白熱のロースコアゲーム×2 〜23-24 Wリーグ トヨタ自動車×トヨタ紡織〜

2試合とも同じような試合展開。ロースコアだったが、スローペースでもディフェンシブでもなくイージーシュートを落としているわけでもなく、両チームが堅守で引き締まった試合だった。


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引き出しが多い策士に対して3シーズン共に過ごした内弟子(?)もアーリーエントリー選手の起用で応戦。2試合とも前半はトヨタ紡織優勢。3Qでトヨタ自動車が一歩前に出るも引き離すことはできず、まるでスペイン代表のようなトヨタ紡織だったが、game1では戦術宮下、game2は厳しすぎるオフェンスファールの笛に苦しんだソハナ選手が鬱憤を晴らすべく理不尽リバウンドでトヨタ自動車が寄り切った。

 

両チームの収穫と課題を探っていきたい。まずはトヨタ紡織から。

不動の司令塔である坂本選手の負傷離脱は痛手だと思われたがタイプが全く異なる平末選手と都野選手がそれぞれ個性を発揮していた。平末選手はビッグマン・ジェシカ選手の加入でスペースが生まれて、爆速がより活きている。都野選手は2試合で平均30分ほど出場。坂本選手不在の影響を感じさせることはほぼなかった。

昨季まではゾーンディフェンスがハマると失点を抑えられてロースコアゲームに持ち込んで粘り勝ち、高さやフィジカルで圧倒されると完敗という印象があったが、ゾーンなど巧みなディフェンスは残しつつ、当たり負けしないチームになりつつある。そこにジェシカ選手が加わったので、さらにレベルアップしていくことを期待したい。

ジェシカ選手と河村選手の同時起用は短めにした方が良いと思うが、モンデーロHCの理想に合致した本職4番ポジションの選手が佐坂選手しかいないのが現状。来季の補強ポイントではないか。

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3ptシュートの精度は依然課題。米谷選手、平下選手の活かし方を見出したい。game1で出場機会がなかった齋藤選手をgame2でスタメン起用し18分出場、伊波選手は2試合ともクラッチタイムのみ起用、game2クラッチタイムでは北村選手を4番ポジションに配するスモールラインナップを組むなど策士というより奇才なモンデーロHCならプレーオフに向けて何か秘策があるはず。次週以降も楽しみである。

 

続いてトヨタ自動車

ハードなディフェンスは健在で、オフェンスのバリエーションも増えているように感じた。ピック、ダイブなどオフボールの動き出しがよく、奥行、横幅とも使えており、ダイナミックなオフェンスは見ていてワクワク感があった。3ptシュートのアテンプトは少ないもののオープンは作れている。あくまで水物だが、次週の相手だとこの確率では勝てない。またディフェンスリバウンドを確保してから1本のパスでシュートまで繋げる速く攻める意識の向上も感じられた。ガードの視野、パスセンスと走る平下選手、宮下選手が噛み合ってきた。

そしてHC采配が何よりも大きな変化。game1ではファールトラブルもあったとはいえ1Qや2Qの早い段階でアーリーエントリー選手を起用。HC交代があったのかと思うくらいの変化を感じさせたが(苦笑)、次週以降も続く上位対決とプレーオフに向けての戦力底上げを期待したい。

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181センチの田中選手はチームの危機を救ってくれた。185センチの河村選手、188センチでアスリート能力もすさまじく高いジェシカ選手相手に奮闘。簡単にリバウンドを取らせず。ビックマンのファールトラブルの前半にインサイドで粘れたことがgame1の勝因といっても過言ではない。

小野寺選手はスキルレベルが別格、ドライブの一歩目、パスの判断なども速い。

他の日本人選手の速いとは種類が違う速さである。155センチと超小柄だが小さくても関係ない、というか小さいを武器にしている。彼女のスキルを観るだけでお金を払う価値がある、そう思える選手だ。1Qの3分頃大神HCが川井選手を呼んだときに自分だと思って立ち上がっていた(コートネームがリュウとユウ、判別しにくいコートネームに意味はあるのか…苦笑)ように戦うメンタルも備わっている。試合に出るごとに成長していくだろう。

中断前の富士通戦では岡本選手が結果を出している。アーリーエントリー組だけでなく現状プレータイムは多くない選手たちが競い合ってチーム力を上げていってもらいたい。

 

と采配に大きな変化を感じたgame1だったが、game2はいつもの8人ローテに戻りつつあった。game1では川井選手のコンディション(ベンチに座らず立って身体をほぐしているので腰の状態がおもわしくないのかもしれない)を考慮してか安間選手のファールトラブルかは分からないが、スリーガードの時間が少なかった。game2は特に後半スリーガードでやり通していた(game1で東藤選手のタイトなディフェンスに苦しんだ山本選手含め皆結果を出しているので何も言えないが)梅木選手がピンポイント起用に留まっているのは勿体ないし、2Qでオフェンスが停滞した時に小野寺選手を投入しても良かったのではないか。

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ジャッジがオフェンスファールに対して厳しすぎた。静止しているソハナ選手がイリーガルスクリーンを取られた場面はさすがに不運としか言えないが、同じ審判員のgame2にアジャスト出来なかったのはいただけない。トヨタ紡織はgame1の後半でトヨタ自動車のオフェンスファールを誘っているようなプレーもあった。ベンチからも声を掛け合ってその審判の基準にアジャストしていきたい。審判と戦うのはモンデーロHCだけで充分です。

采配よりもジャッジへのアジャストよりも気になったのは宮下選手への依存度の高さ。アイシン時代を彷彿とさせる活躍ぶりで勝利に導く姿は頼もしかったが、2試合とも37分ほどの出場。オフェンスの潤滑油としてある意味山本選手よりも外せない大黒柱となっているが負担を軽減してあげてほしい…

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あともう2つほど(長いw)

Bリーグではブースターディフェンスという名で相手FT時にブーイングがある。応援を楽しむ一環としてやっているケースもあるようだが、そこそこ効果はあるみたいです。

私は今回game1を観に行って、残り5分くらいの東藤選手のFT時に1人でブーイングしていたら、1本目が外れた。試合は実質1点差でトヨタ自動車の勝利。トヨタ紡織側は相手FT時にブーイングする人はいなかったように見受けられたが、Wリーグでもやれば効果はあるかもしれない。客数、Bリーグのように先導する人はいないなどを考えると成功率はファールゲーム以下だとは思うが、贔屓チームの勝利を観たいのならばクラッチタイムくらいやっても罰は当たらないと思う。

 

愛知県でBリーグを中心にスポーツ取材をされている山田智子氏が愛Bcafeというサイトを最近立ち上げられた。game1を取材されて、両チームのHC、選手インタビューが記事化されている。こうして取り上げてもらえることは非常に嬉しい。

個人的には宮下選手の最後の3ptシュートの裏話が良かった!

今後も県内でBリーグの試合が無い時にWリーグの試合があれば是非取材していただきたいですね。

 

さて次週トヨタ自動車皇后杯王者デンソートヨタ紡織シャンソン化粧品との対戦。両カードともプレーオフを占う上でも必見である。

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