企業スポーツに一般ファンを増やすために

デンソーアイリスの髙田真希選手が先日船橋アリーナBリーグ千葉ジェッツ栃木ブレックスの試合を観戦され、その後Instagramに以下のような投稿をしている。

「楽しかった。10月5日のウィングアリーナ刈谷もこうなるように。沢山の方が観て楽しいと思ってもらえるように頑張らなきゃ」

今はシーズンオフ、もうすぐ代表合宿が始まるであろう時期。

半年先のリーグ開幕戦のことを気にかけているとはファンとしては嬉しい限りだが、現状では千葉ジェッツの試合のように盛り上げることは難しく、まずどうすれば沢山の方が観に来てくれるのか・楽しいと思えるのかを私なりに考えてみたい。

バレーボールVリーグプレーオフにあたるファイナルステージでも集客が出来ておらず、多くの現役選手やOB・OGが危機感を持っているが、かといってリーグ機構も各チームも選手も当然ただ漫然と試合を行なっているわけではない。

SNSで選手の素顔、練習での裏話などを発信するチームは増えている。

選手個人個人でもSNSを有効活用して、自らやチームの魅力を発信している方は多い。

また例えばトヨタ自動車アンテロープスデンソーアイリスでは子供ウケしそうな選手のイラスト入り缶バッチをガチャガチャにより販売するなど手軽なグッズに力を入れている。

サイン会を実施したり、ポスターやカレンダーを配布したりと選手を身近に感じてもらえるよう努力していると思う。

トヨタ車体クインシーズの音や光の演出はBリーグに近い華やかさがある。

こういった取り組みはあるものの、観戦に訪れる一般ファンが増えないのは客観的に見ると企業対抗戦という色合いが強いからではないだろうか。

各企業が運動部を抱える目的は社の宣伝、イメージアップ、社員の一体感や士気、忠誠心を高めるためであるが、企業色を弱めることは出来ないだろうか。

例えば。

・試合前に観客の高揚感を生む仕掛け

開始直前に来て、終わったらすぐ帰る人は皆無に等しいと思う。

特に試合前の時間を退屈させない仕掛けが必要だが、さてそろそろ始まるぞ!とテンションが上がってくるような何かがあるといいのではないか。

シーホース三河のホームゲーム、先日観戦した時はB2バンビシャス奈良のスタッフが視察に訪れていた。

同業者にとって参考にしたい部分があるということだろう。

Wリーグは試合前の魅せ方があまりにも弱い。是非参考にしてもらいたい。

・ファンもチームカラーのウェア、グッズを身につけ、一体感

ハリセンは毎試合誰でももらえるが、社員が身につけてるようなTシャツやビブスを提供or貸与or安価で販売すればアリーナ全体をチームカラーで染めることができ、選手も嬉しいと思う。

チームカラーは基本的にコーポレートカラー、選手のエナジーにもなるのではないだろうか。

・応援リーダーをアリーナ席、スタンド席ともに配置する

社内応援団はスタンド席の一部分に固まっているチームが多い。

これも社員とファンの空気感の違いを生む原因ではないだろうか。

・社員も有料にする

受付で社員証を提示すればチケットがもらえる

旧リーグ時代はNBLに属していたある企業母体クラブはBリーグ発足後受付で社員所を提示すればチケットがもらえる方式を廃止し、社員専用のサイトで割引価格にて販売しているようだ。

それでも試合によっては競争率がかなり高いという。

本当に観たい・愛社精神がある人なら手間がかかっても・お金がかかっても構わないものだ。

その分試合以外の部分も含めて価値を高めていかなくてはならない。

お金を払って自社の運動部の試合を観に行くことを根付かせるには時間はかかるかもしれないし、まずは定価の8割引とかでもいいと思う。

興行を開催するには経費がかかっているという意識も植えつけられるのではないか。

・他競技とのコラボ

スポーツが好きな人は他のスポーツにも興味を示すことが多い。

それはDAZNが会員を伸ばしていることでも証明されていると思う。

例えばトヨタ自動車には多くの運動部があり、個人競技のアスリートも多数属している。

アルバルク東京のように宇野昌磨選手をアンテロープスの試合でゲストに呼べば、宇野選手目当てでWリーグの試合を観に来て、そこからハマる人もいるかもしれない。

フィギュアスケートとシーズンが被ることはここではとりあえず無視する/笑)

とは言ってもリソースに限界があり、Bリーグと同じようにはできないだろう。

あまり派手にしすぎるとオールドファンは嫌悪感を抱くことも考えられる。

またBリーグだと乳幼児連れファミリーや三世代の来場も多いクラブもあるが、そこまでの幅広さは難しいかもしれない。

今後力を入れて開拓すべき層としてはミニバス、部活などで競技を始めた小学生とその家族ではないか。

スクール等を通してつながりのあるチームを招待しているケースは今でも多いだろうが、そこを強化する。

女子バスケは派手さ・分かりやすさには欠けるかもしれないが、基礎スキルレベルが高い選手が多く、教材としては最適である。

そこで活躍していた選手を目標に今後のモチベーションとすることもできる。

そして既に触れている通り、スポーツが好きな人。

トヨタスポーツファンクラブはやり方次第では各運動部のファンを飛躍的に伸ばせるかもしれない。

しかし何より試合数を増やすこと。

ホームゲームを増やすこと。

近くにチームがあるからと興味を持って、観戦に訪れ、楽しかったと思えても、次のホームゲームは3ヶ月後ですとか今季のホームゲームは今回が最初で最後ですでは人の心は離れていく。

また観たくても観られなかったら、愛着も湧かない。

現状のWリーグであれば、10〜3月でレギュラーシーズンを40試合ほど行い、うち各チーム10試合は活動拠点がある都県でホームゲームを開催。

そうなればほぼ毎月2試合のホームゲームが開催されることとなる。

フェンシング界は太田雄貴会長を中心とした大改革でこのように様変わりしている。

競技人口が多く、男子のBリーグが成功を収めつつあるバスケットボールなら少しやり方を工夫すればいくらでもファンは増える。

髙田選手の開幕戦に懸ける想いを少しでも形にしてほしい。

リーグやチームへの提言ばかりになってしまったが、形にしてほしいではなく、ファンから形にしていけるよう半年の間にやれることを考えていきたいと思っている。