バスケ女子日本代表オーストラリア遠征雑感

オーストラリア-日本

  • game1 ○72-66●
  • game2 ●54-56○
  • game3 ●67-69○

game1,2はとにかく内容が悪かった。今年度の大目標はW杯優勝(は現実として難しく、3位以上が妥当なところか)、それに向けてチームを完成させていく初期段階ではある。渡嘉敷選手、山本選手、ステファニー選手らが休養中、林選手は負傷離脱中、三好選手は引退。町田選手はアメリWNBAでプレーしており、ベストメンバーには程遠い。Wリーグファイナルから1ヶ月半ほどで招集された選手たちもコンディションは良くない。しかしそれらはオーストラリアもほぼ同じだろう。

今遠征の目的、このメンバーを選んだ意図、勝ちにいくのか・連携構築に充てたいのか・セレクションなのか。いまいち見えなかった。今回のようにチームとしての仕上がりが悪いなりに戦えるよう選手各々に考えさせる意図はあったのかもしれない。猛練習、長期間・長時間で戦術を叩き込む日本式からの脱却を図るためのフリーランスかもしれない。ただgame2での残り7.5秒からのスローインでのバイオレーションが典型例だが、決め事や戦術がなさすぎる。ニューフェイスのプレータイムが1試合5分以下は酷。ワクワクばかり先行していて、技術・戦術・戦略としてどういうチームを目指しているのかが見えてこない。このあたり恩塚HCもしくは東野技術委員長の話が聞けると批評・批判も幾分減るとは思うのだが…

JBAの広報体制からして女子代表の強化や人気向上への熱量を感じないが、今回のチームだとそれも仕方ないのかもしれない(鶏が先か卵が先かは分からないけどw)

 

以下もう少し具体的な感想

  • ベテラン感漂わせる平下選手

オープンになれば臆せず打つ。クレーバーなディフェンスで相手にシュートを打たせない。初代表で初スタメンの抜擢に応えた。game3もベンチメンバーで最長のプレータイム、信頼を掴んだ。所属チームよりも代表の方がプレータイム長いのはまるで林選手のようだ。game1,2では評価ポイントがほぼなかった恩塚HCを褒め称えたい平下選手の起用法。

 

  • 東藤選手のスキル

五輪、アジア杯では守備職人に徹していたが、今遠征ではトヨタ紡織の時のようなエースぶりを見せた。日本の女子選手ではなかなかいない比江島選手のような(?)華麗なドリブルワークと鮮やかなカットイン。3ptシュートの精度も上がっている。  

 

  • 野口選手のセンス

軽やかなカットインとスピンムーブでゴール迫るプレーに対してオーストラリアの選手を間合いをつかみきれていなかった。野口選手のようなタイプって海外ではいなさそうで、守りにくいだろう。細身でパワーに欠けるだけに覚えられた時どうかだが、こちらも初代表にしてポテンシャルの高さを見せた。

 

98年生 赤穂ひまわり 馬瓜ステファニー

99年生 山本麻衣

00年生 東藤なな子

01年生 野口さくら(早生まれ)

02年生 平下愛佳(早生まれ)

バックコート陣の層の厚さは恐ろしい。もちろん他にもまだまだいる。

 

我を押し殺して戦術なきチームをパス中心のプレーでマネージメントした。game3ではスタメン起用され、宮崎選手がシックスマンに。プレータイムの配分もよく、後半は安間選手も宮崎選手も本来の特長を発揮した。

安間選手はドイツリーグのレベルは日本より劣ると語っていたが、言葉が通じない・20歳前後の選手が多い中でコミュニケーションは磨かれたことだろう。見事なコントロールと与えられた役割の遂行力だったと思う。

 

  • 3ptシュートアテンプトの少なさ

オフボールの動きがあまりにも少ない。シューター鷹のはし選手が数少ないプレータイムの中でコーナーで浮いてるシーンは見てて辛かった。その他外からのシュート力がある選手のオープンを作り出す動きが少なかった。林選手も三好選手もいないのだから余計にチームとしての約束事が必要なのだが…ここでは何故根本選手が招集されていないのかには言及しません苦笑

 

  • 縦への推進力のなさ

安間選手はgame3途中までコントロールに徹していた。宮崎選手はゴールまで一直線なタイプ(笑)オフェンスに迫力がなく、山本選手、ステファニー選手不在の影響を感じさせた。代表の水に慣れたであろう平下選手が今後はボールプッシュの役割も担っていってほしい。

 

  • オールコートプレスの弱点を攻略されている

剥がされてオープン、マークのローテーションが遅れてイージーに決められるシーンが散見された。game3ではオールコートプレスをほとんど使っていなかった。サイズで劣る日本がこれを封印するわけにはいかないが、かといって固執してもダメ。game3でアジャスト出来たのは良かった。オールコートプレスの練度を上げつつ柔軟な対応ができるチームになっていってほしい。

 

  • 宮澤選手の不調

昨年のこの時期同様肩が重そうで、打った瞬間に外れると分かるシュートばかり。まるで田中真美子選手かと思うくらい泥臭いプレーに徹する時間帯も。不調でも世界レベルだと宮澤選手のサイズ、フィジカル、ボックスアウトを徹底して続けられる姿勢は代表チームには必須。長岡選手も不在の中で代えが効かないのが日本の現状。東京五輪Wリーグプレーオフの時同様W杯の時には最高のパフォーマンスを見せてくれることを願うのみ。

 

と不安・心配・懸念7〜8割、若手の台頭により期待感・ワクワク感が2〜3割といったところだが、国内でのトルコとの強化試合に向けて三言くらい(笑)

 

  • みっちりとチーム作りを

ほぼほぼベストメンバーが揃うはず。エクスキューズなしな状況になると思うので、銀メダリストの名に恥じない姿を披露してほしい。

  • 柔軟な選手起用を

試しつつも勝負に徹したgame3は良かったと思う。game2はロースコアの接戦という難しいシチュエーションだったが、クラッチタイムで打つ手がもっとあったと思う。トヨタ自動車のモンデーロHCだとポゼッション入れ替わるたびに選手を2,3人ずつ交代することもある。もっともっと突き詰めて欲しい。東京医療保健大学は強すぎてそういうギリギリの試合展開の経験が少なかったと思うので、今遠征は貴重な場となったのではないか。

 

  • シューター、ビッグセンターの発掘・育成

これは継続的な課題となりそうだが、トルコ戦に向けても試してほしい。

 

最後に…

批評・批判を制限するファン風土はよろしくないと思います。誹謗中傷との線引きをしっかりし、もしそういう人がいたら注意し合える風土にするべき。批評・批判より無関心が恐ろしいことです。