シーホース三河とアイシンAWウィングスの戦術に相関関係はあるのか

競技未経験者、細かい・難しいスタッツの読み解き方も知らない素人が主観を元に分析してみます(笑)

 

シーホース三河、国内バスケファンなら誰もが知る名門。ところが比江島選手、橋本選手が移籍すると2季は低迷。このままでは古豪と言われてしまうレベルだった。彼らが移籍して自分もWリーグヲタクになってあまり見なくなったが(笑)たまに見ると…

  • 重いオフェンス
  • リバウンドやルーズボールへの淡白さ
  • 戦術ガードナー

ガードナー選手とジェイアール選手の相性も悪いように見えた。PGの選手が若返ったが固定できず、勝ち逃した試合も多かったのではないか。

 

アイシンAWウィングス、こちらはプレーオフ進出がやっとなレベル。選手が「負け癖がついてしまっている」と認めているチーム。一昨季はトヨタ紡織日立ハイテクからも勝利を収めているが、昨季は仕事と両立でバスケに励み練習環境にも恵まれないクラブチームからの勝利に留まった。

Wリーグヲタクになった当初はたまにしか見ていなかったが、このチームの印象としては

  • パスのテンポが悪い・オフボールの動きが少ない
  • ファストブレイクが禁止されているかのごとく、守→攻のトランジションが遅い
  • 戦術宮下(with白)

試合中の選手たちはコミュニケーションが少なく、宮下選手以外自らアタックする選手が皆無に等しかった。ベンチメンバーもどこか白けていて、雰囲気が芳しくなかった。

 

アイシングループのこの両チームのここ2季の状況は似ているとも言えるが、1人の男が両チームにポジティブな変化をもたらした。シーホースのレジェンド・桜木ジェイアールである。

 

シーホースは現役引退したジェイアール氏の32番を移籍新加入の日本代表ビッグマン・シェーファーアヴィ幸樹選手が背負い、外国籍選手登録のレギュレーション変更に伴い、2m近いビッグガードのカイル・コリンズワース選手らが加入。黄金期を支えた柏木真介選手も復帰し、常勝軍団復活へと歩みを進めている。

  • コリンズワース選手のリバウンドとそこからのコントロール
  • 黒子に徹する川村選手、ウィティングトン選手
  • 点をとることに専念する金丸選手
  • 良い意味で絶対的な存在ではなくなったガードナー選手
  • 攻守にエネルギッシュなシェーファー選手

今回ブログを書こうと思ったキッカケは上記記事を見たことだが、正直自分には難しくて何のこっちゃって話です(笑)この記事で読み取れたことと自分の印象を総合すると3ptシュートのアテンプト・幅を広く取ったオフェンス、アーリーオフェンスが増えたこと(=ガードナー選手、ジェイアール選手のローポストありきではなくなった)、柏木選手の存在により長野選手ら若手ものびのびとプレーするなどベンチメンバーの充実。このあたりが好調の要因だろうか。どのスポーツでも一般的には守備からリズムを作ることが多いと思うが、シーホースに関しては攻撃の流れが良いと守備にも良い影響を与えるチームだと思う。

東西の地区格差を指摘する声もあるかもしれないが、開幕節ではオールコートプレスを身上とする渋谷に連勝。両地区合わせて勝率1位の宇都宮からも1勝しており、ホンモノではなかろうか。ただ渋谷と似たタイプの秋田に1敗していることから考えるとアグレッシブなディフェンスをしてくる若いチームには分が悪そう。ベテランが多い故か。

2月に宇都宮と再激突、3月には千葉との対戦が共にアウェイで控えている。ここで対等に戦えれば頂点も見えてくるが、そのためには高橋選手がフィットし、よりタイムシェアしていく必要があると思う。

 

 

ジェイアール氏が現役引退してテクニカルアドバイザー(TA)として加わったのがウィングス。選手の入れ替わりはあったものの鈴木HCが君臨し続けるシーホースに対してウィングスはHCが交代し、インサイドの主力選手も抜けた。新戦力は高卒ルーキー1名に留まった。小川HCの就任が7/1(Wリーグでは概ね6月上旬から新チームが始動する)。ジェイアールTAは開幕前のメディアインタビューで「役割はAC」と語っているが、実質HC?2頭体制?この辺りは14試合見続けてもよく分かりません(笑)何にせよ1からの状態でスタートは出遅れた。8月中旬には活動休止を余儀なくされた。その中でジェイアールTAが持ち込んだ「havefan」のスローガンの下で選手たちが試合というアスリートにとって成果を表現する場を楽しんでいる感が伝わってくる。これが最大の変化。ジェイアールTAも現役時代は自らのプレーがうまくいかない時、試合内容が芳しくない時など不貞腐れてる光景をよく見たものだが、若い選手たちに根気強く指導している姿が印象的である。

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そして選手ありきの戦い方=選手それぞれの特長が活きる戦い方、前体制下では出番に恵まれなかった選手や大怪我明けの選手も積極的に起用するなど先入観を排除した采配も好印象。

  • 自ら点をとるだけでなく周りを活かすプレーが増えた宮下選手
  • 上長選手、江良選手の果敢なドライブイン主力ガードに成長
  • プレーの幅を広げた近平選手
  • 怪我で出遅れた三間選手が今では移籍した選手たちの穴を補って余りある活躍ぶり
  • ムードメーカー遠藤選手

