世界一のアジリティ追求に向けて

女子バスケアジアカップが開幕した。当初暫定HCとしてこの大会を指揮すると発表されていた恩塚氏が正式にHCに就任、既にパリへの戦いは始まっている。

今日のインド戦でもアジリティ、原則を活かしつつもナンバープレーに縛られない、全員がシンクロする恩塚HCが掲げるスタイルの片鱗は見られたが、真価が試されるのは五輪にも出場している韓国、中国、オーストラリアとの対戦時だろう。

こうした新スタイルの完成形を想像するだけでまさにワクワクするが、私が最近ハマっている女子サッカーWEリーグのINAC神戸レオネッサを見ていて、恩塚HCが目指すアジリティや全員がシンクロする意味が何となく理解できた気がする。

INAC神戸について少し説明します。

21世紀に入ってから創設された比較的新興クラブだが、なでしこリーグ参入後3度のリーグ優勝を果たすなど女子サッカー界3強の一角。チームを一言で表すならば完成度が高い!

前シーズンを昨年12月末に終えている。そこから少々選手の入れ代わりがあったようだ。監督はかつての黄金期を率いた星川敬氏が再登板(女子バスケで例えるならトム・ホーバス氏がENEOSに戻るようなものです)。前シーズンまで属していたアマチュアなでしこリーグ春秋制だが、プロ化により誕生したWEリーグは秋春制。ブランクを埋めるべく春はプレシーズンマッチを行なったものの公式戦はなし。日本代表選手は五輪に向けた活動でチームにいない期間も長かった。連携構築は難しいはずだが、チームの土台がしっかりしているのだろうか。開幕戦から魅惑のハーモーニーを披露した。

攻撃的な守備、よく聞くフレーズだが日本だとサッカーでもバスケでも元気印が空回り気味に守備にいったり猛プレスを仕掛けるも後ろが付いてこられず交わされるシーンをよく見る。INAC神戸の前線からの守備はFW、MF、DFのスリーラインが連動していて、スライドもしっかり出来ていて、マークする選手のズレが起きない。そして相手がハーフウェイラインを越える前に奪い取ってしまうケースが多々。いや奪い取るというよりもいつの間にかポゼッションが入れ替わっているといった表現が適切かもしれない。星川監督は選手たちに動きすぎるなと指示することがあるそうだが、その指示は守備時に特に出ており、無駄な動きがないので、マイボールになった時に効率よく・手数少なく攻められる。動きすぎず、原則を活かしてプレーしているので、ポジショニングの流動性は持たせつつも個の判断でダイナミックすぎる変化は作らない。

攻守の切り替えが速いと言ってしまえば簡単だが、人の動きが速く、相手に不利な方にボールを回させて、あっという間にマイボールにしてしまう。頭の切り替えが速いと言うべきか。

昨日のジェフレディース戦の2点目を決めた伊藤選手は「成宮選手がターンした時点で外から裏を取るのではなく、守りにきた選手の内側から裏を取ろうと動き出した」と試合後に語っているが、こういう意識をチームとして共有できているのだろう。高い位置でマイボールにしてもサイドから攻めればその分時間はかかり、相手に守備陣形を作る時間を与えてしまう。サッカーはバスケのようにコーナーから得点を決めるのは極めて難しいスポーツである。

2021-22 Yogibo WEリーグ | 試合 | INAC神戸 レオネッサ

 

選手の特徴を説明するとクリスティアーノ・ロナウド本田圭佑のようなスーパーな選手は居ない(えっ?例えが古い?w)

ステファニー選手のようなフィジカルモンスターも渡嘉敷選手のようなアスレティック能力がずば抜けた選手も篠崎選手のような忍者も居ないが、とにかく皆巧くて賢い。

何より左右両足で正確なキックができる選手が多いことが強みか。バスケでいうと純粋なPGもCも置かず、オールラウンドなSG、SFを揃えたチームって感じです。

バスケはよりフィジカルコンタクトが多いスポーツで、当たり負けしない身体作りがサッカー以上に求められるが、ナンバープレーにに縛られない・全員がシンクロするという部分で相通ずるものがあると感じた。

 

その中でも私が特に巧いと思ったのが昨日の対戦であるジェフから今シーズンより新加入したという#17成宮唯選手。

攻守にポジショニングがよく、攻撃では誰がマークにつくのかの判断を狂わせる絶妙な位置でボールを貰うことに長けていて、守備では読みがよく、スルスルと現れてパスカット。ボールを持つと置きどころが巧みで、特別フィジカルが強いわけではないが、簡単に奪われない。

バスケでいうとどういうタイプかなと考えたところ、東京五輪3x3アメリカ代表ケルシー・プラム選手を思い浮かべた。WNBAチームに所属する彼女はおそらくあちらの基準だとそこまで大きくなくて、フィジカルも標準だと思うが、ドライブし始めるとディフェンス側は手を出しづらく、シュート態勢に持っていくまでの動作が流麗。こういうタイプの選手がいるチームは強いと思う。

 

この成宮選手が今までフル代表に選ばれた経験がなく、でも女子サッカーファンの間ではよく知られた存在だったようで、星川監督の指導を受けてさらに才能を伸ばしてるとのこと(星川監督の動きすぎるなという指示を今まで受けたことがなく新鮮だったようです)そう考えると女子サッカーも面白いなと思って、今ハマりつつあります。男子バスケにしてもBリーグが出来てレベルが格段に上がったわけではなく、プロリーグが出来て見始めるってまぁミーハーなだけですがw

(地元にWEリーグのチームがあったらこのブログのタイトルがWLEAGUEからWELEAGUEになっていたかもしれません←)

リーグの傾向としてはINAC神戸と日テレ・東京ヴェルディベレーザ浦和レッズレディースが3強で少し抜けていて、他のチームはFWがやや迫力不足という印象がある。外国籍枠があるのでFWにお給料安くて優良な選手を連れてくると一気に飛躍もあり得る。

 

WEリーグは毎節1試合YouTubeで配信しているので是非一度見ていただきたい。

のですが無料で見られるYouTubeだと少々画質が悪いので、よかったら全試合高画質で見られるDAZNを契約してください!

↑決してDAZNの回し者ではありませんw

 

女子バスケアジアカップも見られますし、(スポーツ好きにとっては)フジテレビのCSよりはアジアカップ終了後も色々楽しめるはずです。

 

次回は明後日か明々後日にアジアカップグループステージ総括を。

それでは。