マイシマの奇跡 〜女子バスケW杯予選 日本×カナダ〜

むかーしむかーしアトランタ五輪のサッカーで日本がブラジルに勝った偉業はマイアミの奇跡と呼ばれてますが、それに掛けてのタイトルですw

あの時の日本とブラジル、今回の日本とカナダでは実力差がだいぶ異なりますが(笑)、3Qで最大20点差開いたところからの逆転勝利なので結構な奇跡だと思います!!

 

内容としては悪かったですね、ハイ…勝てたのが不思議なくらいに…でも公式戦なので勝てばいいんです!このご時世において対外試合も組めないなど万全の準備で臨めなかった、招集したい選手のコンディションが整わなかったという中で(カナダもキア・ナース選手不在、新HC就任は1月、今予選に向けての準備期間は4日間など日本以上にエクスキューズはあるようだが)勝つことが全て。

ましては女子バスケではめったにない日本国内での公式戦であり、あの劇的な試合は見る者に大きなインパクトを与えたことだろう。冬季五輪と被ってしまったのは残念だが、国内での有観客のバスケ代表公式戦で考えると千葉ポートアリーナで男子代表がオーストラリアを破った時くらいの価値があるはずだ。

 

ホーバスHCなら何やってんですかっ!リバウンド強く!!など怒声が聞こえてきそうな試合で、課題を挙げ始めたらキリがないが、まずはポジティブな要素をどんどん挙げていきます(笑)基本時系列でいきます!

 

  • うちの子が大活躍

ここめちゃめちゃ重要です😆

山本選手はディフェンスで相手を追い詰め、オフェンスでも3ptシュート2本を含む12pt。攻守にインテンシティの高さを見せつけた。今大会最年少ながらベンチでも一番声を出し、コート上の選手に力を与えていた。

ステファニー選手はチーム最長プレータイムにしてスコアリーダーとなる18pt。華麗なステップで会場を沸かせた。

三好選手も決してプレータイムは長くなかったが、勝負どころで3ptシュートを決め、ディフェンスでも山本選手のような派手さ(?)はないものの相手のボールプッシュを遅らせた。

 

  • どんな相手にも通用する宮崎選手のスピード

出だしは宮崎選手の切れ味鋭いドライブで主導権を握った。3Q終盤のバスケットカウントは日本に流れを手繰り寄せた(あれがなかったら私はそっ閉じしていたかもしれない)

ベンチには山本選手、本橋選手がいて、コートイン直後に得点。3選手とも常にフルスロットルでプレーしていて、これが4Q以降カナダの息切れに繋がっていたのではないか。

 

  • 1Qで10選手を起用する積極采配

とりあえずコートインさせた感は全くなく、皆持ち味を発揮しており、恩塚HCと選手たちの信頼関係の高さが見えた。

 

  • 初試合で完成した渡嘉敷・山本ホットライン

長く見ているファンの方々にバスケットLIVEで解説を務められていた吉田亜沙美さんとのコンビネーションを彷彿とさせると言わせしめた。華麗なアリウープが2回見られるなど好連携を披露。ボスニア・ヘルツェゴビナ戦でも期待したい。

 

  • ファウルが嵩む中で耐えた3Q 

2分半でファウルが4つとなり、ステファニー選手は一度ベンチに下がった。その中でファウルをせずにディフェンスで耐えた。それが先述の宮崎選手のバスケットカウントに繋がり、一桁点差に縮めて4Qに入ることができた。

 

  • 4Qはカナダが早々にファウルトラブル

20秒で3つ、日本が粘っこさを発揮し始めた。カナダは足もメンタルもやられている感があったが、その中で日本はボールが回り、3ptも決まり始めた。そしてリバウンド争いの中でカナダはアンスポーツマンライクファウルを取られてしまった。日本はそのFTもしっかり決めるなど前半とはまるで別のチーム。最初から出来るといいのだが(苦笑)、アジアカップもこういう感じだったし、盛り上がったし、ヨシとしましょう😆

 

  • 赤穂選手の超人ぶり

40分を終えて選手たちはインターバルで笑みを浮かべていた。勝てるだろうと思ったが、それを確信に変えた赤穂選手のビッグプレー!勝利打点的な3ptシュートも◎

※圧力を受けたので以下加筆(言い方w)

ベースボールマガジン社から出版されている書籍の中でも自ら語っているようにリバウンドをすべて取りにいく姿勢は素晴らしい。バスケ少年少女はまずこういうところを見習って欲しい。

語られ尽くしてるとは思うが(笑)、ヘルプディフェンス、ディフェンスリバウンドからの走り出し、カッティングなどタイミングのセンスが抜群。この辺りは見習いたくても簡単に出来ないとは思うが、指導者が研究して選手に落とし込めるといいですね。

