18-19シーズンからのレギュレーション変更に関して

以前から噂になっていた外国籍選手起用のオンザコートルールと不評だったCSでの3戦目の方式の変更が発表された。

前者に関してはだーいぶ話が長くなってしまいそうなので、後者からいきます。

ファンとしては平日に試合が組まれることで困る人もいると思う。

「金土日」か「土日月」か「土日火」かは今後調整とのことだが、平日に3戦目が組まれた場合、「決戦」が見られなくなる人は増える。

ただ選手にとっては間違いなくプラス。ホームクラブは運営経費、アウェイクラブは滞在日数増に伴う経費が増すが、歪な変則3戦目は興行価値を落とすことともなるので、今回の決定は喜ばしいことだ。

今季のCSでは多くの試合でチケット争奪戦となっており、Bリーグの価値も上がっているので、妥当な判断だろう。

将来的にはQFからファイナルまでH&Aでの5もしくは7戦方式で出来れば理想だし、ファイナルの一発勝負廃止を訴える声もあったが、アリーナ確保など課題は山積しており、QF、SFでの変則3戦目が廃止されただけでも十分前進だと捉えている。

個人的には何の価値も見いだせず、ただ試合時間が長くなるだけのオフィシャルタイムアウト廃止やCSでのシード順位のつけ方の変更をおこなってほしかったが、現段階では発表されていない。

続いて外国籍選手起用のルール変更に関して。

まずは↓をご覧ください。

B.LEAGUE 2018-19シーズン競技レギュレーション

各メディアの報道によると変更意図としては端的に言えば代表強化

具体的には

オン1と2では別チームになってしまい、リーグの発展に寄与しないとの旨、日本代表ラマスHCらの指摘を受けた

・試合登録可能な外国籍選手が2人となることで、外国籍選手のレベルが向上するチームもある

レベルの高い外国籍選手に揉まれることで、日本人ガードの強化

常に2人の外国籍選手が出場可能な中でも日本人ビッグマンが出場機会を伺うことで競争の中で成長

→それが代表強化にもつながる。

帰化選手に関しては日本国籍であることを重視

(野球やサッカーで帰化選手に特別ルールはなく、労働関係の法律との兼ね合いから指摘を受けた可能性もあるでのはないかと推測しています)

意図は理解できるのだが、この変更の良し悪しの前に気になる点も多々ある。

まず「東野智弥強化委員長、葦原一正Bリーグ事務局長と、クラブ経営者2名、ヘッドコーチ(HC)2名というメンバーで1年近い議論」をしてきたこと。

利害関係者が含まれており、ルール変更を他クラブより先に知ることが出来るのは大きな問題があるのではないか。

帰化選手を完全日本人扱い以上にフェアネスの観点から問題があると思う。

また1年近い議論といってもシーズン終了半年前から契約交渉が可能なので、年明けの段階でほぼ変更内容は固まっていたと推測できるが、正式発表までここまで時間がかかったのも不可解だ。

某クラブの社長がフライング(といえばかわいらしく聞こえるが、情報漏洩です)発表してから2週間経過しているし、リーグより先にメディアが発表したことも疑問に感じる。

話を戻します。

ファンの間では外国籍選手の身長制限、オンザコートにズレを作るなどの案を目にしたことはあったが、常にオン2状態可能とすることで、競争力を上げるという発想はなかった。

メリット、デメリットあるが、個人的には今回の変更は賛成な部分が多い。

意図としてはチェアマンが発言している点も含めて、主に5つあると考えている。

帰化選手=日本国籍保有していることを尊重

従来のルールでも外国籍選手+帰化選手を最大80分コートに立たせることが出来たが、外国籍選手のみだと最大60分。

変更後は前者は最大120分、後者は最大80分。

これをやるチームは皆無だと思うが、仮に30分ずつ起用しても前者は90分、後者は60分。

この差は大きく、帰化選手がいるチームはさらに有利となるだろう。

また帰化選手のいるチームと日本代表クラスのビッグマンがいないチームの対戦では今まで以上に大味な試合展開が増える懸念がある。

そうならないよう日本人ビッグマンを各クラブが育成していく必要があり、中長期的にはプラスだが、1,2年で考えるとチーム力が大幅ダウンとなるケースも出てくるだろう。

某クラブ関係者がフェアネス云々を主張したくなる気持ちは充分理解できる。

移行期間としてアジア枠・190センチ以下枠などを取り入れ、帰化選手がいないチームは採用できるシステムがあってもいいのかもしれない。

外国籍選手も個性豊かになる。

また留学生として来日して日本の高校・大学を卒業した選手も帰化申請中、一定の語学力ありなど条件を満たせば、帰化選手と同等の扱いをしてもいいのかもしれない。

卒業後活躍の場に恵まれない留学生が多いようだが、Bリーグクラブに入れる可能性が今までよりも格段に上がるとなれば、よりハイレベルな留学生が来日するのではないか。

そうなれば学生バスケのレベルアップにも貢献できる。

留学生たちもより日本文化や語学力習得に励むことだろう。

②強化担当の目利きを上げる・予算規模に応じた適正なチーム編成をする能力

外国籍選手のチーム登録は3人可能だが、試合登録は2人のみ。

これによりチームごとの方針の違いがハッキリと現れ、見る側の観戦ポイントも増えるのではないか。

・2人の選手に資金を集中投入(3人目は獲らない)

