Tokyo2020 3x3日本代表は男女とも準々決勝で終戦

女子 🇯🇵日本14-16フランス🇫🇷

予選リーグ後半から調子を上げてきたフランスが日本をみっちりとスカウティングし、アメリカが待つ準決勝に駒を進めた。

日本は2ptシュートが0/5、山本選手は2ptに終わった。2ptシュートのアテンプトすら少なく、山本選手のスピードも封じられると厳しい。その中でも篠崎選手のドライブは脅威を与えていたと思うし、いつもどおり相手にファールを重ねさせることはできていた。

五輪予選ではフランス、五輪本大会予選リーグでは日本が勝っており、両チームの差はごくごく僅か。次対戦したら日本が勝つと思うが、大舞台で勝てなかった事実は受け入れるしかない。選手たちはその僅かな差を突き詰めて、今後Wリーグ、日本代表でさらに逞しくなった姿を見せてほしい。

堂々と立ち向かったことは誇りに思ってほしい。選手たちは大柄な相手が揃う強豪国相手に互角の戦いをしてくれた。コーチングスタッフは強みと弱みを見極め、世界で戦えるチームを作り上げた。

しかし協会のお偉方には言いたい。他競技では出来ていること、もっと言えば5人制男子はフィリピンから帰国後すぐに東北で強化試合をしているのに3x3女子は五輪予選から帰国後2週間ホテル隔離を強いられたのか。五輪予選後FIBA主催の公式大会に参加している国もある中で、5人制代表強化試合の会場での壮行会等もなく、表舞台に出ることがないまま五輪を迎えた。

五輪予選後の7週間を有効に使えていたらスタミナ切れする試合はなかったかもしれない。ベスト4に進めたかもしれない。ここまで進めれば、あのように泣き崩れて終わることにはならかったと思う。そう考えると非常に恨めしい。

 

男子 🇯🇵日本18-21ラトビア🇱🇻

予選リーグ最終戦でいくつもの勝ち上がり条件をクリアし、決勝Tに進んだ男子代表。富永選手の決定力の高さなど見ていてワクワクする部分はあったが、チームとしての経験不足は拭えず。またしても勝てそうな勝てず、大会を終えた。

男子に関してはこの4選手が果たしてベストだったのか。ロマン溢れる富永選手だが、ディフェンス力、経験に疑問。38歳のブラウン選手はスタミナ面に難があった。サイズがあるわけではなく、3x3経験も少ない。例えばルーク・エヴァンス選手など他にも3x3に取り組んでいる帰化選手は何人かいる。落合選手は先駆者で3x3を知り尽くしている選手だが、彼の特長が活きるメンバー構成ではなかったように思う。

 

 

男女とも自国開催で採用された新競技だからチームを編成した感が強く、5人制とのサポート体制の大きな違いがあったように思う。

そういう環境下でメダル獲得こそならなかったものの、3x3の魅力はこの五輪を通して日本国民に伝わったと思うし、元からバスケに興味があった人は今までは知らなかった選手の名前等を覚えたと思う。これを今後に繋げていけるか。協会には大きな使命が課せられた。

  • 競技力向上において

試合ではコーチが指示を出せないので自分たちで考えてプレーする力が身につく。5人制だとメンバー入りしてもベンチを暖める時間が長い選手も多いが、3x3なら皆ほぼ均等にプレータイムがある。スペースの使い方、P&Rなど2メンゲームのクオリティアップ等々レベルアップできる要素が揃っているが、育成年代でもトップカテゴリーでも3x3を軽視しているチームが多いように思う。上手く活用すれば選手個々のスキルが上がり、日本バスケ全体の底上げができるのではないか。

 

  • 興行として

国内には3x3 EXEというセミプロのリーグがあるが、五輪に出場した選手やここ2,3年で代表候補に選ばれた選手はほとんどがBリーグ(男子)、Wリーグ(女子)のチームに所属している。

