消化不良の最終週 〜トヨタ自動車×デンソー頂上決戦〜

game1 トヨタ自動車●51-61○デンソー
game2 トヨタ自動車●64-65○デンソー

game1の後半とgame2でひまわり選手を欠く中で連勝したデンソーが逆転でレギュラーシーズン1位の座についた。おめでとうございます!

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堅守が持ち味のデンソー。この2試合でも凄まじく速いローテーションでトヨタ自動車を翻弄した。中・中でのオフェンスからミドルシュートを打たされる展開が続いた。永田選手が出ている時間帯は彼女のタイトなディフェンスでボールプッシュ出来ずショットクロックを消費していた。

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game1では後半もらったチャンスでの凡ミスから木村選手に3ptシュートを決められる、打たせていいクンバ選手の3ptシュートが決まる、永田選手のコースト・トゥ・コーストなど試合を決定付けられるポイントはいくつもあった。その中で都度食らいついたのはこのチームの地力の証明だと思うが、前半でギアが上がらなかったのは残念だった。打たされたミドルでも決めてしまう集中力、人数を掛けて取り切るオフェンスリバウンドなど執念がやや欠けているように見えたのはレギュラーシーズン2位以上が決まっていることによるモチベーションの低下もあったのかもしれない。


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game2ではデンソーのディフェンスにアジャスト出来たのか連動性あるオフェンスが見られるようにはなったが、ハイロープレー主体でコートを広く使えていない。富士通戦では改善の兆しが見られたが、逆戻りの感あり…


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中断明けから調子を落としていた梅木選手が攻守において切り込み隊長として存在感を発揮したのはプレーオフに向けての好材料。game1では2ptと沈黙した山本選手はクラッチタイムでのディープスリーなどエースの存在感を発揮した。チームとしても得失点差だけでなく内容的にも改善は見られたが連敗。f:id:antelopes_7_12_23:20230321213036j:image

同一カード連敗はここ5シーズンなかった。またホームで連敗、連敗でプレーオフ(個人的には観戦3連敗)とネガティブな感情が生まれてしまう結果となった。しかし連敗という結果以上によろしくないのがgame2のラストプレーなどHCと選手で意識のズレを感じたこと。

 

例えば19-20シーズンのトヨタ自動車×デンソー、game1を7点差で勝利したトヨタ自動車はgame2ではビハインドの終盤リスクを負って攻めにいかなかった。モンデーロHCが何やらサインを送り、PGの安間選手が意図を理解し、時間を掛けて攻めて2点を取りにいった。ターンオーバーからイージーバスケットで失点し点差が広がることを恐れたのだろう。結果トヨタ自動車は得失点差でデンソーを上回った。レギュラーシーズンが東西地区制で争われた20-21シーズンの最終週トヨタ自動車×デンソー、前日の勝利で西地区1位を決めたトヨタ自動車は馬瓜エブリン選手、河村選手を休ませた。それを対外的にもリリースしており、選手にもファンにも「この試合はプレーオフを見据えた戦い」というメッセージが伝わった。10点差での敗戦だったがこの結果・判断に疑問を抱いた人はいなかった(はず)



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大神HCはいつも通り8選手でのローテーションで2つ勝ちにいく采配をしていた。しかし前述の通り選手たちのモチベーションは100%ではなかったように見えた。game2は連敗回避のためにトヨタ自動車らしい魂が随所に見られた。最初から負けてもいいと思って戦っているわけではないのは試合を見れば分かることだが、最後は何のためにタイムアウトを取ったのか。大神HCは「何でファールしにいかないんだ?!」というジェスチャーをしているように見えた。タイムアウトでファールゲームを指示していたのだろうか。しかし川井選手は相手ハンドラーにプレッシャーを掛けにいかず5人全員が自陣に引いた。選手は無理をしたくないと思ったのかもしれないが、最終週に向けての準備期間で意思形成ができていたのか…

前週のデンソーの対三菱電機game2でも髙田選手と他の4選手で意識のズレを感じさせるラストプレーがあったが、トヨタ自動車タイムアウト明けのプレー。オータムカップでもベンチの指示が上手く伝わっておらず敗れた試合があったが、最終盤のコミュニケーションで勝利を逃すなんてもう二度とやってほしくない・見たくない!!

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平下選手の怪我、試合終了後選手のみで円陣を組んで話していたこと、後味の悪い連敗を喫したにも関わらず切り替えが早すぎる選手がいたのも気になるところではあるが、優勝を決める戦いはここから。2連覇女王の誇りを胸に高みを目指してほしい。

 


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最後にデンソーが連勝できた要因に関して。

戦力値でいえば拮抗している(1.5試合ひまわり選手を欠く戦いだったのでどちらかといえばトヨタ自動車の方が上かもしれない)

その中で2試合ともロースコアの接戦(デンソーはオフェンス力で圧倒する戦い方ではないにせよ)

交代して何度でも再出場できる・交代の回数制限がない・タイムアウトもあるバスケットボールという競技において実力拮抗した相手と接戦になれば明暗を分けるのは采配力に他ならない。2試合ともトヨタ自動車は8選手、デンソーは9選手でのローテーション(game1の後半は8選手)だったが、トヨタ自動車は山本選手、川井選手、ステファニー選手が35分前後出場し、毎試合途中出場で献身的な仕事をする宮下選手は15分前後の出場に留まるいつも通りの形。対するデンソーはコートに立つ5選手の組み合わせが豊富で相手に的を絞らせなかった。game1での永田選手のリバウンド、ディフェンス、game2での渡部選手のアウトサイドシュート、クンバ選手の高さは特に脅威だった。こういった選手たちの頑張りによってひまわり選手を欠く中でも髙田選手頼みにならず、game2では髙田選手のプレータイムを24分に抑えても勝利することができた。

デンソー皇后杯決勝では慎重すぎるタイムシェアで逆転負けを喫しているし、古くは17-18シーズンのトヨタ自動車プレーオフSFでタイムシェアにこだわりすぎて逆転負け。なのでタイムシェアこそ絶対正義とは言わないが、いつも同じ采配では銀河系軍団でも優勝は出来ない

 

マルコビッチ前HCのイズムが浸透しているデンソー、選手の局面局面での判断力とフィジカル・パワー頼みなトヨタ自動車の差には色々と思うところはある…ロサンゼルス五輪で日本代表を指揮することが目標ならモンデーロ前HCからもっと吸収してほしかったな…

(現代表HCもああいう感じなので本人のやる気と知名度があればなれるのかもしれないけど)

コートで戦うのは選手。ローテーション選手が噛み合えば一番強いのはトヨタ自動車だと思うし、ENEOSも下位相手に渡嘉敷選手をフル出場させたりなので昨シーズンほど期待はしていないけど期待してますよ!f:id:antelopes_7_12_23:20230321213840j:image

 

モヤモヤしてたけどここで思ってたことをまとめてスッキリした…苦笑