と書くと知らない方が見たら今季大躍進したかのように思ってしまうかもしれないが、現状は14試合を終えて3勝11敗で西地区6チーム中5位に甘んじている。中身は大きく変わったが、結果はあまり変わっておらず、今季もプレーオフ進出は厳しくなったのが現状である。勝てそうな試合は3試合ほどあったし、前半は良かった試合もあったが、簡潔に言うならば勝負弱い・脆い・詰めが甘いといったところか。

シーホースのように勝ち方を知っているHCも百戦錬磨の選手もいない。タイムシェアしていても追い込まれると宮下選手、梅木選手一辺倒になってしまうが、彼女たちとてガードナー選手や金丸選手のような怪物感があるわけではない。年明けの試合では上位チームとのサイズ、フィジカル差を埋めるべく好連携のディフェンスでゴール下に入れさせず、スティールからの速いオフェンスでの得点が何度も見られた。ハーフコートでのボールの動かし方にも進化が見られ幅の取り方はシーホースっぽさを感じさせるなど成長の跡は示したが、いかんせん3ptシュートのアテンプトが少なく、成功率も低い。3ptシュートへの意識は見られるが、皇后杯シャンソン化粧品戦でハマっていたP&R、P&Pも封じられるなど相手のスカウティングも進んでいる。

課題は色々とあるが、一番は3ptシュートの精度だと思っている。ここを上げて、上位チームから勝利し、負け癖を払拭して、今季を終える。これがチームの歴史を変え、選手たちは自信をつけて、コーチジェイアールもステップアップできる。

 

とまとまりのない感じになりましたが、シーホースとウィングスは以前も今も似たところが多く、またバスケは繋がってるので、BリーグWリーグも(出来れば大学や高校も)見てください!ってことを言いたいわけです。

(会場で選手やコーチに声掛けする人とかは嫌だけどね…)

ジェイアールTAは近い将来シーホースのHCを務める人財だと思います。指導者としてどう歩んでるいるかに注目してみる価値は絶対あります。毎試合、毎週ではなくてもある程度定期的に見ておくと進化・変化も感じられて、興味深いです。

また彼以外にも北海道の宮永HCは昨季まで富士通でACを務めていました。シャンソン化粧品には鵜澤ACがいます。シーホースに所属していたらしい佐藤信長氏は東洋大学HCを務めている。Bだけ、Wだけではなく幅広くチェックしておくと新たな楽しみ方を手に入れることも出来ると思います!

 

日本バスケ界の発展を願って。シーホースのジェイアールHCが誕生する頃には賑わいがあるアリーナに戻っていることを願って。

その頃はここではなくて新アリーナかなぁ…

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Wリーグ西地区後半戦2週目

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山梨-デンソー

game1の4Qしか見ていないので偉そうなことは言えませんが…苦笑

山梨はアーリーエントリーの石川選手がgame1でデビュー戦し、12ptの活躍。デンソー相手に競った展開で結果を出せたことは自信に繋がるだろう。

デンソーはgame2で渡部選手がキャリアハイとなる14ptの活躍。クラッチタイムでは本川選手に頼りがち。プレーオフに向けて本職PGの選手たちのレベルアップは必須だが、他の選手が刺激を受け、ポジション争いが激化していくのではないか。

 

アイシンAW-トヨタ紡織

簡単に言ってしまうならばコーチも選手も勝ち方を知らないアイシンAWと昨季開幕週でトヨタ自動車に勝利、三菱電機デンソーには連勝するなど躍進し、勝負のツボを心得ているトヨタ紡織。HCは百戦錬磨の中川文一。

game1は両チームともメンバー交代をあまりせず戦った。アイシンAWは梅木選手、宮下選手が38分出場。トヨタ紡織に至っては平末選手、東藤選手、飯島選手が40分フル出場だったが、クラッチタイムで余力が残っていたのはトヨタ紡織。こういう選手起用が良いとは思えないが、トヨタ紡織は普段からやっているので、選手たちも対応できる。一方のアイシンAWは多くの選手を使い、チーム全体のレベルを上げていこうと試行錯誤してきた今季前半戦だったので、梅木選手、宮下選手が踏ん張り切れなかった。その相手に平末選手のスピードなどストロングポイントを最後まで徹底的に出し続けた中川HCに軍配。

game2、アイシンAWはgame1で終盤に息切れしたことを踏まえてか上長選手がベンチスタート。前半からgame1ではDNPだった髙原選手、板谷選手を起用したが、今度は前半で点差をつけられてしまった。メンバーを入れ替えた1Q終盤から劣勢となり、17点差での折り返し。4Q髙原選手の2本のシュートなどでトヨタ紡織の背中を捉えはしたものの、前半のビハインドが重くのしかかり、連敗となった。

2試合を通して露呈したのは皇后杯準々決勝同様チームとしての引き出しの少なさ。追い込まれると宮下選手、梅木選手どちらかの単騎強襲になってしまう。機能していない時に梅木選手の負けん気の強さが悪い方に作用し、ゲームコントロールが出来ない。特にgame2で数字にも現れており、宮下選手、梅木選手のターンオーバーが合わせて10。アシストはチームトータルで8に留まっている。パスで散らせる酒井選手に代える、タイムアウトで整理するなどベンチワークで流れを変えることも出来ない。

