Wリーグ2020-21 ファイナル game1

ENEOS●66-71○トヨタ自動車f:id:antelopes_7_12_23:20210321114912j:imagef:id:antelopes_7_12_23:20210321114925j:image

両チームとも固い入りとなったこの試合だった。ENEOSは最初のオフェンスで河村選手が中田選手を封じ、中田選手は怖じ気づいてしまったか。先に落ち着いたのはトヨタ自動車。安間選手が3ptシュートを決め、オフェンスの形を整えた。f:id:antelopes_7_12_23:20210321115150j:image

地震による中断という思わぬアクシデントにも動じず、トヨタ自動車ペースで試合が進んだ。トヨタ自動車インサイド陣は高さ・強さに加えて機動力があり、ガード陣も当たり負けしない。この特長を活かして、オールスイッチディフェンスで対応。

インサイドを固め、宮崎選手・岡本選手には3ptシュートを打たせないディフェンスを徹底。結果ENEOSはらしからぬターンオーバーやエアボール、余計なオフェンスファールで全くスコア出来ない。f:id:antelopes_7_12_23:20210321115503j:image

トヨタ自動車はオフェンスではエブリン選手と林選手のマッチアップとなり圧倒的優位な3番ポジションを攻め続け、外からのシュートは決まらないものの、セカンドチャンスでスコアを重ね、まさかまさかの21-0ラン

 

  • このまま終わるわけがないENEOS

普通の強豪なら少し点差を詰まることはあるにせよ、この試合で逆転はないだろなと思う人が多いだろうが、そこはENEOS。1Q終盤に宮澤選手、藤本選手を投入し、見事的中。宮澤選手は本調子とは程遠いが、インサイドの不利を軽減し、藤本選手は独特のステップワークでこの試合のENEOSの初得点を決めた。

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2Qはさらに石原選手も投入し、スペーシングオフェンスを多用し、トヨタ自動車のオールスイッチディフェンスに綻びを生じさせた。スペースが大きくなるとオールラウンダーが揃うトヨタ自動車とて対応は難しい。f:id:antelopes_7_12_23:20210321115758j:imagef:id:antelopes_7_12_23:20210321115812j:imagef:id:antelopes_7_12_23:20210321115940j:image
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安間選手を一度休ませ、山本選手がコントロールしたオフェンスの形は悪くなかったが、シュートが落ち始めて、点差が徐々に詰待ってきた。するとまだ15点差ほどあったが、タイムアウト。明けるとストライドの大きな永田選手でスペースを抑えにかかった。f:id:antelopes_7_12_23:20210321120039j:image

ディフェンスではプラン通りにはいかなかった面もあった印象だが、永田選手の豪快なドライブインにより、藤本選手のディフェンス負担が増え、オフェンスに力を注げなくなっていた。永田選手と藤本選手の姉・愛妃選手は大学の同級生。何かアドバイスとかあったのだろうか(中4日ではその時間はなかったと思う)

トヨタ自動車としては耐える2Qとなった。1Q終了時の17点差が前半終了時には7点差に詰まっていたが、ENEOS相手と考えれば及第点ではなかろうか。f:id:antelopes_7_12_23:20210321120145j:image

ハーフタイム含め栗原選手が常に選手たちに声を掛けている姿、タイムアウトやクォーター間などでは先頭に立って出迎えているのもこの試合で印象に残ったこと。日本代表経験も豊富な実力者がこうしてチームに尽くす姿を見たら選手は責任感を持つし、ファンは応援したくなる。こういうところもアンテロープスの強さの一因かもしれない。
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  • 秘策でENEOSガード陣封じ

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前半プレータイムがなかった平下選手を後半開始から起用し、ビッグラインナップを敷いたトヨタ自動車。その平下選手がENEOSの最初のディフェンスで岡本選手を止めた。そのあと平下選手はオフェンスでもコースが開けば打つの精神でルーキーらしくエネルギッシュにプレー。得点は0、6分弱出場で再びコートに戻ることはなかったが、チームにアグレッシブさを取り戻した。この策が外れたらENEOSは一気に逆転していたかもしれないし、平下選手は自信喪失していたかもしれないが、モンデーロHCには確信があり、チームメイトは信頼しているのだろう。その思いに応えた平下選手には称賛しかない。その流れでステファニー選手がウィングスパンとアジリティを活かしたディフェンスで立て続けにENEOSのオフェンスをシャットアウトすると自ら連続得点。

