皇后杯準々決勝短評

ENEOS○78-59●富士通

欠場選手が多いENEOS。苦しい台所事情に追い打ちをかけるように1Qで渡嘉敷選手が膝を負傷。一時フロアを離れたもののベンチに戻ってきており、重傷ではなさそうだが、心配。準決勝、決勝の出場は厳しいかもしれない。

ツインタワーを失ったENEOSはリバウンド力が格段に落ちる。チームメイトも相手も誰しもがそう認識しているし、富士通としては高さのディスアドバンテージが軽減された。

ところが富士通はそこを突ききれなかった。というよりもスターターに抜擢された中村選手や藤本選手など普段プレータイムに恵まれない選手たちにも絶対女王のメンタリティが備わっていた。リバウンド、ルーズボールなど踏ん張るところで踏ん張り、オープンショットは確実に沈めた。3Qまではスコア上は互角の展開だったが、ENEOSに大きな焦りはなかったと思う。

象徴的なシーンがENEOSが55-52の3点リードで迎えた4Q9:35ごろからの流れか。富士通・藤本愛妃選手がショートコーナーからのシュートを外した。リバウンドへの反応も良くなかった。その後のポゼッションでENEOSは藤本愛瑚が1on1からディープツーを決めた。ここからじわじわと点差が離れていき、富士通タイムアウトのタイミングも悪く、終わってみれば19点差がついてしまった。スタッツで見てもENEOSはシュート成功率が3pt34.6%、2pt52.8%に対して富士通はそれぞれ22.7%、38.6%に留まっている。渡嘉敷選手が負傷退場する誰しもが予期せぬ事態に対応出来たのは絶対的なアドバンテージを失ったENEOSの方だった。

 

デンソー○85-73●トヨタ紡織

スタメンは固定されているものの、タイムシェアを徹底しているデンソー。ベンチメンバーもそれぞれ自分の役割を理解しており、誰が出ても安定した試合が出来ている。

一方のトヨタ紡織は調子の良い選手を長く使うチームだが、今季は土台がしっかりしていない印象がある。その差がモロに出た試合だったように思う。

落合監督が率いてたころの強い中日ドラゴンズは谷繁・荒木・井端のセンターラインを中心に鉄壁を誇った。バスケだとPGとCに柱となる選手が必要ではないか。今季のトヨタ紡織はここが安定していないので、戦い方にブレがある。戦力で比較するとデンソーとは経験値以外はほぼ互角だと思うが、チームとしての土台が違うので、必然の結果ではないだろうか。

 

三菱電機●79-83○日立ハイテク

リーグ戦前半で7勝3敗のチーム同士の対戦。地区が違うため対戦相手が異なり、また相性もあるため、単純比較は出来ないものの、東西の実力を測る1つの物差しにはなる一戦。

日立ハイテクも苦しい台所事情にあり、曽我部選手が欠場。鶴見選手もプレータイムをセーブしながらの出場。ゲームコントロールは主に北村選手が担う中で自分たちの戦い方を貫いた。終始拮抗したスコアで進んだが、最後は渡邉選手頼みになった三菱電機に対し北村選手、谷村選手の2枚看板で得点を重ねた日立ハイテクが上回った。

 

アイシンAW●65-98○トヨタ自動車

フィジカル、HCの引き出し、コートで表現できる力。アイシンAWトヨタ自動車の差は主にこの3点かと思う。語り出すと長くなるので別記事で上げるかもしれないし、長くなりすぎて上げるのをやめるかもしれない←

 

 

準決勝はENEOS×デンソー日立ハイテク×トヨタ自動車。両カードとも東西対決となった。下馬評ではENEOSトヨタ自動車がリードしているだろうが、ENEOSは試合に出られなさそうな選手が多い。ツインタワーが共に欠場となる可能性があり、かつデンソーはウィング陣のサイズがある。デンソーが主導権を握れる可能性すら漂う。トヨタ自動車アイシンAW戦の前半は攻めあぐねていた。日立ハイテクは3ptの確率次第では勝機もある。

熱戦を期待したい。