日本女子バスケ界の真価が問われた今大会。五輪で銀メダルを獲得したのだからアジアでは優勝が求められる。準優勝以下なら「髙田も宮澤も渡嘉敷もいないチームではダメか」、「ホーバスHCの手腕あってこそ」などと(メディアが)言われるのは必至。女子サッカーでは澤、宮間、女子バレーだと竹下、木村といまだレジェンドたちの名前が出てくる。それが我が国である。
実際恩塚HCは大会前に「目標は優勝しか考えていない」と語っており、五輪メンバーを残しつつ次世代の若手を抜擢し、楽しみな面はあった。しかしいったいどれくらいの人が優勝が可能だと思っていただろうか。2m超えのセンタープレーヤー2人など五輪メンバーが9人出場した中国は五輪でもベスト8に留まったことが信じられないくらいの強敵。平均身長はなんと186センチ!近年は日本の後塵を拝しており、並々ならぬ闘志で挑んでくるはず。韓国も五輪メンバーが多く残った。オーストラリアは総入れ替えされたが、サイズで日本を大きく上回っているチーム。韓国、オーストラリアに勝って決勝進出して、10点差負けくらいでの準優勝なら上出来と考えていた人が多いかと思う。
グループステージは選手もベンチも脆さを見せつつ、3連勝。準決勝では五輪のチームと遜色ないハードなディフェンスを終始やり続けて、オフェンスは恩塚HCが掲げる5人がシンクロする形が増えてきた。銀メダリストたちのメンタリティも他の選手に浸透しており、ロースコアで推移し、一桁点差で4Qを迎えられれば十二分に5連覇を掴み取るチャンスはある。そう思わされた恩塚JAPANの進化だった。
ここまできたら五輪含めたこれまでの戦い同様ビハインドをも楽しむしかない。
しかし中国は立ち上がりから日本の心をへし折る勢いでインサイドを攻めてきた。#14李選手に徹底的にボールを集め、得点を稼いでいく姿は五輪決勝を思い出すものだった。日本は3分ほどでタイムアウトを請求。そこからディフェンスのプレッシャーを強めて、インサイドフィードを封じるとオフェンスでは宮崎選手が獅子奮迅の活躍。中国としてはスピード違反と言いたくなったのではないだろうか。
[今日の言葉]「あれはスピード違反にならんかなあ?」快足永井が衝撃“Jデビュー” | ゲキサカ
宮崎選手に牽引されて、他の選手たちにも勢いがついた。FIBAランキングだけでなく戦力的に見ても格上を相手に先手を奪われても全く怯まず立ち向かう姿を見て、これだけファイトしているなら負けてもいいと思ってしまうくらい胸を打たれた1Qだった。
山本選手が馬瓜選手を思わせる豪快なドライブ(というか突進)からバスケットカウント、東藤選手は最年少とは思えない冷静なプレーを五輪同様に見せた。先輩たちが抜かれたところをカバーするディフェンスは百戦錬磨のベテラン選手のような貫禄だった。西岡選手、宮下選手も限られたプレータイムの中でファイトした。ベンチの選手たちは審判から注意を受けるくらい熱く戦っていた。
And 1️⃣ for Yamamoto! 🇯🇵
— FIBA (@FIBA) 2021年10月3日
Japan hold a narrow edge over China as we move toward the final quarter in Amman #FIBAAsiaCupWomen
Follow LIVE 👉 https://t.co/Ctl79lSzjb pic.twitter.com/Byj6J5WU2j
中国は苛立ちを隠せずにいたが、それでも宮崎選手を封じて、日本の得点を止めにかかった。高さで優位に立つインサイドだけに頼らずガード陣が果敢にペイントアタックをし、日本はファールが嵩んだ。