セカンドユニットの底上げ、3ptシュートの形を増やす、ゲームの流れに応じた選手起用など課題は山積している。2月は地区優勝を争う3チームとの対戦が待ち構えているが、1つでも勝利し、皇后杯後に宮下選手が語っていた負け癖を払拭したい。上位チームから勝利する成功体験を得て今季を終えたい。

トヨタ紡織はどこからでも点がとれるチームだが、今季個性が融合しきれていなかった感があった。前週のトヨタ自動車戦連敗で個々の役割も整理され、オフェンスのリズムは格段に良くなり、昨季の良さを取り戻した。デンソー三菱電機との対戦が残っており、順位アップも期待できた中での平末選手の負傷は気掛かりだが、レギュラーシーズン中に復帰出来ればプレーオフでのアップセットも見えてくる。

 

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トヨタ自動車-三菱電機

一昨季ファイナルに進出した三菱電機。その後風間選手、王選手、池谷選手が引退。いわばスケールダウンしているが、あの頃の強さを取り戻して新年を迎えた。トヨタ自動車の三好選手、長岡選手もそれを感じたようだ。

一方のトヨタ自動車は敗れたgame1は今季ワーストとも言える内容だった。皇后杯決勝の4Qでも見せてしまったインサイドドライブインで強引にこじ開けようとする悪癖が出てしまい、粘り強いディフェンスを信条とする三菱電機としては思うツボ。ソハナ選手を投入するなど手を変えるも永井選手、西岡選手がリバウンドを制して、そこからの速い展開で川井選手が10astの活躍。終始優位に試合を進めた三菱電機がスコア以上の完勝だった。

game2、トヨタ自動車は脇選手がモンデーロHCの下ではリーグ戦初のスタメン出場。game1の4Qで3ptシュートを2本決めた栗原選手をこの試合では1Qから起用するなど変化をつけ、両選手とも期待に応えた。一方の三菱電機もgame1に続き永井選手が体を張ったプレーを見せ、渡邉選手のファールトラブルで見崎選手のプレータイムが伸びるなど総力戦の様相。こうなるとトヨタ自動車に分がある。最後は河村選手がインサイドを制圧し、スペースを作って、栗原選手、三好選手の3ptシュートが立て続けに決まって勝負あり。

シーズンの中で悪い波はどうしてもあるが、悪いなりに1勝はしたトヨタ自動車。スペイン人コーチ体制では特長が出し切れていなかった栗原選手の活躍により勝利を手繰り寄せたこと、前週に続き若手を起用しながら最低限の結果も出せたことは収穫だろう。3週間の中断の間に余分な異議で退席を宣告されたモンデーロHC筆頭に今一度整理し、プレーオフに向けて邁進してもらいたい。

三菱電機も昨季からのトヨタ自動車戦4連敗を止め、連勝も見えるくらいの展開まで持ち込んだ。永井選手、見崎選手、篠宮選手は自信を掴んだことだろう。トヨタ自動車デンソーとの対戦を終えただけに他力本願にはなってしまうが、上り調子でプレーオフに臨みたい。

 

2/13の再開が待ち遠しいが、まずは無事に開催されることを願うのみ。

Wリーグ西地区後半戦開幕!

東地区は残念ながら今月(各チーム4試合ずつ)の試合が中止となってしまったが、西地区は無事に開催された。どこまで開催出来るか不透明な中で各チーム一戦必勝の思いがより強かったのだろう。熱量の高い試合を見せてくれた。

 

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アイシンAW×山梨

今季前半の対戦では星を分け合った両チーム。昨季、一昨季も分け合ったが、今回はアイシンAWが連勝した。game1は山梨のディフェンスが冴え渡り、アイシンAWドライブインもP&Rも封じられた。外からのシュートで活路を見出すも確率が悪く、得点が上がらない。後半は山梨がさらにディフェンスのギアを上げるが、両チームともシュート成功率が悪く、ロースコアの接戦に。最後はアイシンAWが押し切ったが、2Qの苦しい時間帯で遠藤選手の活躍が大きかった。実質今季初出場の選手をあの場面で投入するのは賭けにも近かったが、その成功がgame2にも繋がった。選手起用法は固まりつつあるが、プレータイムが短い選手もその中で結果を出せばまたチャンスを得られるチーム。選手のモチベーションの高さを感じることができた。

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game2では点差が縮まらなかった4Qも手綱を緩めることなく最後まで攻め続けた。とはいっても現状では後半戦あと2勝できるかどうかで、プレーオフ進出となると相当なレベルアップが求められる。3ptシュートの安定感が必須。

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山梨はディフェンス力は高く、ボックスアウトの意識も非常に高いが、それを2試合継続して出せないことが課題か。また3ptシュートのアテンプトは多いが、成功率があまりにも低い。昨季よりサイズアップは出来ているが、それでもまだ劣るので、3ptシュートを決めていかないことには勝利が見えてこない。

 

 

三菱電機×デンソー

前回対戦時に続き星を分け合ったこのカード。オーバータイムまでもつれ、選手層の差が如実に現れたgame1。デンソーは稲井選手がアクシデントがあったのかプレータイム少なめ。クラッチタイムで髙田選手がファールアウト。その中でPGを託された本川選手が鬼気迫るプレーでチームを引っ張った。三菱電機は根本選手が45分フル出場するなどバックコート陣は3選手とも40分以上の出場。