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パッション溢れる安間選手とベンチのコミュニケーションも熱を帯びてきた。再び15点以上の差に広がると、ENEOSは1Q同様宮崎選手、岡本選手のドライブインが増え始めた。強引とも見えるアタックは馬瓜姉妹が難なくブロックショット。3ptシュートも決まらず、3Qで後半のタイムアウトを使うなど苦しい展開が続いた。それでもなお食らいつくENEOS

 

  • 意地を見せる宮澤選手

 

宮澤選手は万全でなくても宮澤選手だった。

肩は痛々しく、3ptシュートを打ち続ける本来の役割は果たせないのかもしれない。その中でリバウンドを制し、何とか逆転圏内に踏み止まり続けた(ENEOSにとっての逆転圏内は他のチームとは違うが…)そして岡本選手の3ptシュートなどが決まり、残り5分強で1点差。トヨタ自動車タイムアウトのタイミングが遅かったと思ったが…

 

  • 安間選手のビッグショットで流れを手繰り寄せる

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タイムアウト明けの重要な場面。セットオフェンスで託されたのがセミファイナル2戦目のウィニングショットに続き安間選手。バスケットカウントでベンチも含めて皇后杯決勝の二の舞にはならないという雰囲気が感じられた。セミファイナルから中4日、タイムシェアも出来ていないENEOSトヨタ自動車のフィジカルなプレーもあって足が止まり始めると永田選手がファストブレイクで躍動。ここまできてもまだ万事休すとはならない。f:id:antelopes_7_12_23:20210321120842j:imagef:id:antelopes_7_12_23:20210321120859j:image

ENEOSの選手たちのメンタルの強さには脱帽だが、試合を楽しんでおり、心に良い意味での余裕を感じたトヨタ自動車の勝ち。f:id:antelopes_7_12_23:20210321121405j:imagef:id:antelopes_7_12_23:20210321121429j:image

緊張しない人などこの世に存在しないであろう場面で笑顔を見せたステファニー選手。3ptシュート0/5のシューターを我慢して使い続け、大事な場面で託された三好選手。エブリン選手含めFTもきっちり決めた。

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  • 本当の闘いはここから

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闘いはこれで終わりではない。セオリーで考えるとgame1をモノにしたトヨタ自動車が優位。フル出場の宮崎選手、2月以降フル出場やそれに近いプレータイムが続く岡本選手、軽傷ではなさそうな怪我を抱えながら34分出場した宮澤選手はビッグプレーがあった一方で普段の彼女たちには考えられないミスもあった。トヨタ自動車はタイムシェアをし、さらにgame1ではDNPだったソハナ選手、脇選手、栗原選手も控えている。疲労度や選手層から見ても優位がどちらかは明らかだが、ENEOSには通用しない。

game1では両チームとも3pt成功率が低かった(ENEOS5/28、トヨタ自動車3/14)。FGの成功率も両チームとも35%ほどで、ターンオーバーは両チームとも14。差がついたのはリバウンドとアシスト。

ENEOSとしてはアシストを増やして、中田選手、藤本選手、石原選手の得点を増やしたいところか。ENEOSはディフェンスに修正を加えてくるだろうが、トヨタ自動車は引き続きオフェンスリバウンドが重要。3ptシュートはまずアテンプトを増やしたい。game1では不完全燃焼だった長岡選手、試合を決定づける得点で気分よく臨めそうな三好選手に期待。

 

しかし一番のポイントはトヨタ自動車がgame1同様楽しめるか・恐れずに戦えるかだろう。この気持ちを持てれば栄冠を手に入れられる。それだけチームの総合力は高い。

 

VAMOS!Antelopes!!