36-39、3点ビハインドでの折り返しだが、むしろ日本としては望むところだ。
後半はディフェンスのプレッシャー強度をさらに上げてきた。ダブルチームで効果的に中国のビッグセンターを封じ込めた。山本選手のカバーからのスティールは圧巻だった。中田選手はオフェンスリバウンドを取り切れなくても常に身体をぶつけて自由を与えなかった。昨シーズンENEOSでは渡嘉敷選手や中村選手と日々練習し成長を遂げた彼女の存在によってインサイドのタイムシェアが可能になっていた。
サイズ、幅で劣るのなら相手が嫌がることをやり続けなければ道は拓けない。2年前の五輪予選では渡嘉敷選手とのマッチアップでイライラが募ったキャンベージ選手がテクニカルファール2回で退場になったことがあったが、そういう愚直に嫌がることをやり続ける姿勢は男子の日本人ビッグマンも参考にしてほしい。
中国は3ptシュートが決まり始め、日本は林選手、赤穂選手が徹底的に封じられ、3Q後半は得点が伸びなかった。その中でもリバウンドやフリーランニングなど目立たないところで頑張り、踏ん張った。ディフェンスでのコミュニケーションミスから3ptシュートを決められ、3Qの締め方としては悪かったが、まだまだ5点差。一進一退の展開で決勝に相応しい息詰まる熱戦が繰り広げられていた。
今大会全試合で4Qのスコアが相手を上回っている日本の研ぎ澄まされた集中力が大舞台でも見られた。試合が決着したのはもっともっと後だが、日本の流れを確かなものにしたのが馬瓜選手が3ptシュートにファールを受けた場面。これだけでも中国としてはやってしまった…という感覚だったと思うが、FTを3本とも決め、直後にオコエ選手も決めて、一気に1点差。さらにファールを受けた時とほぼ同じ位置から今度は決めきって逆転。勝負強さを発揮した(ガッツポーズがもう少しカッコよくなるとなお素敵)
🇯🇵 @stephaniemawuli puts Japan back on TOP!#FIBAAsiaCupWomen @JAPANBASKETBALL pic.twitter.com/hDpm8cMpBR
— FIBA Women's Asia Cup (@fibasiacupwomen) 2021年10月3日
中国としては3Qラストでダメージを与えたはずなのに3分で逆転されたのは痛恨だっただろう。その後もクロスゲームだったが、中国が2点以上のリードとなる時間はなく、日本はそれまで肉弾戦で奮闘していた中田選手がコーナーから切り込んでレイアップを決めるなどオフェンスにバリエーションが出てきた。
そして迎えた残り44秒。この日再三良いコンビネーションを見せていた宮崎選手とオコエ選手のラインでバスケットカウント。その後は守り切り、ファールゲームをされてもFTを外さず、5連覇を達成した。
※この試合は全クォーターの中で4Qが一番得点が多く、失点も一番少ない。驚異の事実を1日経って確認し震えている。
出だしの3分は大敗も覚悟したので、最後宮崎選手がFTを決めても信じられない気持ちがあったが、若手中心のメンバーでの5連覇には大きな価値がある。
(ムチ打ちの)痛みに耐えてよく頑張った!感動した!
それはさておき(笑)、個人的には五輪より感動したし、五輪に出ていない選手にとっては今まで生きてきた中で一番幸せな日だったかもしれない。
中国としては日本に負け続けており、お国柄を考えるとHC交代もあるか。いずれにせよ日本も中国も有望な若手が多く、向こう10年は強烈なライバル関係が続くだろう。
またもや世界を驚かせた女子バスケ日本代表!!