選手たちが4Q最終盤でのジャッジに納得いかないままオーバータイムを戦っていたとは思えないが、あれだけタフな試合でコートに立ち続けていたら当然足も気持ちも止まる(そう考えると皇后杯決勝のENEOSは人間を超えた力が出たのだな……)オーバータイム始まってすぐで本川選手が3ptシュートを決めて勝負アリだった。

大激戦の翌日は三菱電機がディフェンスのエナジーを上げて、終始優勢に試合を運んでいたようだ(第1試合に満足して、あまり見ていません←)バックコート陣3選手はこの日もプレータイムが長いが、それでも結果を残している。プレータイムに恵まれないベンチメンバーもモチベーションを落とすことなく、コートに立つ選手たちを鼓舞しており、古賀HCのマネージメント力の高さだと思う。その力を選手育成にも発揮できれば再びファイナルへの道も見えてくるが、現状では以前の定位置6位(今季の2地区制だと3位)が妥当な位置となってしまう。

デンソー・マルコビッチHCの意外性ある采配は相手を幻惑していると思うが、選手たちが準備・対応できていないのではないか。。昨季のトヨタ自動車も似た傾向があったが、マルコビッチHCの場合、この社会情勢下で来日が遅れ、10月中旬からチームに合流。母語とは異なる英語を用いてるようで指示が完全に行き届いていないこともあるかもしれない。マルコビッチHCのメソッドが浸透したらもっともっと強くなるが、本職PGの選手たちのより一層の奮起が求められる。

 

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トヨタ自動車×トヨタ紡織

育てながら勝つ。プロスポーツの世界においては永遠の課題かもしれない。三菱電機にしてもそうだし、以前このブログでも取り上げたシャンソン化粧品Jリーグ名古屋グランパスも然り。

この両チームは皇后杯を経て、アーリーエントリーで新たな選手も加わり(トヨタ紡織の選手は未合流)、選手起用に変化が見られた。トヨタ自動車はスタメンこそほぼ固定だが、2試合とも永田選手、脇選手を長く起用し、西澤選手も前半のうちから起用していた。アーリーエントリーのソハナ選手はgame1で20点差の4Q開始時に投入された。3Qにリバウンドで圧倒し差を広げたが、まだ安全圏とまではいえない点差・残り時間だったが、ソハナ選手は期待に応えた。それどころか7分あまりの出場で12得点の鮮烈デビュー。game2でも最後の2分ではあったが、ソハナ選手、さらには佐藤選手、平野選手を起用。大神ACが入念に指示して送り出して、佐藤選手が3得点。安全圏に突入していたが、上手くいっていないと見るやタイムアウト。その間もアーリーエントリー選手と同ポジションの先輩たちがサポート。チーム一丸で若手を育てていく姿勢が感じられた。

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トヨタ紡織も齋藤選手の欠場は残念だったが、開幕時の輝きを取り戻した平末選手と坂本選手でPGをローテーション。皇后杯準々決勝で初出場を果たした佐坂選手が奮闘するなど9人で回せていたが、game2はいつもの選手起用に…

この2試合での成果によりトヨタ自動車がタイトルを得られるわけでもなんでもないが、我慢・継続の采配により2勝。若手選手は手応えを掴めたと思う。game2後半立ち上がりも好例の1つ。12点リードで永田選手、平下選手を送り込んだが、2分経たずに4点差まで迫られて、タイムアウト。一度永田選手、平下選手をベンチに下げたが、そのあと再び起用している。飴と鞭とでも言うべきか。

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育てながら勝つ、我慢・継続の難しさを痛感させられた対戦だった。

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Wリーグだけでなくスポーツ界で感染が拡大しており、今後の開催が懸念されるが、ただでさえ試合数が少ないリーグ。無観客でもなるべく開催してもらいたい。

 

20-21シーズンWリーグアーリーエントリー選手発表

 


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昨季は1月中旬のオールスターで発表され、それ以前は皇后杯決勝を終えて、リーグ戦が再開されるまでの間に発表されていたアーリーエントリー選手。今季は皇后杯のスケジュールがこれまでと変わり、リーグ戦再開も早め。またこの社会情勢下であり、学生も普段とは全く異なる一年を過ごしている。アーリーエントリーする選手がいるのかという疑問もあったが、(オールスターのイベントのように事前予告なしで唐突に)年の瀬に発表された。17名中16名が大卒(見込)選手であり、ここは例年とは異なる。

 

ENEOS

例年通りこの制度を活用せず。現状怪我人は多いが、ロスターは15人おり、ポジション、年齢のバランスも良い。もし春に引退・移籍する選手がいても名門高校・大学から才能ある選手が加わることだろう。

 

富士通 

今年度インカレMVPの赤木選手、昨年度リソウハク杯日本代表の奥選手、今年度インカレ3位筑波大のキャプテン渡邊選手。プロ野球でいえば4球団競合の末に目玉選手を引き当て、さらには2位、3位でも本来1位指名されていてもおかしくない選手を指名できたくらいのハイレベルな補強。リーグ後半戦でいきなり活躍できるだけのポテンシャルを持った選手ばかりである(実際のところは緻密なモーションオフェンスなど決まり事が多く、移籍初年度の星田選手もプレータイムに恵まれていないので難しいと思うが…)

アクティブプレーヤーが10人だっただけにトレーニングの質向上も可能になってくるが、シーズンオフはSG・SFの選手の動向が気になってくるところ。

 

