Wリーグレギュラーシーズン最終週

今まで散々接戦が少ない、アップセットがないなどと言ってきましたが、最終週は東西とも熱戦が繰り広げられた。オンライン観戦だった2/27の試合を中心に3カードを振り返りたい。 

 

三菱電機×アイシンAW

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正直熱戦とは言えないが、私が今季追ってたので、まずはこちらから。

デンソーgame2後半で機能した布陣に近い酒井・梅木・髙原・加藤・宮下の5選手をスタメンに起用。機動力、流動性のあるオフェンスを意図した采配だろうが、狙いは的中。宮下選手がスクリーナーとなり、梅木選手、加藤選手が3ptシュートを沈めていった。三菱電機と比べてサイズで大きく劣るためゾーンディフェンスを多用し、リズムを乱した。上長選手、北川選手らを投入するタイミングも的確で三菱電機はアジャストに時間がかかり、1QはアイシンAWがリードを奪う。ここまではアイシンAWの策がハマったが、三菱電機としては相手のスタメンを見た時点でゾーンディフェンス多用は読めたことだろう。いつまでもアジャストできないわけが無い。アイシンAWのディフェンスを外に広げて、カットインやコーナーからの3pt、ミドルシュートで手堅く加点し、逆転に成功。アイシンAWはディフェンスで二の手三の手がなく、悪い流れはオフェンスにも。チームで形を作れず、ターンオーバーが増えた。FTを得ても成功率が悪く、嫌な流れだったが、何とか5点ビハインドでの折り返し。
よく戦っていたが、勿体ない場面も。1Q残り6秒ほどで梅木選手が渡邉選手にファール。個人ファール1つ目、チームファールは2つ。ならばあと2つはファールを使える。ファールをしている選手を下げ、その上で渡邉選手に密着マークすれば最後の失点は防げたかもしれない。こういうシチュエーションでは三菱電機は渡邉選手のアイソレーションでドライブもしくはミドルシュートを選択することが多い。実際そうだった。ファールの有効活用は日本女子全体の課題だが、そういう選手起用をしないコーチにも問題はある。また2Q終了直前で1.6秒からオフェンスだったが、特に策を講じることなく終了。1.6秒あれば点を取れる可能性も取られる可能性もある。
策を講じて成功するか否かよりも、ここで絶対点が欲しい/絶対に守り切りたいというメッセージをベンチから送ることが大切で、選手の気持ちも高まると思うが、残り時間少ないからといって漫然とやり過ごしてしまうのが強豪チームとの差ではないだろうか。
2Qでリードを広げられなかったことは成長だが、3Qも攻略されたはずのゾーンディフェンスで入り、タイムアウトや選手交代は後手後手。皇后杯準々決勝を思い出す流れだった。
ゾーンディフェンスが悪いわけではないが、それしか策がないに等しいとなると逃げ腰で戦っているようなものだ。

game2では近平選手をスタメンに戻し、正攻法で戦った。1Qは互角だったが、2Q以降じわじわと点差を広げられて、終わってみればgame1よりも点差をつけられ、アイシンAW女子バスケ部としての活動に終止符を打った。この試合の前に山梨が死力を尽くした戦いを見せ、勝利まであと一歩のところまでいっただけに残念な気持ちが強く残った一戦であった。

詳細は別記事で改めて書くが、試行錯誤が続き、シーズンが終わってしまった印象がある。来季からは会社の体制が変わる。このチームはどう変わるのか注目していきたい。

 

デンソー×トヨタ自動車

game1 デンソー●56-58○トヨタ自動車

game2 デンソー○76-66●トヨタ自動車

game1は西地区最高観客動員(推定)の中で行われた大一番。選手が「是非観に来てください」とかファンが友達を誘ったりなど気軽に出来ないご時世。招待枠も家族や友人で埋まるくらいの枠しかないようで、今までのように社員が観に来てるわけではない。リーグが特別なプロモーションをしているわけでもない。バスケットLIVEにしても試合配信以外は東地区のハイライト程度。チケット料金は1試合観るだけだと割高。でもこのカードだけ観客が多かった。実は女子バスケに注目している人って存在して、このカードはここ数年好ゲームばかり。そしてトヨタ自動車SNSや会場で様々な企画を立てたことが集客に繋がったのではないだろうか。

