第86回皇后杯準決勝 トヨタ自動車×JX-ENEOS

完敗、ただただ完敗。

多くの観客は昨年と変わってないと思っただろう。実際そういうスコアだ。

昨年のスコア、今年のスコアを確認するのも嫌になるくらいの試合だった。

試合の入りは決して悪くなかった。

スペイン人コーチが率いるここ2シーズンでは見たことがないハードかつ組織的なディフェンスで、引き締まった序盤戦だった。

オープンで3ptシュートを打たせることも走られることもなく、JX-ENEOSはハイロープレーしか形が作れなかった。

アンテロープスとしてはラッキーな面もあったとはいえ、吉田選手をファールトラブルに出来た。

それでも主導権を握れなかったのは絶対王者の強さであり、一発勝負の怖さであり、普段とは全く違う大きなアリーナ・大観衆の空気感なのだろうか。

トラベリングやダブルドリブルが何度もあった。

形にこだわりすぎて、3ptシュートやミドルシュートを打つことに萎縮している感もあった。

三好選手を投入して、いつも以上にアグレッシブにプレーし、3ptシュートを決めても流れを手繰り寄せられなかった。

ディフェンスは良い意味で、オフェンスは悪い意味で12月のリーグ戦とは違うチームだった。

ただシューターの消極性というよりはオフェンスリバウンドを捨てる戦術にも問題があったと思う。

昨季リーグ戦のJX-ENEOSとの対戦でも同様の戦術を採ったが、完敗した。

高さでは相手に分があることやリバウンドから走られることを恐れての対応だろう。

しかしシュートは3ptで40%、2ptで60%決まれば充分すぎるレベル。

リバウンドがいないとシューターとしては消極的になるのも無理はない。

モンデーロHCの采配も普段よりスターターで勝負する時間が長く、ベンチメンバーが出始めるのが遅かった。

特に安間選手を引っ張りすぎな感があり、歴戦の名将といえどよそ行きの戦い方を選択してしまうくらいの難敵ということなのだろう。

そして何より誤算と言っては失礼だが、吉田選手のファールトラブルにより長い時間JX-ENEOSをコントロールした宮崎選手のハイパフォーマンス。

これが完敗の一因でもある。

今までは積極的すぎるがゆえに周りを活かせておらず、ウィングで起用した方が良さが出る選手だと思っていたが、見事に操っていた。

後半はディフェンスの強度、集中力も落ちてしまった。

オフェンスで良い形を作っても決め切れず、点差は広がっていく一方だった。

まだまだ道は険しいと思ってしまった。

正直このままJX-ENEOSがリーグ戦も含めて優勝すると思う。

しかし渡嘉敷選手、吉田選手が現役の間に止めるチームが出てこなければ、日本は仮に東京五輪でメダルを獲得できたとしてもその後は世界で戦うのは厳しいのではないか。

高さに対抗できるチームが出てこないと。

高さに屈せずリバウンドを取れる、高いところから伸びてくるブロックを交わしてシュートを決められる選手が出てこないと。

JX-ENEOSを止めるチームがアンテロープスであることを願っているし、実際モンデーロHCも開幕前のメディアインタビューで来季はタイトルを獲ると公言している。

その言葉を信じて、今後も応援していきたい。