日本バスケは東京五輪で終わるわけではない。女子で考えると9月末〜10月頭にかけてアジアカップが行なわれ、その後すぐにWリーグが開幕。次の五輪は3年後。PDCAが常に必要である。
まずは男子について。
W杯に続き五輪も未勝利に終わった。ここ3年で分かったのは海外組がベストコンディションで臨めるとアジアのトップレベルではあること。Bリーグは試合数が多く、女子のように長期間合宿を行なってチームケミストリーを高めていくやり方は出来ない。仮にBリーグの試合数を減らして同じやり方をしようにも男子代表の土台は海外組で、彼らはシーズン中に行なわれるW杯や五輪の予選には参加できず、本大会時の合流も直前。国内組が日常で個を磨き、代表では短期間でチームを作る。これはどんな名将でも非常に難しいが、海外組には絶対的な能力の高さがある。
となるまずはBリーグが世界基準のリーグになり、海外でプレーする選手が増えることが近道なのかもしれない。しかし現状のBリーグは外国籍枠が多く、特にインサイドプレーヤーの人材不足は深刻。クラッチタイムを制するのも外国籍選手が多く、ガードも含めて日本人選手に勝負強さが身に付かない。インサイドだけでなく、ゲームをコントロールできる司令塔不在も浮き彫りになったが(田中大貴選手は純粋なPGではない)今のBリーグは世界基準の司令塔が育つ環境なのかという疑問もある。
男子5人制について、昨日島田チェアマンも言っていましたが、BとJBAで話し合いながら引き続きレギュレーションを考えていきたいと東野技術委員長。具体案は提示されませんでしたが、国内組の力をどう付けるかが大事という認識は変わっていません。まぁ、ここは都度問いかけていこうと思います。
— 松本麻美/Asami MATSUMOTO (@Asa_asa_sports) 2021年8月11日
国としてどうレベルアップしていくか、協会とリーグで強化ビジョンにズレがありすぎないか、アンダーカテゴリーとの連携は出来ているか(佐古氏はレバンガ北海道のHCに転身したが…)などなど課題は山積み。東京五輪は開催国枠で出場したが、次回の出場権を掴むことは相当ハードルが高い。
続いて女子。
前回の記事でも触れたように少なくともパリ五輪までは世界トップレベルにはいられると思うが、成功した今のやり方で思考停止してしまってはあっという間に飲み込まれる。
↑は女子サッカーの話だが、女子バスケ界にも通ずる内容ばかりで耳が痛くなる。中国は高さだけでなく、速さやシュート力を上げ、年々レベルアップしている。欧州ではベラルーシ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、イタリアなど東京五輪に出場していない国が欧州選手権で健闘していた。すぐに追いつき、追い越されてしまう。
Wリーグの現状を考えると世界基準には程遠い。2ガードやウィングにスピードがあるタイプを並べるなどスモールラインナップを敷くチームが多い。得点は速攻からのレイアップシュート、クイックモーション&ボースハンドでの3ptシュート。ディフェンスで奇策を仕掛けるチームは少ない。
しかし五輪でのアメリカとの2試合では普段なら決められそうなシュートがいとも簡単にブロックされた。マンツーマンでディフェンスすると高さで圧倒される。トラップディフェンスは失敗するとインサイドがガラ空きになり、失点しスタミナも消耗する。
#Tokyo2020 #Basketball#AkatsukiFive 女子日本代表
— バスケットボール日本代表 (@JAPAN_JBA) 2021年8月9日
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各選手が現状を認識し、課題や取り組むべきことを口にしている。
- フィニッシュのところでブロックされてしまう場面がたくさんあった。工夫が必要(髙田選手)
- フィニッシュ力、スキル向上(町田選手)
- フィジカル強化(林選手)
- アジャストされたときの一人ひとりの判断をもう少し早くできるように(宮澤選手)
- シューターももう少しドライブができるようにする(宮澤選手)
- 一人ひとりの目標設定(髙田選手)
- より嫌がられるようなプレー(林選手)
- 普段からサイズ、フィジカルがある選手を想定して練習(宮澤選手、赤穂選手)
様々な声が挙がるのも決勝進出した・アメリカと2回対戦できたからこそではあるが、これらを克服していかないとアメリカとの差は詰められない。しかし男子とは違う意味で日常を世界基準にすることの難しいのが今のWリーグ。練習で意識しても試合では勝利のために最善の方法を取らないといけない。怪我も怖い。渡嘉敷選手もあの時ブロックショットにいかなければ怪我は防げたかもしれない。
- 海外移籍しやすい風土作り(語学教育なども含めて)
- 移籍先で契約解除されてもシーズン途中でWリーグに登録できるルール策定
- 外国籍枠導入
- レンタル移籍制度
- 育成リーグ創設(代表活動期間など)
- 2部制導入
- 試合数増
- ホームゲーム増
普段からアメリカやフランスなどの代表クラスの選手と練習をともにし、試合でマッチアップしていたら、それはまさゆ日常が世界基準。もし海外移籍して途中で契約カットされてしまったとしてもそれを国内にすぐ還元出来ればプラスはある。2部制導入、試合数増で拮抗した試合を増やせればレベルアップ、ボトムアップも出来る。高卒選手が減ってきた近年だが、数少ない高卒も伸び悩んでいる感が否めない。レンタル移籍や育成リーグにより伸び悩む若手の実戦の場を増やしたい。リーグ主管や地方協会主催ではなくホームゲームを増やして、ファンに見られてる・叱咤激励されてる意識が強くなれば自ずと試合に向かう姿勢も変わってくる。
これらにより高卒、大卒、五輪メンバーから漏れた中堅・ベテランが切磋琢磨し、競争原理をより働かせたい。
また男子のように二重国籍選手など大型選手の発掘も必要か。そのためには男女でそれぞれに技術委員長が必要か。宮澤選手が言っていたアジャストされた時の判断力に関してはコンボガードタイプの選手の育成の必要性を痛感。
幸い海外挑戦支援やミックスの選手の発掘、Wリーグ活性化を検討していくことは明言された。今すぐ出来ることばかりではないし、様々な利害関係が発生するだろうが、言うだけでなく真剣に検討し、やれることはすぐに始めてほしいと切に願っている。