5/14に39県で緊急事態宣言が解除された。しかし8都道府県では継続されており、そもそもウィルスが終息したわけではなく、依然予断を許さない状況である。
実際アスリートを例にしても自宅や寮など部屋内で個人トレーニングをしているケースがほとんど。プロ野球、Jリーグでは一部でチーム練習が再開しているが、クラブハウス使用不可、同時に練習する人数の制限など縛りがある中で行なわれている。
台湾、韓国の野球、ドイツサッカーなど海外では開催しているところもあり、台湾に関しては観客も入れているが、熱狂がなく、選手はモチベーション向上に苦心しているようだ。
個人的には早く試合を見たいとは思うが、無観客ならその気持ちは高まらないだろう。ビジネス面で考えると無観客でも開催せざるを得ないだろうが、ここでは観客を入れて開催するために必要なことを考えていきたい。
STAYHOMEから次の段階へ移れるか
まずアスリートがTV番組やSNSでステイホームを強調している時点では道は拓けてこない。外で身体を動かしましょう・3密避けて息抜きもしましょう・仕事や学校などで3密を避けられなかった時は手洗い・うがいを徹底的にしましょうなどと言える状況にならないと厳しい。政府から新しい生活様式なるものが提示されているが、これも今更なことのようで徹底されていない。余談ではあるが、ここで私が人との接触を減らす上で心掛けていることを紹介していきたい。
○会社やスーパー等の店舗では徐行・一旦停止・早歩き・遠回りを使い分け、人とすれ違わないようにする
○やむを得ずすれ違う時は顔と顔が向き合わないようにする
○店舗でレジ並びの際の間隔を空けるのは当然として、自分の順番の際も店員さんとの距離を空ける
○チェーン店では基本キャッシュレス決済を用いる。
○ジェスチャー等でやり取りし、なるべく会話しないようにする・簡潔に済ませる
こんなこと当たり前だと言われても反論の余地はないが、繁華街や駅の人出を減らすことよりも小さいことの積み重ねが大切だと思っている。皆さんが心掛けていることをお聞かせ頂ければと思う。
スポーツ等興行の主催者はそれらを集約し、共有することが必要ではないか。そしてそれが日常を取り戻していくことにも繋がっていく。
テーマパークの営業再開よりはハードルは低いか?(希望的観測含み)
プロ野球、Jリーグに関しては政府や都道府県の自粛要請よりも前に興行を中止しており、エンタメやレジャーの業界からの風当たりは強いかもしれないが、世論を味方につけやすい面もある。例えば東京ディズニーリゾートやユニバーサルスタジオジャパンのような大規模施設だと来場者は広範囲に及び、多くの人が公共交通機関を利用する。また大半の人がオープンと同時に入場したいので、交通機関を利用する際に通勤・通学の人たちと重なる。それがほぼ毎日である。入場者数を制限しても人気のアトラクションでは密が発生する。
スポーツも従来通り満員の中で行なうのは不可能だが(3~5割ほどになるだろうか)、入場者をシーズンチケット購入者、フランチャイズエリア在住のファンクラブ会員等限定すれば、入場者は広域に及ばない。もし感染者が出てしまった時の追跡調査もしやすい。以前は企業色の強かったプロ野球でもJリーグに倣い地域に根差した活動をしており、入場者に制限をつけても大きな反論は出ないのではないかと思う。
試合終了後の入場者の分散が大きな課題とはなってくるが、会場に向かう際の時間は比較的分散され、開始時間を考えると通勤・通学者と重なりにくい。試合開催数は1チームにつきプロ野球で60試合ほど、Jリーグで20試合ほど。季節によっては平日昼間に開催するなど各方面に配慮することも可能ではある。
そしてプロ野球、Jリーグそれぞれテーマパークなどレジャー施設にはない強みがある。新聞社、鉄道会社、メガIT企業など市民生活と関わりが強い大企業が球団経営を支えるプロ野球には中高年のファンも多く、政治家の判断にも影響を与えられる。そして選手同士のフィジカルコンタクトは少ない。Jリーグはコンサドーレ札幌がホームスタジアムとしている札幌ドーム以外は全て屋外。かつ郊外型のスタジアムが多く、自家用車での来場者が多い(シャトルバスでの移動等懸念事項はある)。そしてtotoの収益はサッカー以外も含めたスポーツ全般の振興に活用されており、中断が長引きtotoの収益が入らないことは国としても不都合ではないだろうか。
課題が更に多いバスケ
