走り勝ったシューター軍団 〜女子バスケパリ五輪予選 スペイン×日本 〜

🇪🇸スペイン●75-86○日本🇯🇵

前から激しく当たる、しつこく身体をぶつける、インサイドを攻略された時は潔く切り替えてファールをしない。失点は決して少なくないが、その分得点できていた。走力だけで圧倒したわけでも3ptシュートが大当たりしたわけでもなく中外バランスよく多彩な形から得点できていた。

 

勝利の要因と課題を選手評と共に連々と。

  • 林選手の積極性

立ち上がりから決してオープンが作れていたわけではないが打ち続けて決め続けた。キャプテンとして、シューターとしてチームを鼓舞し、チームは緊張感から解き放たれたように見えた。

そして山本選手、平下選手も続いた。平下選手の3ptシュートは決まらなかったが、臆せず打っていた。打線は水物、スリーは水物。次戦は林選手のマークも厳しくなる。平下選手に期待したい。

 

  • ファイターエブリン選手

1年間の休養で心身ともにリフレッシュ。数年前は大舞台に弱い印象だったが、今は良い意味で余裕があるのだろう。あのフィジカルとスピードでガンガンアタック、3ptシュートもスパスパと。スペインはお手上げだったのではないか。

東京五輪以来の代表入りとなったエブリン選手なのでスペインはノーチェックだったかもしれないが、モンデーロHCが情報提供していたかもしれない。彼がどちらの味方なのか気になります笑

元気の良さも含めてチームにエナジーや自信を与えた。この試合のMVP!

 

今のエブリン選手を見て休養という選択肢を持つアスリートが増えるといいですね。完全自己責任下でコンディション調整等する必要があるのでリスクもあるし、実績、人気、知名度兼ね備えた選手でないと出来ないことかもしれませんが。

 

  • 赤穂選手のリバウンド

2Q残り2:38のプレーは前半のベストシーンと言ってもいいのではないか。

 

このプレーだけでなく試合を通して赤穂選手のリバウンドや数字に現れない部分も含めた献身的なプレーが光った。影のMVP。

ただ赤穂選手の万能さ、有能さ故にオフェンスリバウンドの手数の少なさは気になった部分。要改善。

 

  • 落ち着かせた吉田選手

常に速く攻める、基本同じポジション同士での交代など変化とか抑揚が感じられないのは恩塚JAPANの基本仕様だが、吉田選手がコートに立っているときは彼女の判断でペースを整えていた。

3年のブランクがあって、世界大会であのパフォーマンス。言葉にできない(小田和正風)

 

恩塚バスケの体現者。この試合でも開始からハイプレッシャーからのオフェンスを牽引していたが、後半は自らのドライブからの得点でスペインディフェンスをズタズタにした。宮崎選手のスピードは国際舞台ではとにかく効く!どんなことでもスカウティングされてアジャストされるが、緩急の上手さも増し増しな彼女のドライブはどうにもできないとすら思えるレベル。

 

  • 良い意味で普段通りだった髙田選手、ステファニー選手

デンソートヨタ自動車が中堅チームと戦う時のようなプレーぶりだった2選手。ファールトラブルがあったにせよ彼女たちに過度な負担が掛からなかったことは今のこのチームの充実ぶりを示していると思う。ディフェンスでのミスを直後のオフェンスで3ptシュートを決めて帳消しにした髙田選手、微妙な判定でファールを取られ笑顔で悔しがるステファニー選手。このあたりからも普段通りさを感じた。

 

ここでアイコンになるくらいFIBAに愛されてる山本選手、この試合でもその所以を(?)見せてくれた。私は3Q立ち上がりで相手ビッグマンのマークをものともせず涼しい顔で(たぶん笑)左コーナーから3ptシュートを決めたのを見て、勝つなと思ったが、試合に事実上決着をつける残り2分切ってからのシュートを決めたのも山本選手。ステップバックからの3ptシュートはこれぞ世界のYAMAMOTOだった。見る者に与えたインパクトではエブリン選手、林選手、宮崎選手だったと思うが、エースたる活躍をしたのは山本選手だった(個人の感想かもしれない笑)

一方この試合に出場した選手の中で唯一初の世界大会出場となった川井選手は消極的なプレーが多いように感じた。次戦以降はアジア大会で見せたコンボガードぶりを期待したい。

 

  • 申し訳ございません…

難敵スペインに勝ったことでロサンゼルス五輪までの続投は決まりと見て良いだろう。まだ五輪出場権は獲れていない。過度な情報戦はエンタメ視点ではマイナスでしかない。2022年W杯の惨敗はこれからも忘れないが、日本バスケ界で神格化されつつあるホーバスHCもコンディションが万全でない選手ばかり集めた2018年W杯とかあるからね…

自身のコンセプトに合った選手を集めて、徹底的に落とし込んでスペインに快勝したのだから今まで批判しまくったことは謝るしかありません。

(宮澤選手や𠮷田舞衣選手が候補にも入らないのはこの試合を見て納得できたが、渡嘉敷選手だけは上手く折り合えなかったのかなと思ってしまう…)

 

  • 采配は……

ここは今までの大会から変化・進化が見られず残念なところ。40分間自分たちのバスケをやり通すことは不可能。その中で波をなるべく少なく・小さくするのがコーチ陣の仕事だと思うが、プランBはあるのか(吉田選手頼みになっていないか)・タイムアウトが遅いのは気になった。タイムアウトに関しては相手にも休息を与えてしまうことを嫌っているのかもしれないが、それも含めてどういう時に取るのがベターかモンデーロHCから学んで欲しい(日本の味方か分からないけど笑)間違ってもテーブス海選手のお父さんには聞かないで欲しい←

ベンチワーク次第では残り5分くらいで決着つけられて、ラスト2,3分で本橋選手、野口選手の試運転も出来たと思う。

さらに欲を言うと…10人ローテは世界レベルでは主流だと思うが、前半でのインサイド陣のファールトラブルの時に野口選手を、川井選手の調子が上がらなかったので本橋選手を起用出来れば尚良かった。

あと同ポジションでの交代だけでなく平下選手2番ポジション、山本選手と川井選手の同時起用など選手配置の幅が広がれば相手はより戦いづらいのではないか。こういう欲が出るのは完勝した故だが、ここまで求めるのはパリ五輪本番で…!強豪国との対外試合を組みにくい女子バスケ界なので采配経験が少ないことは考慮しなければならない。

 

とにもかくもハンガリーに勝てば五輪出場権を獲得できる。1ヶ月間の合宿での成果を出し切って欲しい!