— バスケットボール日本代表 (@JAPAN_JBA) 2021年10月3日
前人未到の5連覇でアジアの頂点に立つ👏👏👏
試合終了
日本🇯🇵 78-73 中国🇨🇳#AkatsukiFive #FIBAAsiaCupWomen pic.twitter.com/dieBWA8AzC
🇯🇵 The 2021 #FIBAAsiaCupWomen Champions 🇯🇵 @JAPAN_JBA @JAPANBASKETBALL pic.twitter.com/EHgXCFIRtp
— FIBA Women's Asia Cup (@fibasiacupwomen) 2021年10月3日
🏆 …Now we celebrate 💃🏻!!#FIBAAsiaCupWomen @JAPAN_JBA @JAPANBASKETBALL pic.twitter.com/LmjkzA65fT
— FIBA Women's Asia Cup (@fibasiacupwomen) 2021年10月3日
August 8th, 2021 ➡️ #Tokyo2020 🥈
— FIBA Women's Basketball World Cup (@FIBAWWC) 2021年10月3日
October 4th, 2021 ➡️ #FIBAAsiaCupWomen 🥇
Congrats #AkatsukiFive 🇯🇵 pic.twitter.com/Ds8ZrNeX3e
赤穂選手が大会MVPに選ばれ、赤穂選手と宮崎選手がベスト5に選ばれた。
🏅MVP🏅
— バスケットボール日本代表 (@JAPAN_JBA) 2021年10月3日
#88 赤穂 ひまわり#AkatsukiFive #FIBAAsiaCupWomen pic.twitter.com/B2spxkQmQj
大会ベスト5には
— バスケットボール日本代表 (@JAPAN_JBA) 2021年10月3日
⛹️♂️#32 宮崎 早織
⛹️♂️#88 赤穂 ひまわり
の2人が選ばれました👏👏#AkatsukiFive #FIBAAsiaCupWomen pic.twitter.com/sgz6ox9bNv
✨All-Star 5 & MVP✨of the 2021 #FIBAAsiaCupWomen !! pic.twitter.com/vC796NFHr9
— FIBA Women's Asia Cup (@fibasiacupwomen) 2021年10月3日
赤穂選手は決勝では得点0だったが、前述の通り目立たないところで活躍しており、大会MVPなので誰も異論はないだろう。
これは約2年前の写真。すごい選手で実際に前回のアジアカップでも活躍しているが、どこか頼りなさげで先輩たちに引っ張ってもらっている感じがあったが、時を経て五輪も経験して、頼もしい限りだった。
決勝トーナメントMVPなら宮崎選手、決勝MVPならクラッチシュートを決めたオコエ選手だろうが、馬瓜選手、林選手含めスターターの5人は誰がベスト5を受賞しても不思議ではなく、五輪同様スーパースターはいないがスーパーチームだった。
#AkatsukiFive 女子日本代表
— バスケットボール日本代表 (@JAPAN_JBA) 2021年10月3日
🏆FIBA 女子アジアカップ2021[決勝]
日本78-73中国
シンクロしたチーム力で勝利し、史上初のアジアチャンピオン5連覇達成!https://t.co/XqGo5tmBJy
MVP🎊赤穂ひまわり選手
🏀#Wリーグ は今月開幕!
チケット販売中 https://t.co/0XI7fxDXTo#FIBAAsiaCupWomen pic.twitter.com/AEiSmFSQAA
#AkatsukiFive 女子日本代表
— バスケットボール日本代表 (@JAPAN_JBA) 2021年10月4日
🏆FIBA 女子アジアカップ2021
5連覇達成した喜びのコメント紹介
「ワクワクが最強である」恩塚亨ヘッドコーチhttps://t.co/vuroKq0VQN#Wリーグ は10月16日開幕!
