PSM 名古屋D対ソウルサムソン

このところの男子バスケ界はショッキングなニュースが続き、正直私もBリーグ開幕に向けてテンションが上がらない面はあった。

ごくごく一部の選手のコート外でのこととはいえ、切り離せなかった。

今日も何だか引っかかる場面を見てしまった。

しかし昨季QFから進化したドルフィンズのバスケ、チームワークの良さ・一体感、そして何より幹部・スタッフも含めてのクラブ一丸となり今季を戦っていこうという意気込みが伝わってきて、同時にバスケの持つパワーを感じることが出来た。

昨シーズン終盤に掴んだ手応えと大アウェイのQFであと一歩のところまでいきながら敗れた悔しさが向かうべき道を固めたのだと思う。

開幕節は観戦を予定していなかったが、観に行きたくなるくらいドルフィンズに魅了された。

そしてバスケの持つ魅力、人々の心に与える影響力が良くも悪くも大きいことを感じさせられた一日だった。

今季も自分自身が楽しみつつ、時に厳しく、時に暖かく、Bリーグを含めバスケを見ていきたいと思う。

さて試合についてつらつらと。

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両チームとも翌週にアーリーカップ、さらにはマカオでのテリフィック12を戦うが、ドルフィンズの仕上がりの良さが目立っていた。

昨季はアーリーカップ翌週に対戦したが、その時のドルフィンズは選手間のコンディションにばらつきがあり、迷いが感じられる場面も多々あった。

今季は梶山ヘッドコーチが2年目、主軸選手もほぼ残留し、目指すスタイルに変化はない。

新加入選手も退団した選手よりさらにドルフィンズのスタイルと合致しており、昨季終盤に築き上げた土台にさらに上積みされた印象がある。

全選手動きはよく、あとはシュートタッチ、パスなどディテールを仕上げていくだけの状態ではないか。

ただ引き続きディフェンス面には課題があるだろう。

後半はダブルチームも多用して前から積極的なディフェンスを仕掛けてはいたが、トップやコーナーからオープンで打たせてしまう場面も多く見られた。

事実100点取ったが、85点取られている。

西地区で琉球の上をいくにはディフェンス力を上げなくてはならない。

外国籍選手が今季のBリーグのレギュレーションとは異なり、3選手がベンチ入りし、交代で出場し、ほとんどの時間でオン2だったこと。

ソウルのコンディションがあまり良くなかったことを差し引いてもトータルで見て開幕に向けて期待を持たせる内容だったことは間違いない。

アジア大会から帰国間もないためこの試合を欠場した張本、負傷離脱中の笹山が合流し、どう肉づけされるか注目していきたい。

続いて新加入選手についての印象、評価等を。

PGは柏木、藤永が移籍し、滋賀から小林、社会人チームから笠井が加入した。

小林はディフェンス力はやや劣るが、得点力が高く、ドルフィンズのスタイルにも合っているように思う。

個人的にはPGの一番手だ。

プロ一年目の笠井は3番手としてまずはBリーグの水に慣れることが必要か。

オフェンス回数を増やすスタイルのドルフィンズだけにプレースピードに適応することが最初に求められる。

いきなり多くを求めるのは酷だが、派手さはないもののセンスは感じさせる選手で、徐々にプレータイムを増やしていきたいところだろう。

ユーティリティプレーヤーの船生が抜け、この試合でも中東がPGを務める時間があり、穴を感じさせたが、より走れる満田の加入は大きい。

上述の笠井を戦力化できればガードは昨季以上の選手層だろう。

ベテランインサイドプレーヤーの大宮、いぶし銀シューターティルマンの後釜には渋谷から菊池、この試合の相手でもあるソウルサムソンからカミングスが加入。

菊池は上背こそないものの、献身的で泥臭いプレーが身上のこのチームには数少ないディフェンスに特長がある選手。

ベンチスタートが主となるだろうが、今季カギを握る選手ではないか。

オフェンス面優先でこの選手を活用できないと昨季前半の二の舞だろう。

カミングスは良くも悪くもアイラ・ブラウンのような選手だが、ハンドリングが良く、ガード寄りの選手だろう。

雑なプレー、シュートセレクションの悪さは見られたものの、観客を沸かせられる選手。

今季のレギュレーションだと全試合出場は難しく、コーチ陣は他の選手との組み合わせにも苦慮するかもしれないが、うまくハマれば他チームには脅威でしかない。

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冒頭で触れたチームの一体感やクラブ一丸となっての今季にかける意気込みの高さという点にも触れなくてはならない。

アジア大会の女子日本代表を率いた薮内HCは良い顔をしてコートに立とうと常に言ってきたそうだが、今のドルフィンズもまさに

その状態で、これまでのチーム強化が順調に進んでいることが充分に確認できた。

また普段はなかなか陽の目を浴びないチームスタッフの誕生日を全員で祝したり、昨年は聞けなかった具体的な目標が口にされたりとチームもフロントも充実した仕事が出来ているようだ。

千葉常務は試合前にも客席を回り、団扇を配ったり、ファンの方と会話をしたり、積極的にコミュニケーションを取られていて、昨年までとはまるで違う印象を受けた。

こうして着席から退館まで開幕への期待感しかない3時間ほどだった。

昨年のPSMのあとも期待値はそこそこ高かった記憶だが、それをはるかに上回るものだ。

とはいえバスケを見始めてからの2シーズン期待と失望を繰り返してきた往年の名古屋グランパスのようなクラブなので、期待はしすぎに開幕を迎えようと思う(笑)

それでは。