そして圧力を受けて(だからww)改めて見直してみて、コーナーでのオフボール時のポジショニングが向上しているように感じた(マルコビッチHCの指導の効果もあるのかもしれない)今までは45度やトップからのフォワードなプレーが多かったが、コーナーを起点に動き出してバスケットカウントを獲得した4Qのプレーは圧巻。アウトサイドからのシュート力も上がっているので、デンソーでもどんどん打っていくべき。3ptシュートの脅威を相手に植え付けられればますます守りにくい最強のオールラウンダーへと神化していくだろう。

ステファニー選手と共に恩塚ジャパンを牽引していくであろう存在、2人ともWリーグに留まらずWNBAや欧州でプレーしてほしい。

赤穂選手、ステファニー選手と髙田選手、渡嘉敷選手、さらには町田選手、宮澤選手が融合し完成したらどんなチームになるのか。まさにワクワクですね〜!

 

課題としては…

  • 髙田選手と渡嘉敷選手の共存

この試合の中での最大の課題。2選手が揃って出るとオフェンスが重くなった。幅を作り出せない。2019年アジアカップでは普通に機能していたが、これはホーバススタイルだからなのか町田選手がいたからなのかはたまたその両方なのか。恩塚スタイルでどう共存していくか。ここを解決するとパリで金メダルを目標に掲げても現実的なものとして扱ってもらえる。

※渡嘉敷選手のローポストアタックが全くと言っていいほど通用していなかった(竹内のようだと言ってる方がいたけど、私にはどの竹内のことかは分かりません←)これは2年ぶりの国際試合だからなのか大怪我でアスリート能力が下がってしまったからなのか。ボスニア・ヘルツェゴビナ戦を見て判断したい。

 

  • 日本の戦い方が研究されている

カナダはルーカス・モンデーロHC(トヨタ自動車)の下でACを務めたこともあるビクトル・ラペーニャHCが指揮を執っている。モンデーロHCから情報を得ていたのかは分からないが、2Q〜3Q半ばまでは完全にカナダペース(結果うちの子たちが活躍して日本が勝ったのでうちのチームの勝利とでも言うべきか 違)

さておき、日本はリバウンドに人数を掛ける。それに対して体格で上回るカナダがトランジション出来ないよう押し込んできた。日本はディフェンスリバウンドを確保するのに精一杯で走れない・ハーフコートオフェンスでパスが回らない、結果が3ptシュートのアテンプト機会すら少ない。何とかシュートファールをもらってもFTの確率が悪い。対するカナダは1Qでは#21フィールズ選手のドライブ頼みだったが、他の選手たちの3ptシュートが決まり始めた。とにかく悪循環だった。

その中でも耐えて逆転勝ちしたのはスタミナ、集中力の賜物であるが、これはホーバスHCの遺産。大事な部分ではあるが、戦術・戦略で強敵を倒すチームが見たい。

 

  • 柔軟な采配を

タイムシェアを徹底するのは恩塚HCのスタイル。試合前に10人で戦うと決めていたのかもしれない。ただやや機械的な采配だと感じた。調子の良い選手・当たっている選手はもう少し連続で使い続けても良いと思う。「今山本選手代えちゃうの〜?!」的な交代が何度かあった。

それ以上に気になったのが日本の良さが全く出せなかった2Qに手を打てなかったこと。スペースがないのなら動いてスペースを作り出せる近藤選手を投入しても良かったと思う。彼女自身の得点はなかったとしても打開するキッカケにはなったかもしれないし、谷村選手含め手を出し尽くして欲しかった。

 

とここまでああだこうだ書いて思うのは正直なところホーバスHCの遺産、銀メダル・アジアカップ優勝の経験(主にメンタル的なところ)で勝っている面が大きいと思う。ここから恩塚HCがどう自分の色を出していくか。

トヨタ自動車は現在アソシエイトコーチを務めるトリノス氏がHCに就任した18-19シーズンで前コーチ陣のシステマティックなスタイルから一転して選手個々の特長を前面に押し出した。結果安間選手、ステファニー選手の成長を促し、翌シーズンからはモンデーロHCが就任し今に至っている。日本代表も制約が少なくなるであろう夏以降恩塚HCが戦術・規律を叩き込むものだと期待している。

 

最後になりますが、日本開催に向けて尽力された関係者には敬意を表したい。昨年末以降スポーツのビッグイベントが次々と中止になる中で日本政府やFIBA、参加各国との調整は大変だったと思う。正直日本で開催出来るのかという疑念の方が強かったが、大きなトラブルなく(ですよね?)初日を終えられたことは素晴らしい。今後も女子の国際大会を誘致してほしいです。

だってジョアネス選手とか観たいですもん😄