日立ハイテク

ロスターが16人、その中に2人加わり、こちらもシーズンオフが気になるチーム。船生誠也選手(琉球ゴールデンキングス)の妹でもある船生晴香選手は早稲田大学で下級生の頃から試合に出場していた選手。星選手、白鞘選手と似たタイプだと思うが、器用で賢く、重宝されそうだ。

目黒選手はダラーメ選手に続き2年連続での大卒センタープレーヤーとなる。谷村選手、鈴木選手、村山選手がいる中でいきなり多くのプレータイムを得ることは困難であり、将来性枠なのか学閥なのか。


シャンソン化粧品

今季選手のやり繰りに苦しんだチームに大物ルーキーが加わった。吉田選手、佐藤選手の加入により野口選手、水野選手の負担は大幅に軽減され、ラインナップのバリエーションも増える。吉田選手の拓殖大と佐藤選手の筑波大がインカレ3位決定戦で対戦しているので是非見ていただきたい。吉田選手に関しては東藤選手や小笠原選手のような衝撃デビューを飾る可能性もある選手だと思っている。


東京羽田

近年は有望な大卒選手を獲得してきたチームだが、今季は現時点では無し。ロスターが12人で本橋選手は今季絶望。短期的にも長期的にも戦力は欲しかったであろうチー厶だけに辛いだろう。シーズンオフに移籍で中堅選手を獲得したいところか。


新潟 

トヨタ自動車の河村選手と名前が似ているが、ポジジョンも見た目も全く違う。なんてことを言っているくらいなので、河村美侑選手のことは全く存じ上げていないです(笑)

新潟には細身のガードプレーヤーが既に何人かいるので、どう使い分けるのかは疑問あり。ただ得点源の千葉選手に続いて専修大学からの加入で、同大とのコネクションが出来たと考えれば新潟としては好材料である。


トヨタ自動車

  • #8 佐藤 京香(SF/白鷗大学)
  • #28 シラ・ソハナ・ファトージャ(C/白鷗大学)
  • #37 PG 平野 実月(PG/愛知学泉大学

富士通とともに現段階で新卒補強に成功しているチーム。ガードの多さはシーズンオフに動きがあると考えざるを得ないが、フィジカルが強く、個性がハッキリしているモンデーロHCが好みそうな3選手を獲得できたのではないか。いきなり試合で活躍することは難しいかもしれないが、チームのクオリティアップに貢献できる選手だろう。ファトージャ選手はトヨタ自動車で鍛え上げられれば今後日本国籍取得→代表入りもあるかもしれない。


デンソー

アーリーエントリー選手は無し。今年度大卒選手と同年代の選手が多く、来春加入選手は高卒のみか。特にインサイドが人材豊富ではあるものの、赤穂さくら選手以外は中堅・ベテラン選手。さくら選手とともに3年後5年後柱となれる選手が必要。


三菱電機

こちらもアーリーエントリー選手は無し。新卒は基本高卒のみのチームで、来春何名かの加入があるかもしれない。


トヨタ紡織

2年連続で愛知学泉大学東京医療保健大学からの加入。岡田選手、﨑原選手は共にサイズはそこまでないが、リバウンドに滅法強い。チームとして強化方針が一貫しているが、19-20シーズン以降選手の入れ替わりが多く、その選手たちが融合しきれていない印象がある。その状態のチームにさらに即戦力候補のルーキーが2人加わるとなると期待より不安の方が大きいのではないか。


山梨

2年連続で山梨学院大学からの加入。石川選手は甲斐市出身、高校も山梨県内。Wリーグではかなり珍しい生粋のフランチャイズプレーヤーである。いわゆるストレッチ4タイプのようだが、大学では1学年下の橋口選手がインサイドの要で、山梨でいきなり多くのプレータイムを得ることは難しいだろう。


アイシンAW

2年連続で大卒道産子プレーヤーが加入。サイズはあるが細身。米谷選手と髙原選手を足して2で割ったようなタイプというイメージで正直補強ポイントではない。

桜花学園聖カタリナ学園卒の選手が多いチームだが、そこから選手が獲れなくなってきているのは辛い状況で、新たなコネクションの開拓が求められる。その点からすると米谷選手や大澤選手にかかる期待は大きいのではないか。

(宮下選手の母校・足羽高校2年の山田愛結選手は逸材だと思います。足羽など北陸ルートは今後開拓されていくかもしれません。)

 

皇后杯で悔しい想いをしたチーム、ニューフェイスも加わってのトレーニングで底上げを図っているチーム、怪我人が戻ってくるチーム。様々だが、各チームの戦いぶりを診るのが楽しみでならない。1/9が待ち遠しい。

ENEOSから覇権を奪うには

昨日の皇后杯決勝。ここ数年の決勝やリーグプレーオフファイナルとは別物で、ファン含めWリーグに携わる人たちは色々考えさせられたと思う。私も各所でポエムじみたことを吐き出しているけど、まだ続きます(笑)

 