チケット販売中 https://t.co/0XI7fxDXTo#FIBAAsiaCupWomen pic.twitter.com/ODW54OSpw1
皆さま たくさんのご視聴📺
— BS-TBSスポーツ (@sports_bstbs) 2021年10月3日
ありがとうございました😊🙏
前人未到の #5⃣連覇🏆達成✨
興奮の激闘をもう一度‼#女子バスケットボール #アジアカップ #決勝#AkatsukiFive🇯🇵🆚#中国🇨🇳#ハイライト#日本代表🏀#五輪銀🥈 に続く快挙🎊
次の戦い🔥は #wリーグ⛹️♀️#basketball#FIBAAsiaCupWomen#bstbs pic.twitter.com/5DRzjFAVCs
Impossible is Nothing🔥🔥
— オコエ桃仁花 Monica Okoye🇳🇬 (@okoyemoni) 2021年10月4日
不可能なんてありえない‼︎‼︎
アジア5連覇達成しました🥇✨👑
沢山の応援本当にありがとうございました!! pic.twitter.com/jPcuVXhOVJ
オリンピアンたちはこの数ヶ月で痺れる戦いを何度も経験して寿命が縮まったかもしれないが、すぐにWリーグが始まる。
今回の優勝メンバーがどれだけ来年2月のW杯予選に残れるか分からない。五輪にもアジアカップにも出場していないニューフェイスの台頭があるかもしれない。ベテランの復権もあるかもしれない。新たな戦いが楽しみでならない。
個人的に期待しているのはまず李選手やグライナー選手、グルダ選手のような超ビッグセンターに対してもう少しサイズで戦える選手が出てくること。昨シーズンはいずれも怪我に悩まされた渡嘉敷選手、梅沢選手、栗林選手といった190センチ前後の選手が代表入りに向けて競争してほしい。
3x3代表勢が今後定着できるかも見もの。トップから切り裂いてファールをもらえて、アウトサイドシュートの精度も年々上がっているステファニー選手はディフェンス力も高く日本では稀有な存在。姉エブリン選手の立ち位置を奪いそうだが、当然姉も負けていられない。ゲームメイクには課題を残した山本選手は得点力とフィジカルの強さを中国相手にも証明した。柔の本橋選手か剛の山本選手か、スコアリングガードの争いにも注目。今大会ではプレータイムに恵まれなかった西岡選手もこのまま引き下がるわけにはいかない。
リーグや選手の想いとは裏腹にチームを運営する大企業からこのムーブメントを活かしてそのままプロ化へ!みたいな勢いが感じられないのは残念だが、試合そのものは熱い戦い続きになること間違いなし!!日本代表選手を複数擁する昨シーズンのベスト4が優勝争いを繰り広げていくだろうが、台風の目となれるチームはいくつもある。ダイヤの原石もたくさんいる。応援するチーム、選手が定まっていなくても原石を探すだけでチケット代は回収できる。是非会場で、配信でご覧ください!
10月開幕のWリーグ⛹🏻♀️
— W LEAGUE(Wリーグ) (@wjbl_official) 2021年10月3日
ただいまWリーグチケットにて先行抽選受付中です‼️(会員登録無料!)
Wリーグにはまだまだ素晴らしい選手たちがたくさんいます✨✨✨
ぜひ今シーズンは会場で熱い試合をご覧ください😎
↓Wリーグチケット↓https://t.co/rSBEOnrnl8#Wリーグ#行こうよWリーグ
どうしても会場に行けない方…なんと、SPOZONEとバスケットLIVEで全試合視聴できます‼️
— W LEAGUE(Wリーグ) (@wjbl_official) 2021年10月3日
熱い試合をどこからでも見ることができます😎
ぜひご利用ください!
🏀SPOZONE🏀https://t.co/SCMLuAEx3X
※会員登録(無料)が必要。
⛹🏻♀️バスケットLIVE⛹🏻♀️https://t.co/mUppjdM0cH
※ 会員登録・視聴一部有料
今シーズンから全試合実況付になるなど配信の質はかなり上がるはずです!
先の話として外国籍選手が解禁されるとさらなるレベルアップに繋がることが期待される。当然その外国籍選手や向こうの代表チームもレベルアップするだろうが、女子バスケ界において超個性的な戦いをする日本のスタンダードを日常的に経験したいと思う一流選手は多いのではないかと容易に想像できて、WNBA選手などが参戦すれば興行としても盛り上がるのではないかと思う。
今回も長く、話がどんどん脱線いってしまいましたが、もし最後まで読んでくださった方がいたら、誠にありがとうございましたm(_ _)m