チームビルディングの難しさ

トヨタ自動車日立ハイテクと対戦したWリーグ3週目。

game1ではまさかと言っては失礼だが、敗れた。

スコア上では僅差だったが、内容からするともっと点差をつけられていてもおかしくなく、妥当な敗戦だった。

昨季指揮を執ったトリノス現アソシエイトヘッドコーチはコート内外ともある程度自由を与えていたような気がするが、今季指揮を執るモンデーロHCは比較的厳格なタイプ。

game2では今季初めてスターターを変更し、山本選手・三好選手を起用。

その采配が当たり快勝したが、規律や決め事に囚われすぎていて、窮屈な感じが否めない。

近年は移籍が自由化され、選手の入れ替わりも増えてきたが、旧来型の企業スポーツのスタンスを崩さないチームもある。

事情はチームそれぞれだが、日本代表選手はシーズンオフほぼ代表活動に拘束される中で、チームビルディングの難しさを感じる。

6試合を終えて1勝5敗と苦しむ昨季準優勝の三菱電機

風間選手が引退し、新加入選手はいない。古賀HCも続投。

その中でどう上積みしていくのか注目していたが、7月にウィリアムジョーンズカップで優勝。

ニュージーランドチャイニーズタイペイなど代表チームも参加する大会での結果だけに価値のあるものだ。

しかしその後思い描くトレーニングを積めなかったのだろうか。

渡邉選手が急遽代表に呼ばれたのも痛手だっただろうが、目に見えて身体が重い選手が多く、期待された若手選手の成長も見られず、シャンソン化粧品戦ではバックコート陣のローテーションができず、game2で川井選手、渡邊選手はフル出場を強いられた。

アイシンAWも似た状況にある

昨季躍進したチームとプレーオフ進出を逃したチームを同列で語るのは失礼かもしれないが、現況としては似ていると思う。

こちらは高卒ルーキー梅木選手が加入し、早速活躍している。

一色ヘッドコーチは続投。

正直三菱電機より能力の高い若手選手が揃っていると思うが、35分以上の出場が当たり前の宮下選手への負担が大きすぎる。

特定選手を使い続けることはその選手への信頼ではなく、使われない選手を信頼していないからで、トレーニングで落とし込めていない・コミュニケーションが不十分など試合以外の部分でのコーチ陣の力不足だと思う。

タイムシェアのさじ加減は実に難しい

とは言っても均等にタイムシェアしていては流れを維持するのは難しい。

トヨタ自動車はその状況に陥ってる感があり、少ない試合数の中で選手の能力の見極めや相性等の見極めをしていきたいのだろうが、選手交代が頻繁すぎて、終始バタバタしている。

しかし40分フル出場や2日連続35分以上出場などもその選手がクラッチタイムで力を発揮することは難しい。

バランスが良いチームはどこか?

理想の選手編成が出来、試合でも機能しているのは富士通だろうか。

今季スターターに定着している内尾選手、ベンチスタートのオコエ選手、松本選手、谷口選手の活躍が目立つ。

内野選手や山本選手の下支えがあるから、若手選手が思い切ってプレー出来ているのだろうが、日本代表経験のある山本選手やオコエ選手がシックスマンとして控える陣容は他チームからすると脅威でしかない。

町田選手への負担は昨季よりは軽減されているとはいえ、それでもまだ大きい。

アーリーエントリーで即戦力PGを獲得できれば陣容に厚みが増す。

トヨタ紡織三菱電機とのgame2で東藤選手がフル出場するなど試合によってプレータイムの偏りが見られるが、中川HCの考えとしてはいわゆる当たっている選手・ゾーンに入っている選手は使い続け、調子が悪いと判断すればその試合は潔く諦めるということなのだろう。

多少休ませる必要はあると思うが、流れや雰囲気を維持するには理にかなった起用法である。

チーム強化には新陳代謝が必要

この2チームが現時点で機能しているのはシーズンオフに活発な競争があったからだろう。

トヨタ自動車は現時点ではチームケミストリーができ出来上がっておらず苦戦を強いられているが、この記事を見る限りモンデーロHCの指導が形になった時、相当スケールの大きなチームになると感じさせられる。

新加入選手だけでなく、アシスタントコーチの存在も大きい。

富士通の宮永コーチ・日下コーチ、トヨタ紡織の知花コーチ、トヨタ自動車の大神コーチ。

チームビルディングの差はコーチングスタッフの質量の差が表れやすいのではないか。

また毎試合スタメンを変えてくるシャンソン化粧品仰木監督オリックスのようで興味深い←例えが古くてすみません(笑)

チームビルディングに必要なのは変化・競争・刺激ということだろうか。

Wリーグではシーズン途中ので移籍は不可能だし、アーリーエントリーも年明け。

選手のin・outで変化をつけることは今からだとほぼ出来ないが、チーム内での競争力を高め、日々刺激のあるトレーニングをすることはできる。

三菱電機、アイシンAWの巻き返しに期待したいし、JX-ENEOSの選手たちも復帰した吉田選手に頼らず、我を出していってほしい。

それが日本女子バスケのレベルアップとなることだろう。