人PGが現時点でいるのか。
劣勢時のコントロール能力など国際舞台での経験不足な面もあるが、それは他の選手も同じ。
筆者としてはファーストチョイスではないが、富樫外せは暴論に過ぎないと考えている。
♯7 篠山竜青
このチームのエンジン、彼のハッスルプレーがチームに勢いを与えた。
オフェンス面での果敢なインサイドアタック、コーナー3など貢献度は高く、PGのファーストチョイスと考えるのが妥当。
♯0 橋本竜馬
プレータイムは少なかったが、腐らずチームを盛り上げた。
筆者は安藤誓哉、ベンドラメ礼生の台頭に期待しているが、しばらくは選ばれる可能性もあるだろう。
♯6 比江島慎
スコアこそできているものの、物足りないと感じている選手の一人。
クラブで外国人選手に頼らないプレーをして、たくましさを身につけてほしい。
奮起を促すため、一度代表から外すのも選択肢の一つと考えている。
♯18 馬場雄大
前任のルカ氏から寵愛されていたが、ラマススタイルへの適応に苦しんだ選手。
身体能力は日本人屈指で、流れの中でダンクができる数少ない選手。
アルバルク東京での更なる成長に期待。
♯24 田中大貴
筆者は唯一W杯予選メンバー当確の選手だと考えている。
クラブでの昨季終盤も大事な試合で決めきれない場面はあったが、総合的に判断して、外すことのできない選手。
馬場と切磋琢磨して、タフさを身につけてほしい。
♯25 古川孝敏
大会通してシュートタッチはよかったが、韓国戦で無念の負傷。
シュートバリエーション豊富で、リーダーシップもあり、今後も中軸を担う選手だろうと考えている。
♯34 小野龍猛
こちらもラマススタイルへの適応に苦しんだ選手で、プレータイムに恵まれなかった。
得意のポストアップは国際舞台では発揮できる場面が少なく、FT含めたシュート精度は金丸晃輔や辻直人に分がある。
今後選ばれる可能性は極めて低いだろう。
♯35 アイラ・ブラウン
高い身体能力を存分に発揮し、韓国戦では大活躍。
しかしタフショットを好まず、パスを回すスタイルにおいて帰化枠を彼に使うことが妥当なのか判断に苦しむ。
他に適任がおらず、選ばれる可能性は高いだろう。
♯88 張本天傑
ラマス体制で評価を上げた選手。
果敢なインサイドへのペネトレイト、フィジカルコンタクトでも物怖じしないメンタル、ハードなディフェンスなど
完全に小野との序列を入れ替えた。
プレーの安定感、判断力が課題か。育ててほしい選手。
♯8 太田敦也
オーストラリアや韓国の屈強なセンターとも戦えるファイター。
しばらくはセンターのファーストチョイスだろうが、ペイント外でのプレーの質、シュート精度には課題あり。
次世代センターの台頭が待たれる。
♯10 竹内公輔
とにかくフィジカルもメンタルも弱いように感じる。
昨季クラブでオン2の時に勝負しており、シュート力もある双子の譲次の方が適任。