オータムカップ雑感 〈その他のチーム〉

日本代表、トヨタ自動車以外のチームについて連々と語ってみます。その前に大会全体を通して感じたこと。

 

  • 日本代表選手の負担が大きい

5人制の五輪メンバーは髙田選手、本橋選手など非帯同だった選手がいた一方でトヨタ自動車の3選手は4連戦でチームの核として出場していた。アジアカップ候補メンバーでは根本選手、赤穂選手は土日の試合ではプレータイムをコントロールしての出場だったが、トヨタ自動車の4選手は金曜日にダブルヘッダー。また山本選手、西岡選手は日曜日の試合中に負傷交代したが、治療してすぐに戻ってきた。

このご時世練習試合もあまり組めないだろう。代表選手が多く、チーム全員が揃うことが少ないチームとしては貴重な機会ではあったが、ここまで無理させる必要はあったのか。試合数が少なく1つの負けが命取りとなりかねないので、試合をこなしながら徐々に上げていくということも言ってられない事情は理解するが、疲労や怪我には配慮してほしい。

 

  • オフェンスファールが多い

どの試合を見ていても多い。ディフェンス側がリアクションするとオフェンスファールを取られるといっても過言ではないくらいだった。驚きを通り越して呆れている選手もいた。

これが基準となるのなら選手も見ている側アジャストしなくてはならないが、競技の魅力が削がれるのではないだろうか。

 

  • 各チームの仕上がり差

シャンソン化粧品は早すぎると思うくらい仕上がっていた。東京羽田、アイシンは新HCのカラーが出ていて、開幕が楽しみだ。一方でまだ1ヶ月半あるとはいえ心配になったチームもある(怪我人が多すぎて出場辞退したチームもある)

大会の中でチーム力、個々の能力を総合すると純粋に試合を楽しめたのは日本代表、トヨタ自動車シャンソン化粧品のみだった。開幕までに全チームベリーハードワークで仕上げてほしい。五輪で女子バスケに興味持った方を沼に引きずり込むために笑

 

ではいくつかのチームのことを。

  • アイシン

リバウンドなど球際の強さ、速く攻める意識、全員がペイントアタックをする姿勢など中川HCのチームが作っているチームだと感じるものがあった。酒井選手、遠藤選手を3試合ともスターターで起用し、プレータイムも長かった。中川HCが好むガードとは異なる印象があるが、発展途上にあるオフェンスの基盤を固めるために基本スキルが高い選手を長く起用しているのではないだろうか。 

昨シーズンはほぼチャンスがなかった高卒2年目の山口選手が2試合で長くプレータイムを得るなど育成への意識も見えたが、プレータイム配分は謎なところがあった。リーグ戦では上手いこと…(そこは期待してはダメか)

 

永井選手の成長には眼を見張るものがあった。PGは川井選手が移籍し、新加入の笠置選手と見崎選手の争いが激しくなりそう。

この大会では根本選手のプレータイムをセーブし、また渡邉選手のファールトラブルもあり、若手選手がチャンスを得ていた面もあるが、リーグ戦でも育成する意識を。毎シーズン上位チームとの対戦だと7人くらいでローテーションしている印象だが、引退・移籍で正直なところ年々戦力ダウンしている。そろそろ台頭がないとかつての定位置すら危うい。

 

知花HC・福島アソシエイトコーチの新体制となり、オフェンスではオフボールの動きが活性化された印象。移籍初年度はチームにフィットしきれなかった白選手の高さ・強さも活かせており、Bブロック優勝。最飛躍の予感を漂わせてた。

飯島選手の欠場は残念だったが、ルーキー岡田選手が穴を全く感じさせない活躍ぶり。SFの争いは激しくなりそうだ。

日本代表では不発に終わった平末選手も所属チームで躍動。コントロールするよりもある程度自由を与えた方が活きる選手。岡本選手(ENEOS)や梅木選手(トヨタ自動車)のイメージで使うべきではないか。

