10連覇 〜女子バスケ皇后杯まとめ〜

準決勝で渡嘉敷選手がほぼフル出場、林選手と長岡選手も35分以上の出場。デンソーは綺麗にタイムシェア。決勝はENEOSの出場選手はなんと6人、3選手が40分フル出場と高校バスケのような戦い方をした。対するデンソーは準決勝ほどではないが、タイムシェア。クラッチタイムに余力が残っているのはデンソーだと誰もが思ったはずだが、ENEOSは全くガス欠しなかった(プレミアムハイオクガソリンですか?←そんなものはない)むしろ4Q開始とともに加速して、残り4分ほどで事実上試合を決めた。

昨シーズンまでのデンソーENEOS戦になるとビビってしまっていたが、今回はそういうところが全くなかった。各選手が臆することなくプレーし持ち味を発揮していた。特に赤穂ひまわり選手、高橋選手のアグレッシブさが目立っていた。3Qまではデンソーリードの時間帯も長かった。

私が知っている範囲では初めてデンソーENEOSに太刀打ちできていたが、女王のスピリッツは恐ろしい。。

連日脅威的なスタッツの渡嘉敷選手。代表戦ではもっと大きい相手とマッチアップしている髙田真希選手のディフェンスを悠々と交わして得点し続けた。長岡選手もMVPでもおかしくない大活躍。宮崎選手、星選手、林選手含めたユニットは昨シーズン終盤のトヨタ自動車スターターと同じくらい最強だった。デンソーとしては相手が強すぎたとしか言えないくらい悪いところはなかったが、昨シーズン成長を遂げた髙田静選手、藤本選手、奥山選手のプレータイムが減り、藤本選手、奥山選手に関しては決勝はDNP。バックコートは髙田選手とさらには岡本選手が徐々にプレータイムを伸ばしてプレーオフに合わせていくだろうが、フロントコートは中田選手含めてベンチメンバーの台頭が望まれる。スターターの負担を減らせれば金河系軍団誕生だが、変わらないとデンソーなど他チームにも付け入る隙は充分ある。

 

デンソーとしては惜しむらくは4Qでゾーンディフェンスを多用しすぎたことか。そして長岡選手、星選手の3ptシュートが決まりタイムアウトを取ったが、そこから再開時に髙田選手を戻せなかったことか。

個人的には木村選手を3Qでも少し起用し、このタイムアウト明けで木村選手、髙田選手、クンバ選手でハイロー千本ノックをやって欲しかったが、ヴクサノビッチHCは皇后杯ファイナルラウンドで調子が上がらなかった木村選手をこの試合に関しては見切っていたのかもしれない…最後の最後までもつれて1ポゼッション差で決まる試合と読んで髙田選手を休ませたかったのだろうが、ENEOSは昨シーズンのENEOSではなかった…

 

結果としてはベスト4は常連が占めて、決勝は昨シーズンと同一カートで、ENEOSが連覇したが、私が5シーズンの中で一番面白い大会だった。

デンソーは過密日程の中でENEOSをよくスカウティングした。一昨シーズンのトヨタ自動車と似た状況にある。特に木村選手が悔しい思いをしているはずで、そういう気持ちを糧に来月のリーグ戦でENEOSから1勝出来れば悲願達成もあり得る(私が思っていたよりデンソーの成長速度がすごいです苦笑)

例年皇后杯軽視だと感じるチームも多く、リーグ戦と比べて狙いやすいタイトル・TV中継もあり会社やチームを売れるチャンスなのに勿体ないと思っていたが、トヨタ紡織スクランブル体制の中でもトヨタ自動車に本気で勝ちに行っていた。富士通も過密日程かつ怪我人が多い中でこのチームの魅力は伝わった。いくら保守的なテーブスHCといえどテミトペ選手は起用してくるはずだし、東京医療保健大学のタイムシェア戦術の中で鍛えられた伊森選手もジョーカー的な存在として早期に活躍するかもしれない。後半戦は怖いチームになりそうだ。

また東京医療保健大学が準々決勝進出、白鴎大学日本経済大学Wリーグチームを破り、大阪体育大学も大接戦を演じるなど全カテゴリーが集うトーナメント大会の醍醐味を存分に味わえた。来シーズン以降もこうあってほしいし、もっといえばベスト4の牙城を崩すチームが出てきて欲しい。