・3人同レベルの選手を揃え、ローテーションする(ex.3選手とも40試合出場、平均プレータイム30分)

・1番手の選手を全試合30分起用する大黒柱、2,3番手の選手はローテーションする

・育成枠的な選手や帰化検討・申請中の選手を3番手として登録する

(川崎バンバ、FE名古屋ソウが該当しそうではある)

いずれにしても一人は大黒柱として毎試合30分前後起用しても安定したパフォーマンスを発揮し、プレーエリアもある程度広く、ファールをもらえる・ファールなしで止められるディフェンス力など総合力の高い選手が求められる。

北海道のトラソリーニが今季の約3倍の年俸で契約を更新したと言われているが、カーク、エドワーズなども同様だろう。

資金力の劣るクラブは2,3番手の外国籍選手の質は従来より落ちるかもしれないが、そこは日本人ビッグマンと競わせて、双方が成長していく環境が求められる。

(実際川崎ではデービスも鎌田も開幕当初と比べると格段に成長したと思う)

とにかく帰化選手もしくはそれらの選手に対抗できる日本人を抱えるチームは組み合わせが豊富となり、場合によってはギャレットのようなガードも獲得できるかもしれない。

そういうチームがいくつも出てこれば興行価値も上がるのではないか。

またBリーグの場合週末2マッチ開催が基本だが、ゲーム1と2で登録選手の入れ替えは可能なのか。

現状選手登録は2月末までだが、来季からはいつまで可能になるのか。

B1は平日開催が増えるようだが、現状の試合登録12人・チーム登録13人から変更はあるのか。

そのあたりもチーム編成に大きく関わってくるだろう。

さらには滋賀がニュージーランド出身ながら日本国籍も持つ紺野ニズベット翔という選手を獲得したが、こういった選手を発掘できるスカウト力・コネクションを各クラブが持てるようになると、代表強化に繋がっていくだろうし、ファンとしても面白いところだ。

コーチングスタッフの判断力・対応力の向上

前述の通り、2人の外国籍選手を40分フル出場させることは現実的ではない。

帰化選手含めた3人を全員同時には起用せず、ローテーションするチームもあるだろう。

当然ファールトラブルもあり、コンディションが悪かったり、メンタルコントロールのために休ませることもある。

従来ならばオン1の時は1番手の外国籍選手と日本人、2では外国籍選手3人のローテーションを基本形とするチームが多かったが、来季からは各コーチが試合状況に応じて判断することとなる。

時間配分も含め、コーチの采配が問われるところであるが、プレータイムが伸びる日本人ビッグマンもいるのではないか。

オン1ならプレータイムを与えられていた状況からは変わってくるだろう。

※コーチの判断力を養うためにもやはりオフィシャルタイムアウトは廃止してほしいものだ。

④日本人ガードの打開力・フィジカル向上

外国籍選手がコートに立っている時間が従来より長くなり、ガードの選手にはよりインサイドをこじ開ける能力が求められる。

日本人ビッグマンが育っていない現状のため、ベンチに控えるそれらの選手の力が外国籍選手と比べて大きく劣る場合は過度にファールを警戒し、かえってフィジカルコンタクトが少ない試合になってしまう懸念はある。

それでも日本人と比べて根本的に体つきが違うので、ガード陣強化の上でマイナスとはならないだろう。

⑤日本人ビッグマンを正当な競争の中で中で育てる

従来ならオン1のクウォーターでの出場が基本だったが、今まで以上に常に心の準備をしておかなくてはならない。相手が外国籍選手2人(さらに帰化選手も出てる可能性も)の時にコートに立てば、外国籍選手とマッチアップする回数は増える。それだけでも今回の変更は日本人ビッグマン育成にプラスではないか。

メリット、デメリット色々とあるが、私の思いを集約すると某社長がフライング発表したときに感じた↓ですね!

帰化選手を抱えるチームが有利になりすぎる面は改善の余地があるし、ガード強化に繋がるのかは疑問だが、中長期的に見て日本人ビッグマンの育成に寄与できるシステムではないか。

そしてコーチ、強化担当含めたクラブ全体の力がより問われ、シーズンオフ含めてクラブ間の生き残りをかけた闘いが繰り広げられることだろう。

実際アイシン時代含め7シーズンシーホース に在籍した橋本竜馬が琉球に移籍など移籍市場は昨シーズン以上に活発だ。

今回の変更がBリーグ、日本バスケ界の活性化につながることを期待して、この記事を締めたい。