ENEOSは本当に強かった。動じない、ふてぶてしい、したたか、しぶとい。カッコいい・華やかな言葉は全く思い浮かばないが、とにかく強かった。

メディア記事などから練習量がものすごい多いチームだと察することが出来る。

今は矢野さんが在籍されていたころのような練習量ではないことはこの記事を見なくても分かる。そういう時代ではないから。ただそれでも多いのだろう。またデンソーの小畑ACが解説者をされていた頃取材した際に「引き締まった特別な空気感だった」との旨話されていたことがある。戦術、技術の面での練習の質は想像のしようがないが、1本のシュート、1回のスクリーンなど1プレー1プレーを追究し、ミスが許されない環境かと小畑ACのお話しを聞いたときに想像した。日々日本代表の選手と極限状態で練習しているので、中田選手や中村選手、藤本選手が大舞台でも結果を出せたのではないか。

 

ただどこのチームもエリートたちの集まりだし、練習量も多いはずだ。レバンガ北海道の宮永HCが開幕直後のメディアインタビューで「富士通では日々3部練習で、練習の準備が大変だった」と語っていたくらい。トヨタ自動車デンソーは世界的名将が今まで日本女子バスケにはなかった発想で練習に取り組んでいるだろう。ではENEOSの壁を越えるために何が必要なのだろうか。

 

まず大前提としてWリーグは10年以上ENEOSの一人横綱状態で、大関も居ない。栗原選手がルーキーの時に皇后杯を制し、昨日の決勝でも30分近くリードを奪っていたトヨタ自動車が次の場所から大関に昇進といったところか。リーグプレーオフENEOSに勝利したことがある富士通が元大関、他のチームは関脇以下。それだけ実力差があり、その認識を持って、既定概念に捉われない発想が必要だろう。

大関や関脇が優勝することもあるが、誰の目から見ても対抗できるもう一人の横綱が必要。目下のライバルと土日連戦で星を分け合ってるうちは横綱は誕生しない。ENEOS以外にはどこにも負けない状態になって、ENEOSにレギュラーシーズンで連勝、プレーオフで1つは勝つ。そのレベルのチームが横綱だろう。

 

抽象的なことしか言えていないが、最後に。

得点をとるための手段をもっともっと身につけていかなくてはいけない。

昨日の決勝の3Q残り4:14エブリン選手が上手いファールの貰い方して、解説の萩原美樹子さんが「NBAの選手がよくやるプレー。日本女子ではほとんど見ない。」と評していた。↓のプレーにしてもそうだが、老獪なプレーをできる選手が増えてほしい(審判に見えないところでのラフプレーとかを推奨しているわけではない)

日本の女子選手は良くも悪くもスマートで真面目。BリーグNBA、欧州のリーグなど様々な試合がネット配信で手軽に見られる時代。選手もコーチも盗めるところは盗んで、取り入れてほしい。

 

ENEOS、日本代表HCの内海氏が率いる日立ハイテクも含め怪我人が多すぎるのは気になった。負け惜しみのようになってしまうが、優勝して、それを美談のように語るのは良くないと思う。ハードすぎる練習で怪我をしているのかもしれない。それを耐え抜いた選手がチームに必要とされるという考え方も一理ある。しかし大きな痛みを伴っているのなら選手それぞれの特徴に合わせた練習メニューも必要。渡嘉敷選手の怪我に関しても試合中のアクシデントではあるが、大怪我に繋がったことと練習の量・メニューに因果関係があるのかは検証すべきである。選手は使い捨てグッズではなく、人間。スポーツ、ましてやフィジカルコンタクトがある競技に怪我はつきものだが、2チームだけ極端に多いのは偶然では片付けられないだろう。

 

勝っているからといってENEOS式が全て正しいとは言えない。怪我人がこれだけいる以上ニュースタンダードを模索してほしい。

 

 

 

 

皇后杯決勝 ENEOS×トヨタ自動車

ENEOS○87-80●トヨタ自動車

ENEOSの底力を見た大会だった。準々決勝でトヨタ自動車と対戦したアイシンAWは前半はスコアこそ同点だったものの、P&Rを封じられ、アイソレーションで仕掛けてもFTまでに留まることが多かった。後半戦術宮下は通用せずに惨敗。トヨタ自動車の準決勝は勝利こそしたものの7人でローテーションする日立ハイテクに最後まで苦しんだ。決勝は4選手がフル出場する高校バスケのような選手起用だったENEOSに敗れた。三好選手の爆発はあった。平下選手も疲労を感じさせないハツラツとしたプレーを見せたが、経験豊富な選手と彼女たちと腕を磨いてきた今まで陽の目を浴びなかった選手たちが融合したENEOSに屈した。現時点ではENEOS、日本代表のスタイルが日本女子には合っていると認めざるを得ない。

何だか日本女子バスケを見るのが嫌になってしまうくらいの残酷な現実を見せられたが、惚れた嫁の嫌なところを1つ2つ見つけたからって別れません。一般的に見れば可愛くなくても出来が悪くても我が子は最愛するものである。えっ?私は嫁の嫌なところなんてないですよ?我が子はひたすら可愛いですよ?

