【名古屋グランパス】今季も開幕ダッシュ成功?!

苦しい試合だった。今日のMOMマッチは?と聞かれたら、江角と答えてしまうくらい彼の奮闘ぶりが目立つ試合だった。今朝のスポーツ紙に日本代表の岡田監督が楢崎を視察とか吉田をリストアップという記事があったが、実は江角をチェックしていたのかもしれない。昨夏瑞穂で対戦したときは不安定さを露呈し、大量失点していたが、半年強で非常に成長した選手だろう。今日はまずここを褒めておきたい。

両チームともスタメンが一人ずつ入れ替わったこの試合。大宮は吉原に代わってルーキーの土岐田を起用し、名古屋は大分戦で負傷した吉田に代わって増川を起用した。連戦を考慮して無理はさせなかったのだろう。増川も昨年序盤の好調時はレギュラーだった選手で、今季は出遅れたもののナビスコ杯神戸戦と前節の大分戦で短い時間ながら出場しており、この点に関しては心配していなかった。しかし連戦だからか中盤の運動量が非常に少なく、セットプレーでは失点シーン以外にもマークがルーズで何度か肝を冷やされた。また攻めても先に述べたように江角の再三の好セーブがあり(吉村がゴール前に顔を出すような展開は良かったが)、正直今日は引き分けだと思った。連戦での弱さは簡単には変わらないものかと思った。

ビハインドで折り返したが、後半に入ってもメンバーは入れ替えてこなかった。ピクシーは同じ名古屋に本拠地をプロ野球中日ドラゴンズ落合監督と同じタイプで、先発メンバーを信頼して送り出している監督なのだろう。

そして後半11分からの2分間で試合は動いた。セットプレーから高さのある3人が破壊力でねじ伏せたようなゴールで同点に追いつくと、直後にカウンターからマギヌンが2試合連続ゴールを挙げた。その後は大宮がペドロ・ジュニオールデニス・マルケスを中心に怒濤の攻めを見せてきたが、楢崎の安定したセービングでゴールを割らせなかった。前半の小林大吾ループシュートも含め際どいシュートが何本もあったが、前に弾くかコーナーに逃れるかを的確に判断していた楢崎は圧巻で、改めてバーレーン戦に出場していた方との歴然とした違いを感じた。1点リードの後半31分に吉村を下げ、杉本を投入したピクシーの選手交代にも驚かされた。前節は同点の中でこの交代をしたが、アウェイで1点リードの中でこの交代は選手に「まだまだ攻めろ」と無言の檄を飛ばしたのだろう。このような交代はできる監督は他になかなかいないだろう。かと思えば大宮が吉原を投入してきた直後に山口を送り込む柔軟性も見せた。玉田との交代で巻が出場したのには最も驚かされた。前節も玉田は終盤に交代しているが、その時は増川と代わった。今日も三木もしくは吉田かと思ったが、巻だった。前節「ピッチの雰囲気を味あわせたい」と増川を使ったが、巻にも同じ事をしたのだろう。ナビスコ杯神戸戦で結果を出した巻をリーグ戦でも使い、チームの一員という認識を示す行動なのだろう。去年の巻はヨンセン離脱中以外のリーグ戦出場はほぼビハインドの中でのパワープレー要因だったが、今日はリードを守り切らなくてはならない場面。その中で役割を理解し、シュートも1本放った。ナビスコ杯でスタメン出場するのと同じくらい意義のあることだと個人的には思う。

こうしてなんとか勝ったこの試合。中継内で今季横浜FCから移籍してきた内田の「三ツ沢(現ニッパツ球技場)と雰囲気が似ている」というコメントの紹介があったが、この試合を観ていたらちょうど一年前の三ツ沢での横浜FC戦を思い出した。楢崎負傷に伴いスクランブル出場の櫛野が好セーブを連発するも先制を許したが、後半半ばの連続ゴールで逆転したあの試合。昨季はそのあと崩れたが、今年はどうなることか。個人的には優勝とか順位とかはあまり考えず、常勝軍団となる礎を築く年になることを願っている。

次節も中2日で、豊田スタジアムに好調横浜F・マリノスを迎える。「日本一のサッカースタジアム」で好調同士の好ゲームが繰り広げられることを信じてやまない。

最後に4節を終えたJ1を簡単に振り返りたい。名古屋と開幕戦で当たった京都といい前節の大分といいどこのチームもいいサッカーをしている。大宮も昨年までに築かれた固い守備をベースに攻撃的なサッカーを展開していた。ピクシー監督初勝利となった浦和戦は快勝だったが、浦和は監督交代で復調気配だし、G大阪や川崎など他の出遅れたクラブも3、4節と連勝している。他では神戸もしっかりしたサッカーをしているようだし、鹿島は昨季終盤からのサッカーを継続して、4連勝だが、ACLも戦っていかなくてはならないため、今年のJリーグは例年以上の混戦になりそうで、非常に楽しみである。