Wリーグ選手のキャリアプラン

日本バスケ界は男子W杯予選で盛り上がってる。

4連敗から巻き返し、6連勝。

W杯本大会出場を視野に入れられるところまできた。

その中で天皇杯皇后杯の二次ラウンドも行われていた。

男女共通の課題として集客力の低さが挙げられているが、これはサッカーでも定期的に話題にのぼる。

クラブ・会社側に興行権がなく、サッカーや男子バスケでは昇降格があり、チームも観客もリーグ戦にプライオリティを置くのは当然だ。

協会がよっぽど本腰を入れない限りどうにもならないことなのかもしれない。

どうにもならないでは済まされない課題もあり、天皇杯ではB1同士の対戦でダブルスコアのカードがあった。

皇后杯でもWリーグの2チームが都道府県代表チームに敗れ、Wリーグのチーム同士の対戦でも大差のつく試合があった。

男女ともにトップリーグ内での実力格差が如実に表れたのである。

自称女子バスケの人であり(笑)、Bリーグに関しては有識者の方が掘り下げてくれると思うので、Wリーグについて考えていたところ、Instagramで気になる投稿を見つけた。

トヨタ自動車アンテロープスが社内行事にOBの方が参加した様子を投稿していた。

昨季まで在籍していた坂田侑紀奈さんが先月地域のスポーツイベントに参加された時の投稿も見たが、皆さんお若い方ばかりだ。

調べると22〜23歳で選手生活を終えられているが、名門高校で主力選手として活躍し、全国大会で実績を残し、大学を経ずに入社された方ばかりである。

どういう事情があるのかは分からないが、有望選手が早くに引退してしまうことは日本女子バスケ界において損失ではないか考えてしまった。

いくつかのチームに有望な選手が固まりすぎて、才能を開花させられていない選手が多いのではないかと。

企業スポーツゆえ様々な事情があると思うが、自分なりに考察してみた。

①選手生活が短命で終わることを覚悟の上で強豪チームを選択

高校で世代トップレベルの選手ならそう考えて当然だろう。

もし失敗しても移籍、引退して社業専念など選択肢は広がる。

Wリーグのチームを運営する会社はトヨタの二次下請で働くしがないサラリーマンの私にとっては羨ましい大企業ばかりだが(笑)、将来的に社業に専念する上でより安定性のある大企業を求めるのも当然のことだろう。

バスケやその他スポーツ、福利厚生に力を入れている会社なら社業の合間にトヨタInstagramにもあったような行事に参加することもでき、全くバスケからスポーツから疎遠になるということも避けられる。

②中堅チームは選択肢に入らないのか

Wリーグにも大企業の部活動ではないいわゆるクラブチームも存在するが、経営が不安定で親御さんとしても不安だろう。

だがプレーオフ進出を争うくらいのレベルのチームで早くから試合に出ようと考える選手は現状少ないのだろうか。

先にも少し触れたが、トヨタ自動車JX-ENEOSデンソー以外も名だたる大企業ばかりだ。

強豪チームだと強化費が多額、練習環境にも差があるのだろうか。

引退後のキャリアサポートにも差があり、上述のような強豪と比べて給与に大きな差がある、社業で良いポストにつけないなどあるのだろうか。

③高校と強豪チームのコネクション

トヨタは現所属選手の半数近くが桜花学園高OG、拓殖大OGも多い。

(超名門校である桜花のOGは各チームにいるが)

三菱電機コアラーズには常葉学園中・高、大阪桐蔭高のOGが3人ずつ所属している。

男子バスケを見ても青山学院大黄金期には洛南高OBが多く在学していた。

その青学を卒業した比江島慎はアイシンに加入したが、前後の年にも青学卒の選手がアイシンに加入している。

(比江島含め全選手が現在は移籍しているが/苦笑)

どんな組織でも派閥はあり、ましてや大企業と名門学校となれば当然のことだ。

だがもし選手の意に反して進路が決められているのだとしたら由々しき問題である。

素人目で考えると例えばアイシンエイダブリュやトヨタ紡織でどんどん試合に出て成長したいと思えるが、環境や将来に差があるとなれば話は違ってくる。

また中堅チーム側が新卒は獲らない、上位チームで出場機会に恵まれない選手を獲得するなどの方針があるのかもしれない。

選手としてはおおまかに試合に少しでも多く出て、バスケ選手として高みを目指したいパターンと引退後のことも考えてチームを選ぶパターンがあるのだろうが、現状後者が圧倒的に多いのだろう。

女性特有の事情や我が国の古い習慣もある。

バスケ界だけではそれこそどうにもならないのかもしれない。

以前は他の企業スポーツ同様移籍は難しかったそうだが、近年は長岡萌映子(富士通トヨタ)、三好南穂(シャンソントヨタ)、落合里泉(東京羽田→シャンソン)、内野智香英(シャンソン富士通)など看板選手の移籍もあり、選手の自由が保障されつつあるようだ。

またクラブチームも山梨、新潟は厳しい現実があるようだが、東京羽田は選手としても指導者としても棟方公寿氏が率いて、日本代表に本橋菜子を輩出し、今季も津村ゆり子、鷹のはし公歌ら大卒選手を複数獲得し、開幕から活躍している。

環境は変わりつつあるので、今後さらに選手の進路が多様化していけば、有望選手が分散し、チーム間の実力が拮抗していくだろう。

また従来では発掘されなかったような選手が代表入りしたり、チームの主力選手に成長したりすれば、日本女子バスケのレベルアップにも繋がる。

引退後も社業に専念する方だけでなく、Bリーグ三遠のU15コーチやデンソーのクリニックコートなどをしつつ解説者としても活動するなどバスケ界で広く活躍されている小畑亜章子さんのような方が女性でも増えていくと競技人口を増やすことも出来るのではないだろうか。

Wリーグの構造そのものは変わらないかもしれないが、選手の進路多様化による好循環が起こらないか期待している。