 

 

はい、不要な情報ですね。試合をちゃんと振り返ります。 

 

  • 1Q

ゾーンディフェンスを多用し、ENEOSのペースを乱したトヨタ自動車ENEOSは本来の速いオフェンスを繰り出せず、ゾーンでも足がよく動き、宮澤選手を封じた。中田選手のミドル、中村選手の左ドライブでやられるのは織り込み済だったのだろう。オフェンスではエブリン選手を中心に仕掛けて、インサイドで手堅く得点。

外が空いてきたところで三好選手が仕留めた。今季はリーグ戦含め3ptシュートの調子が良くなかったが、毎試合打ち続けてきたことが決勝の大舞台で実を結んだ。

トヨタ自動車が優位に試合を進めたクォーターだったが、ENEOSオフェンスとなったこのクォーターラストのモンデーロHCの采配には疑問。三好選手、安間選手を下げ、ビッグラインナップを敷いたが、宮崎選手のスピードに翻弄され、失点して終えることとなってしまった。抑えて終わろうとしての交代策だったが、裏目。これも準決勝同様ENEOSの魔力か。

 

  • 2Q

1Qラストの得点を足ががりに追い上げるENEOS。1Qでは封じられた宮澤選手の3ptシュートが決まり始めたが、点差はトヨタ自動車のリードが6点前後という状況で推移。河村選手のインサイドでの粘り強いプレーが光った。ラストプレーで投入された脇選手も仕事をきっちり果たした。

 

  • 3Q

当たり出したら止まらない三好選手。このクォーターも出だしで3ptを決め、トヨタ自動車が6点前後のリードをキープして試合を進めていたが、残り3分ごろから雲行きが怪しくなってきた。リードしていることがかえって重圧になっていたのだろう。代表経験豊富な長岡選手やエブリン選手にしてもアジアカップで優勝したときはプレータイムに恵まれなかった選手である。当然のことなのかもしれないが、このクォーターで押し切れるポイントはあった。

残り6:22三好選手のターンオーバーから3:00トヨタ自動車タイムアウトまでの流れ。ENEOSタイムアウトまでの流れ。ターンオーバーから3ptシュートを決められる最悪の流れだったが、ミスを取り返すべく三好選手が決め返した。そこからENEOSタイムアウトを経て7点リードになったが、この3分ほどの間でバックコート陣の交代という手は打てなかったか。岡本選手がショットクロックバイオレーションを冒すなどトヨタ自動車の流れにあり、普段なら山本選手か永田選手を入れてギアチェンジで加速する展開だったと思う。変化をつけられず、スタメンが休めず、そのうちに2回のバスケットカウントでENEOSが3点差まで詰めてきた。3Qでタイムアウトを2回使うわけにもいかず、ENEOSの流れに。ENEOSのラストオフェンスでトヨタ自動車は良いディフェンスをしていたが、ショットクロック残り少ない中で中田選手が難しいミドルショットを決めた。

このダメージは相当大きかった。29分くらいずっとトヨタ自動車がリードしており、試合を支配していた。まだあと10分あった。焦る必要はまったくない時間帯だったが、完全に飲み込まれてしまった。ENEOSは1点のリードだが、3歩くらい前に出た。

 

  • 4Q

飲み込んでしまえばあとは岡本選手、宮崎選手のスピードで圧倒するのみだ。トヨタ自動車も必死の抵抗を見せるが、三好選手が封じられて、インサイドアタックも準決勝の2Qのような攻め急ぎが見られ、流れを取り返すことは出来なかった。ENEOSはFTを確実に仕留め続けた。本来ENEOSの方が疲労度は高いはずだが、トヨタ自動車の足が動かなくなってしまった。残り5:43で5ファールとなり、さらには3回目のタイムアウト。この時点でENEOSのリードは6点だったが、疲労とベンチを含めた焦りで巻き返す力は残っていなかった。

 

ENEOSは怪我人続出でも出場した選手たちが勝者のメンタリティを授けられていた。渡嘉敷選手はチームメイトを鼓舞し続けた。梅嵜HCが試合後のインタビューで「ベンチには渡嘉敷HCが‥」と言っていたが、これは半分本気だと思う。それだけチームに影響力がある存在なのだろう。そういう偉大な選手に遠慮することなく他の欠場した選手や20歳前後の若い選手も皆が声を出していた。この点は良い意味で高校バスケのようだった。悪い流れの時も皆が声を出していた。これは本当に重要なことである。

 

一昨季のWリーグセミファイナルに続き悔しい敗戦を喫したトヨタ自動車

あの試合の時は高校2年生だった平下選手が今回貴重な経験を積めた。来季や再来季に「あの経験があったから今がある」と言えるチームになっていてほしい。

ただ不思議なのがデンソーのマルコビッチHCも含め世界的名将が普段の采配を出来なかった理由は何なのだろうか。あの選手起用では岡本選手、宮澤選手の経験、宮崎選手のスピードが上回る。映像でスカウティングするだけでは分からないENEOSの凄みとか渡嘉敷選手不在とか色々あるのだろうが、やっぱり何らかの魔力があるとしか思えないし、心理カウンセラーみたいな方に分析してもらいたい…苦笑

 

そして最後に……

ENEOSは吉田選手が実質引退、大会前から怪我人続出、さらには渡嘉敷選手が大怪我。この状態でも優勝した。負けた側にアンラッキーがあったわけでもなく、100%実力で劣っていた。準優勝以下のチームはこの現実を直視してほしい。選手やコーチは皆悔しいと思っているに違いないが(そう思いたい)、チーム幹部や会社の上層部はどういう未来図を描いているのか。三菱電機Wリーグファイナル進出、トヨタ紡織Wリーグレギュラーシーズン4位、日立ハイテクが今大会ベストマッチ4などENEOS以外のチーム間の実力差は縮まっているが、依然としてENEOSの背中は遠い。ENEOSを捕らえられるチームが出てこなければWリーグの人気は上がらない。仮にプロ化、ビジネス化しようにもスポンサーがつかない。試合数を増やしてもホームゲームを増やしても優勝するチームが決まってるようなリーグには興味を持ってもらうことは難しい。