さて話を本題へ。西地区優勝には連勝が条件のデンソーは開始からディフェンスのエナジー全開。トヨタ自動車に7分弱得点を与えない完璧すぎる入り方で12-0のラン。しかしトヨタ自動車も点が入っていなくても攻守ともに攻め気のプレーを続け、外れても3ptを打ち続けた。チーム初得点以降それが実り、巻き返して、トヨタ自動車リードで前半を折り返し。両チームとも激しいディフェンスからの速いトランジションの連続でロースコアなことを感じさせなかった。
3Qも一進一退の攻防が続いたが、4Qで安間選手、長岡選手、三好選手の勝負強さが光った。一瞬の隙を突いて3ptを沈めた安間選手(最終盤のバックコートバイオレーションは肝を冷やしたが)、バスケットカウントを与えてしまった直後に3ptシュートを決めて挽回した長岡選手。決勝点とも言える3ptシュートを決めた三好選手は38分出場でおそらく今季最長だが、痺れる場面でよく決めた。このチームのポテンシャルを考えればこの試合も3ptシュート成功率は決して高くないが、打ち続けたからこそ勝負所で決めることが出来る。選手もコーチも攻めの姿勢が必要である。
ロースコアで進む展開はデンソーの望むところだったかもしれないが、本川選手のファールアウトは痛恨だったか。最後近藤選手のシュートが外れたのは結果論でしかないが、あの形を作れたことは評価に値するだろう。負けて強しな内容だった。
PGのローテーションなど両HCの駆け引きも見応えたっぷり。守り合いを楽しめる方にとっては間違いなく今季ベストゲームだろう。

game1で地区優勝を決めたトヨタ自動車はgame2開始前にエブリン選手、河村選手の欠場を発表、ソハナ選手が初スタメン。デンソー本川選手、さくら選手がベンチスタートだった。

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この試合は前日から一転トヨタ自動車のシュートが立ち上がりからよく決まり、13点リードで折り返した。後半は主力2人を休ませた相手に負けるわけにはいかないデンソーの気迫が上回ったか。スローインから激しくプレッシャーを掛け続け、リズムを崩すとトヨタ自動車の得点が止まり、4Q半ばで逆転。そのまま押し切った。トヨタ自動車・安間選手の負傷状況が気掛かりだが、試合後の選手たちに悲壮感はまったくなく、SFに向けて切り替えは出来ている様子だった。

 

日立ハイテク×富士通

白鞘選手の巧みなオフボールの動きを活かして、谷村選手のインサイドと北村選手、佐藤選手の3ptシュート。内外・柔剛バランスよく攻めたてる日立ハイテク
町田選手が組み立てる緻密で華麗なセットオフェンスと篠崎選手が忍者のごとく走るファストパスブレイクが鮮やかな富士通
対称的な両チームの対戦は前半高さで日立ハイテクが圧倒。3Q途中からオコエ選手の3ptシュートが当たり出したことでインサイドにスペースが生まれ、内尾選手が躍動。土壇場で追いついたが、最後のディフェンスでもう一踏ん張り出来ず敗れた。渡嘉敷選手とマッチアップしても負けないレベルにあるリーグ屈指のインサイドプレーヤー谷村選手相手ではどんな守り方をしてもやられていたかもしれないが、タイムアウトはあった。1点とれば良い日立ハイテクは谷村選手のパワープレーを選択する可能性が極めて高い。良いボールを入れさせない、あわよくば5秒バイオレーションを誘発できるようスロワーへのプレッシャーを強くできなかったか?守り切ったらオーバータイム。バイオレーションなら流れが途切れるので選手交代は可能。ならば星田選手にスロワーへのプレッシャーを掛けさせる、田中選手を入れてサイズを上げるなどディフェンス第一の5人を並べられたはず。手を尽くし切れていなかった感があったのは残念だった。

game2はチェック出来ていないが、game1以上の死闘で富士通関係者ファンにとっては感動的な試合だったようだ。

 

シャンソン化粧品がgame1でENEOSに勝利し、game2でも大接戦を演じたが、このカードもチェック出来ていない。する前に週末がやってきてしまいそうだが(笑)、プレーオフの楽しみが増したことは間違いない。QFで東西対決が実現したら盛り上がるかもしれない。個人的にはシャンソン化粧品の勝ち上がりに期待している(というか吉田選手のプレーが観たいです😊)