男子の場合、富永選手はアメリカの大学に在学中、落合選手はBリーグのチームに所属はしているが、3x3の活動を優先している。また保岡選手、杉浦選手などはBリーグのシーズンオフにEXEのチームに籍を置き大会に出場している。しかし彼らは率直なところBリーグのトップレベルの選手とまでは言えない。女子は2015年アジアカップ出場の篠崎選手、2019年の強化試合に出場している馬瓜選手など5人制代表に選ばれるだけの実力がある選手が3x3代表に名を連ねている。選手のレベルは高いが、彼女たちは3x3の国内大会には出場していない。馬瓜選手、山本選手、永田選手、平下選手のユニットでEXEとは別の国内大会に一度出場しているが、フィジカル差がありすぎて、ディフェンスをつけてのシュート練習や連携確認程度にしかならなかった。本気でやると相手を怪我させてしまうからだろう。要は男女とも五輪のイメージをもって見ると力量差が大きすぎるのだ。

BリーグWリーグのチームが3x3チームも保有すればシーズンオフに選手を強化できて、本来露出が減る時期の‘ネタ’を作ることも出来る。またBリーグは契約選手枠が少ないが、3x3チームをセカンドチーム的な位置付けで保有すれば通年で育成・強化の場を作れて、けが人が出たときなどリスクマネージメント(追加登録、トレーニングパートナー)としても有効ではないか。BリーグWリーグのチームに所属している3x3メインの選手がいても構わないと思う。

よりレベルの高い選手が参戦すれば興味を持つ人は多いに違いない(HPが見にくいということはさておき…)

 

  • バスケ普及の観点から

Bリーグ開幕以降借り手がいない倉庫を改装したコートなどプレーできる場は増えているようだが、五輪で3x3が話題になったことでその傾向は加速していくかもしれない。ただ現状のままだとフットサルのように競技人口は多くても、国内トップリーグの人気はイマイチという状況が生まれる可能性は否定できない。若年層(特に小中学生)の競技者を増やし、彼らの憧れの場としてNBABリーグWリーグだけでなくEXEも含まれるような取り組みが必要だろう(私には具体案が思い浮かばないが……)

 

3x3の強化・発展からは話が逸れます。

男子3x3代表選手は前述の通り、Bリーグのトップレベルとまでは言えない。また男子5人制は強化試合が地上波生中継されるなど話題を集めているが、中心選手は海外組。現地観戦することは難しく、配信サービスも決して安いとはいえず、ハードルが高い。馬場選手のオーストラリアNBLに至ってはよく分からないサイトでしか見られない…苦笑

一方女子は3x3も5人制も全選手がWリーグのチームに所属している。アメリカに勝つ、メダル獲得など話題性を作れればWリーグの可能性は更に膨らむのだ。配信の質向上、試合前後のイベント充実など今のうちに是非お願いしたいところです。

 

あと2点ほど。

  • 3x3女子代表選手の今後の目標

篠崎選手は最初で最後の五輪と公言しており、5人制含めて実質代表引退となるのだろうが、他の3選手が3x3でパリ五輪を目指すのか5人制代表入りを目指すのかは気になるところ。個人的には3x3でリベンジしてほしいと思う半面、コントロール能力が高いPGもピュアセンターも人材難で、スーパーサブ的な存在も欲しいので5人制代表を目指してほしい気持ちもある。スキルアップのための二刀流はありだと思うが、今シーズン終了時には大目標は定めておくべきだろう。次の五輪は3年後だ。

 

  • 五輪の過密スケジュールはどうにかならないか

今回は新種目で競技団体側の意向が通りにくい背景はあったかもしれないが、1日2試合を5日連続でこなすスケジュール(予選リーグ上位2チームは4日目は1試合のみ)は次回以降の改善はマスト。1日は休養日が必要だし、予選リーグ最終戦と準々決勝は別日にしないと2位に入れるかどうかのチームは心の準備が難しい。

もっとも次回以降も採用されるか、採用されたとして参加国がいくつかも分からないが、殺人的スケジュールだけは解消してもらいたい。