 

ネガティブな締め方は嫌だったが、今大会を見てポジティブにはなれなかった。準優勝以下のチームのより一層の奮起に期待したい。

 

 

皇后杯準決勝短評

ENEOS×デンソー

ツインタワーの欠場により平面戦を意識したENEOSはスペースの使い方が上手く、中村選手のドライブが活きた。それによりだんだんとデンソーは中に気を取られ、中田選手がミドル、宮崎選手がスリーを次々と沈めた。

ディフェンスでもメンバーが入れ替わっていることを感じさせない連携の良さが見られた。

しかし何より光ったのは選手たちの気持ち。試合前に渡嘉敷選手の怪我が重傷であることが発表された。その渡嘉敷選手もベンチに入り、チームを鼓舞していた。負けるわけにはいかない。負けたら「渡嘉敷が居ないと駄目か…」と言われるわけだから。その気持ちの強さがシュート、リバウンド、ディフェンス時のプレッシャーの掛け方に現れていた。

デンソーENEOSの名前に怖気づいてしまっていたのだろうか。リーグ戦でのトヨタ自動車戦のような積極性が見られなかった。「渡嘉敷が居ないENEOSなんてENEOSじゃねぇよ!」くらいの気概を見せてほしかった。準々決勝の富士通同様外からのシュートが決まらず、ENEOSにチャンスを献上してしまっていた。

後半立ち上がり本川選手の3ptシュート、髙田選手のバスケットカウントでデンソーに流れが傾きかけた。プレータイムが長いENEOSの選手たちの判断力が鈍り、リバウンドでの反応も悪くなっており、出血の治療で他の選手より休んでいる時間帯が長かった中田選手で何とか繋いでおり、一気に差を詰めるチャンスだったが、両チームが1回ずつタイムアウトを取る間にENEOSリカバリーできた。髙田選手が3つ目の個人ファールで下がらざるを得なくなり、そこから踏ん張れず、万事休すとなった。

セルビア代表HCを兼任するマルコビッチ氏も人の子。この試合での采配は冴えなかった。1Q残り1:38で髙田選手、さくら選手、ひまわり選手を下げて、畠中選手、森選手、園田選手を投入。長身選手を総入れ替えした格好だが、これが見事に失敗。14-14だったが、ディフェンスの連携が乱れて、20-14で1Qを終えることとなってしまった。6失点を喫した事実だけでなく、そのあとの選手交代も消極的になってしまい、スタメン選手に負荷がかかった。これが髙田選手のファールトラブルのときに持ち堪えなかった一因とも言えるのではないか。世界の名将の判断をも狂わせる魔力がENEOSにはあるのかもしれない…

 

日立ハイテク×トヨタ自動車

7選手でローテーションしていた日立ハイテクはよく耐えた(アイシンAWは22分で詰んだ…)曽我部選手、佐藤(奈)選手が出られる状態であれば結果は違っていたかもしれない。リーグ戦ではスタメン出場の機会はなかった星選手、白鞘選手が迷いなくプレーし、北村選手、谷村選手はトヨタ自動車インサイド陣に屈しないフィジカル、メンタルの強さを見せた。しかしトヨタ自動車の戦力が質量とも上回った。

カッティングを多用する日立ハイテクのオフェンスに序盤は手を焼いたが、すぐにアジャスト。エブリン選手、ステファニー選手、長岡選手は高さ、フィジカルの強さに加えプレーエリアも広く、そこがディフェンス面で活きた。リバウンドが拾えなくなってきたら河村選手が救世主となり、泥臭くボールを繋いでくれた。この4選手のインテンシティあるプレーが7人ローテーションの日立ハイテクにじわりじわりとダメージを与えていたのではないか。

平下選手は3pt3本を含む13得点。トヨタ自動車加入後最長のプレータイム、トーナメント大会のプレッシャーもあったであろう中で終盤はパフォーマンスは落ちたが、三好選手の不調をカバーした。ディフェンスでもルーキーらしからぬ落ち着いた対応を見せるなどタレント軍団の中で存在感を発揮している。

MVPは4Qで9得点を挙げ勝負強さを見せた長岡選手か。インサイド陣の最年長としてチームを引っ張る自覚が感じられる。渡嘉敷選手が東京五輪に間に合わない可能性もあるが、河村選手や谷村選手、中田選手(ENEOS)も含め元気な選手たちがホーバスHCの心配を軽減させてほしい。

 

 

この結果決勝はENEOS×トヨタ自動車となった。渡嘉敷選手離脱の緊急事態を乗り越え勝ち上がってきたENEOSは気持ちの強さを2日連続で出来るだけのメンタル的体力はあるのか。リーグ戦でのプレータイムが少ない中田選手、中村選手のコンディションへの不安もある。12人全員が出られる状態にあるトヨタ自動車も平下選手がパフォーマンスを維持できるか。三好選手の爆発も必要だし、山本選手がもっと変化をつけられるとENEOSとしては脅威だろう。

渡嘉敷選手不在ならトヨタ自動車が断然有利と言いたいところだが、全くもってそうではない。全く読めない試合なので、楽しみである。