アイシンAW●65-98○トヨタ自動車
スコアだけ見ればリーグ戦での対戦同様トヨタ自動車の圧勝。特に後半は一方的だった。前半は苦戦したが、攻守にフィジカルの強さ、リバウンドへの粘り強さを見せた。アイシンAWはポテンシャルを示したまでだった。
ではクォーターごとに振り返っていきましょうか。
1Q
ゾーンディフェンスを攻めあぐねたトヨタ自動車だったが、エブリン選手を中心に粘り強く攻めて、スコアを重ねていった。アイシンAWは梅木選手がアウトサイドから連続で決めてオフェンスのリズムを作ると巧みなスペーシングからの積極的なドライブインで攻め立てた。しかしシュート前にファールで止められる、シュートモーションまで持ち込んでもバスケットカウントを獲得できず、攻めてるようでスコアは伸びない。P&Rも封じられ、だんだんと戦術宮下に…そしてトヨタ自動車ペースへ。アイシンAWも選手交代を試みるも流れが切れず、その中で3ptシュートを立て続けに決められ、タイムアウトを取らざるを得なくなった。タイムアウト明けてのオフェンスで投入された直後の上長選手が3ptシュートを決めたことは評価すべきポイントだが、タイムアウトなしで修正したかったところ。ゾーンディフェンスはずっとやっていれば攻略されるもので、スイッチングにする、コーチの指示もしくはPGの判断でマンツーマンに変更するなど出来れば連続で3ptシュートを決められることはなかったかもしれないし、タイムアウトも必要なかった。ここはチームとしての未熟さだろう。トヨタ自動車はこの試合でもそうだったが、前半ラストポゼッション前にタイムアウトを取ることが多い。そして点をとって前半を締めくくる。タイムアウトを有効に活用出来ている。
2Q
アイシンAWが基本マンツーマンで守るようになる中でトヨタ自動車は強引なオフェンスが目立ち始めた。モンデーロHCの指導が浸透してからは見なくなった光景だったが、スキル、フィジカルを兼ね備え、個で打開できる選手が多い故に起こる現象なのだろうか。焦る必要はまったくない時間帯だっただけに、誰かが一度落ち着かせなくてはならなかった。その中でアイシンAWはベンチから出場の上長選手、北川選手がリズムを作り、戦術宮下体制を構築。トヨタ自動車もゾーンディフェンス、見せ掛けのゾーンディフェンス、オールコートプレスなど多彩な策を講じて、同点で後半へ。
アイシンAWがついに逆転!!
— 日本バスケットボール協会(JBA) (@JAPANBASKETBALL) 2020年12月17日
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3Q
トヨタ自動車は3ptシュートの調子が悪い三好選手に代わり、平下選手を起用。これが見事的中。最初のオフェンスでアイシンAWのゾーンディフェンスを打ち砕く3ptシュートを決めた。アイシンAWのプランを崩したこと、モンデーロHCの起用に応えたこと、ルーキーが決めたこと。色んな意味でダメージを与え、これが試合を決めたといっても過言ではない満塁ホームラン級の一撃だった。
トヨタ自動車もゾーンディフェンスを敷いたが、これも狙い通りだったか。真ん中にステファニー選手を配し、梅木選手の侵入を防いだ。そうなると宮下選手にボールを回すことすら出来ない。ゾーンディフェンスのラインも高めに設定し、アイシンAWは5人の距離感が悪くなった。宮下選手、梅木選手が前半ほぼ休めなかったことも影響しただろう。若者語でいう詰んだ状態になってしまった。ディフェンスでリズ厶を手繰り寄せるとあとはトヨタ自動車のオフェンスショー。3pt、ミドルシュート、ファストブレイク、P&Rなどなど魅せ続けた。ちなみにこの試合のトヨタ自動車のシュート成功率は3pt45.2%、2pt46.8%。3ptが驚異的な数値だった。
トヨタ自動車の勢いが止まらない🔥🔥🔥
— 日本バスケットボール協会(JBA) (@JAPANBASKETBALL) 2020年12月17日
連続16得点で一気にリードを広げる!!@Antelopes_1
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4Q
トヨタ自動車が後半開始から5分で試合を決めてしまい、あとは準決勝を見据えた采配に。プレータイムに恵まれない西澤選手が試合を支配して、脇選手も栗原選手も決めた(全員得点かと思っていたが、山本選手、永田選手は0でした…)
アイシンAWも酒井選手、板谷選手らが意地を見せるも時すでゆに遅し。トヨタ自動車の変化に対して、全くアジャストできなかった。酒井選手投入のタイミングがあまりにも遅かった。コーチも選手も経験あるのみ。
MVPは河村選手だろうか。ペイントエリアで身体を張り、リバウンドやルーズボールを繋ぎ、セカンドチャンスを演出。それだけでなく、自らもミドルシュート中心に12ptを決めた。
アイシンAWは宮下選手がチーム総得点の半分近くを決めている。今季これまでの試合ではここまでの偏りはなかったものの、ベンチメンバーの得点が少ないのは継続の課題。皇后杯一次ラウンドではプレータイムが少なかった江良選手が準々決勝ではスタメンに抜擢され、切れ味鋭いドライブも見せた。酒井選手は投入された時には試合が決していた感はあったが、素早いボールプッシュからのパスでオフェンスのリズムを変えていた。板谷選手も復帰し、結果を出した。他の選手も点差が離れても屈強な相手に積極性を失わずに戦っており、チーム内競争の激化に期待したいところ。梅木選手が後半若さを露呈してしまっただけに彼女を支えるためにも酒井選手、江良選手のレベルアップには特に期待したい。
#皇后杯 ト🏆ファイナルラウンド
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【現地レポート】伝統を繋ぎ、悪弊を断つhttps://t.co/V5XjuvSDVG
🏀準決勝@国立代々木第二体育館
12月19日(土)
17:00 ENEOSvs デンソー
19:00 日立ハイテクvs トヨタ自動車
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そしてトヨタ自動車は準決勝進出。モンデーロHCの変幻自在な采配もあり、アイシンAWを圧倒したが、エンジンのかかりが遅いと3ptシュートの精度が高い日立ハイテク相手には同じようにいかない。出場可能な選手が少ないと思われる相手なので、高いインテンシティで疲弊させ、戦意を喪失させ、早めに決着するくらいの気持ちで臨んでほしい。そうでなければENEOSやデンソーに勝つことなど不可能だ。
準々決勝から1日空いて、どういう策を立ててくるのか楽しみでならない。