フロンターレに勝つために必要なこと

グランパスも12試合で9勝2分1敗、失点3という素晴らしい成績だが、それでも1位ではないというのはスペインリーグに行けという声が鳴り止まないのも頷ける川崎フロンターレの強さ。

 

そこで今年のフロンターレの強さを探ろうと4/11のFC東京戦を見てみた。この試合にしたのはFC東京に名前・顔が一致する選手が多いこと(最近はWリーグヲタクなのでJ1の主力級でも知らない選手が多くて笑)、実況西岡明彦さん・解説岩政大樹さんの知識を聞きたかったから。

 

守備が固いとまではいえないが(12試合で8失点なので充分固く、グランパス基準で考えると評価が厳しくなる笑)、それを隠せる圧倒的な攻撃力が備わっている。12試合中5試合で3得点以上、合計22得点である。そのチームを司るのは今季グランパスから移籍したシミッチ選手。左右にボールを散らすプレーメーカーとしての役割だけでなく、スイッチを入れる楔のパスも。開幕前には一部評論家からは補強ではなく補充だとかチャンピオンチームならもっと大型補強をとか言われていたが、昨年との違いを生み出しており、完全なる補強。戦術や監督の好み等あるとはいえグランパスで彼の才能が発揮し切れていなかったのは残念としか言いようがない。

余談はここまでとして、シミッチ選手のところをどう抑えるかがキーポイントだろう。不用意に飛び込めば簡単に剥がされて、川崎の思うツボだが、自由にさせてしまうと一方的な展開に。ミドルサードにも侵入させない・ディフェンスラインから繋がせない猛プレスでシミッチ選手に持たせない・孤立させる展開に持ち込みたい。

FC東京は前半の前半プレスを前からかけられず、シミッチ選手対策でD・オリヴェイラ選手が下がって対応。そのためボールを奪えてもチャンスに繋げられなかった。むしろすぐに奪われていた。バスケのようにタイムアウトがないサッカーなのでなかなか修正できず。飲水タイムで何とかした。

 

丁寧に繋ぐところと長いボールを蹴るところの意識共有

繋ぎたい選手と縦に急ぎたい選手。この意識が共有出来ていないと繫がってもチャンスにはなりにくく、奪われると一転第ピンチ。東京の2失点+VARにより無効となった三笘選手のシュートはいずれもここに起因している。

 

単純に中にロングボールを入れてもジェジエウ選手に跳ね返される。サイドチェンジは有効。川崎のフォーメーション上、サイドの選手へのマークのスライドはどうしても遅れる。そこから一気に攻め立ててクロスからファーで3人目が勝負。東京の2点ともそのパターン。サイドチェンジを交えて左右バランス良く攻撃したい。右サイドからもチャンスを作れるか。

 

 

昨シーズンもホームでは勝利しているし、ドン底の状態だった一昨シーズンですら勝利しており、相性としては悪くないのかもしれないが、実際のところフロンターレの方が強い。風間氏が5年率いて彼のメソッドがユースチームにも浸透し、今ではユース育ちの選手が主力に。現監督も風間氏の下でACを務めていた鬼木氏のフロンターレグランパスは風間氏が2年半率いたが、その間選手の入れ替わりが激しく、チーム・クラブにメソッドが浸透せずにフィッカデンティ氏に交代。戦い方はガラリと変わった。

実際昨年の等々力での対戦ではフロンターレが力の差をまざまざと見せつけた。そこから名古屋の守備は進化しているが、川崎相手に進化が試される。ACLによる日程変更で連戦。BリーグWリーグは基本仕様だが、それでも外国籍コーチや選手はやりづらさを口にする。Jリーグではルヴァン杯の決勝トーナメントで起こる程度であまりない。リーグ戦で2試合連続はイレギュラーすぎる事態で、両チームにどれだけ戦い方の引き出しがあるのか注目していきたい。

 

何はともあれ、名古屋が勝つには先制点を奪えるか。これに尽きるが、先制しても得意のウノゼロに持ち込めるかとなると難しい相手。追いつかれた時にどう耐えるか。今までの相手のように守っていては逆転されてしまうだろう。

 

とにかく強い相手だが、この2試合で最低でも1つは勝たないと優勝はほぼ無理。今季の命運を握る黄金週間に注目したい。