負けるべくして負けた 〜女子バスケ皇后杯準決勝 トヨタ自動車×ENEOS〜

「負けに不思議の負けなし」とは野村克也氏の名言だが、そこにも到達していない完敗。

移籍によるチーム強化も必要だが、3〜5年のビジョンに基づいた新卒獲得とその選手たちを育てていくチームマネージメントがもっと大事。その上で中期ビジョンを遂行出来なかった時に綻びを埋めるのが移籍なのではないのかなと星選手を見ていて思いました(銀河系軍団を続けるなんてムリゲーなのでw)

ではもう少し掘り下げて、敗因をいくつか…

 

受け身な布陣

宮崎選手をウィングスパンの長いステファニー選手で封じこめようとしたが、いくらスペシャルワンなオールラウンダーといえどスピードで振り切られてしまう。宮崎選手のスピードに対応出来る選手は世界中探してもいないかもしれないが(笑)、ならオーソドックスなマッチアップで良かったのではないか。

ステファニー選手のところで優位性を作れるのがトヨタ自動車の最大の強みだが、オフェンスで速い展開を出して宮崎選手を後手に回らせられたわけでもなかった。

また準々決勝でも上手くいっていなかったソハナ選手、梅沢選手のツインタワーを継続した意図も見えず、自ら強みを消してしまっていたように見えた。

 

ファールトラブル、プランBがない

ビッグスリー(ステファニー選手、ソハナ選手、梅沢選手)が皆1〜2Qの早い段階で2ファール。ファール覚悟のインテンシティ高いプレーはトヨタ自動車の特徴の1つだが、それはファールトラブルが起きても代わりに長岡選手や川井選手が出てくる銀河系軍団だからこそ出来たこと。今シーズンはHCも選手の量も質も違う。

ステファニー選手が2ファールとなり、山本選手、川井選手、梅木選手の3ガードを敷き、そこからトヨタ自動車が逆転し、リードして折り返したが、これは勝ちに不思議の勝ちありの部類ですかね(苦笑)

サイズ下がったトヨタ自動車がディフェンスリバウンドを取れるようになり、速い展開が増えて、そこから山本選手、梅木選手の3ptシュートで反撃。でそこからENEOSが何故かバタバタし始めて、トヨタ自動車は宮下選手起点のピックアンドロール(略して新・戦術宮下)で追い詰めていった。

ステファニー選手ファールトラブルまでの内容を考えるとリードして折り返したのはこのチームの底力に他ならないが、どうも選手だけで打開した感が否めないんですよ(試合中は梅木選手が活躍してて、私が前日に挙げたことが当たって興奮してましたが笑)

ドリブル、単発のミドルシュートが多くW杯の日本代表を彷彿とさせた。それが点に結び付かないと強引すぎるドライブで打開を図る(これはトヨタ自動車の伝統?)HCはというと開始早々にテクニカルファールを宣告された(こういうのは前任者でお腹いっぱいです、前任者のお腹はでっかいです←)

2Qラスト1分で2ファールの選手を休ませることはできた。3Qラスト1分はチームファールをもう1つ使えたので、ファール要員を送り込むことは出来た。冷静になれてない指揮官が新・戦術宮下で攻めるというのを指示したと思えない(勝ってたら名将扱いなんだろうけど笑笑)この負けを学びにして欲しいのは大神HCですね……

 

渡嘉敷の気合

皇后杯優勝に賭ける気持ちがENEOS、特に渡嘉敷選手の方が上回っていた。

2Qに新・戦術宮下でやられたが、ハンドラーへのプレッシャーを強めて、後半はその手を使わせなかった。トヨタ自動車はソハナ選手が3ファール、他の選手もファールを恐れて強く当たれず、ダブルチームにもいけず渡嘉敷選手にやられ放題。トヨタ自動車の守り方にアジャストして、1on1でファイトした渡嘉敷選手にあっぱれ!

トヨタ自動車としては渡嘉敷選手を引っ張ったことは良かったが、がっぷり四つで戦ってしまったので、逆にENEOSが彼女を休ませようと思うくらいの手を打っていたら…ってのはありますね(結果論だけどw)

4Qはトヨタ自動車が1-3-1でゴール前に一番小さい山本選手を配する変則的なゾーンディフェンスを仕掛けたが、ENEOSは奇策に動じない。5分すぎの林選手3ptシュートでジ・エンドとなった。

 

皇后杯での戦いぶりから力があるチームであることは分かったトヨタ自動車だが、シーズン中の選手追加登録は来シーズン内定者のアーリーエントリー以外出来ない(サポートコーチの現役復帰も不可)2〜3月は難敵・強敵との対戦が続くだけにプレーオフ前に疲弊してしまうここ2シーズンのENEOS状態に陥ってしまう危険性がある。高校生の横山選手に過度な期待は禁物だが、彼女が起爆剤となり、DNPトリオの革変が起きることを期待するとしますか。

一番は大神HCがチャレンジできるかですけどね…

 

んで決勝はENEOS×デンソー、2年連続同一カードとなった。

まぁ予想通りですね(笑)ENEOS10連覇だろな〜とは思いつつも準決勝で渡嘉敷選手が最後の1分しか休めていなかったり疲労度はENEOSの方が高いはず。直近のリーグ戦で沖縄に遠征してるデンソーだが、むしろリフレッシュ出来ている印象すらあり、デンソーのチームコンディションは良好。そろそろENEOSを打破して欲しい(リーグタイトルはまだまだ渡さないぞ!←アーリーエントリー頼みのチームだけどw)