実際プロ野球は6/19、Jリーグは7月上旬からの開催を模索しているようで、現時点では目立った異論・反論は聞こえてこない。順調に進めばお盆明けくらいから観客を入れて開催するのではないかと推測しているが、秋に新シーズンが開幕するバスケットボールはプロ野球やJリーグにはない課題がある。兎にも角にも屋内であること、そして小さな会場で老朽化したところも多く、窓・扉も少ない密閉空間であること。選手同士のフィジカルコンタクトはサッカーよりも多い。という大前提がある中で観客を入れて開催するにはどうすればいいか。
マスク着用、サーモグラフィによる検温、追跡システムへの協力(大阪府で導入予定の下記のようなシステム)
「大阪コロナ追跡システム」を導入する。今後、ITを使ったコロナ感染防止策は必須。台湾や韓国等と異なり日本は個人情報を重視する法体系。その中でできることを考えた。簡単登録してもらうだけで、施設や集会で陽性者やクラスターが発生した場合、その情報をお知らせする。 https://t.co/9eGvnHjwkD
— 吉村洋文(大阪府知事) (@hiroyoshimura) 2020年5月12日
協力出来ない人は入場拒否、この姿勢を強く打ち出す。席間隔を空け、キャパの3〜5割ほどを最大入場者数とする。これを大前提に
- コートサイド・エンド席は設けない
- 自由席の細分化(全席共通チケットではなく、アリーナとスタンドは別にする。さらにホーム側・アウェイ側、企業応援席などの区別もつける)
- ベンチ裏席は前方2,3列は着席不可(選手等関係者との導線によりアリーナ席自体を開放しない、エンドひな壇のみ開放、ベンチ反対側のみ開放など会場ごとに検討。WリーグやB3など小規模の会場は地元のバスケ少年少女のみ招待なども要検討)
- 会社関係やミニバス少年少女など招待客と一般客の入口を分ける。招待客は会社や主催協会で名簿管理、一般客はリーグで来場チェックが出来るスマホアプリを作成し、それにて記録管理。
- 観客にも半券保管や着席位置のカメラ撮影等を促す。
- 掲示物やスマホ動画での案内・誘導を増やす(観客とスタッフの接触減)
- 着席は試合開始30分前から
- エントランスやコンコースの利用規定作成
- 空席へ一時着席して、知人と談笑するなどは自粛してもらう。
- BGMのボリュームを下げる(大阪府のパチンコ業界団体が大声での会話を減らすために推奨している施策)
- 応援団リードによる声出し応援や音楽に合わせたシャウト系応援は見合わせる
- セキュリティ面で可能な窓・扉は全て開ける
- チアリーダーやマスコットによりグリーティングは見合わせる
- タイムアウト時のショーアップはしない
- 試合時間が間延びするだけのBリーグオリジナルであるオフィシャルタイムアウトはこれを機に廃止。
- ハーフタイムを20〜30分にし、空気循環や消毒等の時間に割く。
- トイレや食事を摂る人とショーを見る人の分散を図れるため、試合前やハーフタイムのショーアップはある程度残す。
- 試合終了後はコンサートのように規制退場とする。
と思い浮かんだが、Bリーグ、Wリーグ、JBAではどういう議論がされているのだろうか。新シーズン開幕は秋とはいえ、プロ野球やJリーグのように報道されることがなく、チェアマン等からの情報発信もないので、不安を覚える。
Bリーグに関しては野球やサッカーと比べて、空き時間での演出が大きな魅力であり、そこが縮小・削減されるとなると興行価値は下がってしまう。やれることが限られる中でどう魅せるか。選手・コーチはより試合の質を高められるよう努力が求められるし、運営部門含めクラブの総合力が問われる。本当のクラブ力が測れる。ここで価値を高めることが出来ればこの先も生き残っていける。
熱狂渦巻くスタジアム・アリーナでの試合が見たい!
アスリートにとって練習・試合は仕事であり、いつか再開しなくてはいけない。観客を入れて再開するタイミングが難しく、万一試合会場でクラスターが発生してしまったら、現在も全国で休業要請が続いている業界などからの反発は必至だろう。
とは言ってもアスリートもサラリーマンも対策としては皆が体調に異変を感じたら無理をしない、手洗い・うがい、栄養バランスの取れた食事、充分な睡眠、身の回りを清潔にするなど健康に留意した生活を心掛けるというところに行き着くのではないだろうか。そしてアスリートではなくて適度に運動することも必要である。
過度に恐れることはないと思う。スポーツチームでの活動によりクラスターが発生した事例は日本では報告されていない。関西の某チームで複数の感染者が出たのはお食事会からである。
冒頭に載せた写真は私の約10年のカメラライフの中での最高傑作である。これも観客の熱狂があるから引き立つものだと思う。こういう光景を早く見たい。
まずは無観客で開催されるだろうし、完全に熱狂が戻るのは2,3年先かもしれないが、1日でも早く観客の魂宿るスタジアム・アリーナで試合が開催されることを願っている。