そしてインパクトを与えたのが東藤選手!このシュートを決めて、「ショットクロックがどこにあるのが分からなかった」と言ってしまうのだから大物ですよ(笑)五輪を経て凄みが増しました。五輪ではディフェンスでのタスクが多かったが、所属チームではこうしてエースの役割を果たすってもう何と言っていいやら。これで20歳って末恐ろしいです(・。・)

 

主力だった2選手が引退、鶴見選手は今大会欠場した中で谷村選手の頼もしさを感じた。選手の入れ替わりはあったもののコンセプトは変わらず、谷村選手・マレム選手のインサイドを起点に3ptシュート主体に攻めていく。

その中で大卒ルーキー船生選手、2シーズン怪我に悩まされていた高卒3年目の関選手の活躍が光った。船生選手のプレーは実に兄・誠也選手そっくりで見てて魅了される。関選手も幼なじみの東藤選手がスターダムにのし上がっているだけに負けていられない!

 

  • 東京羽田

萩原HCが就任し、各選手の特長が活きている印象。ガードは全員がボールを運ぶ・ゲームを作ることを意識させているのだろうか。ボールも人も流動性が高く、推進力もあった。その中で一際輝いていたのが澁谷選手。水を運ぶ選手とでも言うべきか。オフボールでよく動き、ボールプッシュもして、3ptシュートもスパスパ決めて。前から好きな選手だったが、さらに好きになりましたねハイ(笑)

正統派PGの軸丸選手、スピードで切り裂く津村選手、ユーティリティな澁谷選手、鷹のはし選手、ここに本橋選手ってなかなか魅力的ですね〜。昨日の記事通り小笠原選手はアウトサイドでのプレーが増えて、能力を遺憾なく発揮しているし、その小笠原選手とタイムシェアしてる尾崎選手と外に高さ・強さのある選手がいることでインサイドの選手たちはインサイドの仕事に専念できていて、ディフェンス、リバウンドも良化している。

40分の中での波を少なくすることが課題か。

[https://twitter.com/BASKETLIVE_JP/status/1433672317867986944:embed#🏀 #Wリーグ オータムカップ2021 in 高崎【試合終了】#山梨QB 82-93 #東京羽田2018-19ルーキーオブザイヤーの #鷹のはし公歌 2年目の #軸丸ひかる らの活躍で東京羽田が山梨QBに勝利し準決勝進… https://t.co/KdqPtNJHNJ

 

コート上の選手もベンチの選手もコーチも活気がないのが気になった。マルコビッチHCはまだ合流しておらず、ヴクサノビッチアソシエイトHCもセルビア代表のACを務めていたため、合流から日は浅いだろうが、彼女らと日本人コーチングスタッフの連携がよろしくないのかなと思ったりしてしまう。

 

この他中村華祈選手(新潟)、今村優花選手(鶴屋百貨店)の活躍も目立っていた模様。近日中にチェックしたいと思う。

 

最後にこの大会の今後について。

一昨年まではサマーキャンプとして開幕3ヶ月前に開催されていた。入場無料で良くも悪くも緩い雰囲気、全チーム参加の合同イベントのようなもので、試合は試す・色んな選手を使うことに主眼が置かれていたが、1ヶ月半前に開催される真剣勝負感あるプレシーズン大会になった。両ブロックの決勝戦は120%真剣勝負で、ともに優勝したチームが歓喜し、サマーキャンプでは見たことがない光景だった。
毎シーズン10月頭に開幕するBリーグプレシーズンマッチが始まるのは早くても8月末から。今後もこの形式は続けてほしい。1〜2週ズラして東西2ヶ所で開催してもらえるとなお良い。さらに欲を言えば東西の上位チーム同士でタイトルを争ったり、大学や高校の強豪校にオープン参加してもらったりするともっと盛り上がる。