WEリーグは成功を収めることができるか


f:id:antelopes_7_12_23:20200713185753j:image

以前当ブログでも少し触れた女子サッカーのプロリーグ創設。

この話題がテレビ東京系のFOOT×BRAINというサッカーを多角度から研究する番組で取り上げられていた。Wリーグの発展、将来的なプロ化を望む私としては見ないわけにはいかない特集ですね(笑)この特集には興味あるけど、私のリーグ改革論とかに興味ない方は以下の記事を読んでみてください(笑)

掘り下げたい方は7/19深夜にBSテレ東で再放送がありますし、さらにマニアックな方は私の見解を読んでいただければと思います(笑)

 

 

番組では6つの疑問点を用意し、スタジオのコメンタリー陣が新リーグの幹部たちに質問をぶつけていた。

 

  •  なぜこのタイミングでプロ化?

日本では男子サッカーのプロリーグであるJリーグが1993年に開幕し、サッカーブームを巻き起こした。私もそのタイミングでのめり込んだ1人だが、女子はその中でも冬の期間を過ごしていた。

2011年にW杯優勝、翌年のロンドン五輪でも銀メダルを獲得。なでしこリーグの試合の観客動員も飛躍的に上昇し、人気・実力とも絶頂の時を迎えていたが、機を逃した。その後はなでしこリーグの観客動員は再び下降し、日本代表はリオ五輪の出場権を得ることも出来なかった。

 

バレーボールは手法の賛否はあれど90年代半ば以降代表戦で多くの観客を集めた。女子バスケットは日本代表の躍進やBリーグの人気を活かせていない。機を逃すとやがて衰退する。見向きもされなくなる。

 

女子サッカーはそうはさせないと立ち上がった。人気面よりも代表チームの低迷が大きいのかもしれないが、世界一の時の指揮官である佐々木則夫氏という知名度ある人物がリーダーシップを発揮したのはVリーグWリーグとの違いだろう。

 

  • 資金調達できる?

近年欧州ではユベントスレアル・マドリードなど男子の強豪チームを運営するクラブが女子サッカーにも投資する傾向があり、欧州の代表チームもレベルが上がっている。日本でも女子チームを保有するJリーグクラブやJリーグクラブと同都市にホームタウンを構えるクラブが増えてきており、さらなる連携強化に期待したいところだ。WEリーグも大口スポンサーと契約がまとまる可能性もあるようで、続報を待ちたい。

 

バスケもBリーグの発展により、興行向けの本格アリーナの建設計画が各地で浮上している。Bリーグは現状レギュラーシーズンは60試合(ホーム、アウェイ30試合ずつ)。ポストシーズンの試合やファン感謝イベント、さらにはコンサートなどに貸し出しても年間でイベント開催日は1/4ほどだろうか。稼働率を上げるためにWリーグなどアマチュアセミプロスポーツの発展・強化は望まれるところではないか。

資金に関してはBリーグが価値を高めて、JBAスポンサーや配信権利を高く売れるようになればWリーグにもお金が回ってくるのかなと淡い期待を(苦笑)

 

  • 選手の待遇は?

なでしこリーグなど日本のセミプロ・アマチュアの選手たちは実際どれくらいの給料を受け取っているのか公になることはない。これまでどのスポーツでも改革が進まなかったことを考えると代表クラスの選手だと1000万円まではいかないが、500万円も下回らない安定性はあるものだと想像できる。WリーグVリーグのクラブチーム所属の選手もスポンサー企業や地元自治体で勤務しながら活動することによって収入が保障されてきた。

プロ契約をして競技に専念できる半面、収入減や引退後の雇用確約がなくなることは選手にとってはリスクでしかなく、早い段階で軌道に乗せられなければ、サッカー少女たちも将来日本でプロサッカー選手になりたいとは思えない。女子サッカーでは既に何人かの代表選手が欧州や米国でプレーし、一定の成功を収めている。海外挑戦しなくても日本で夢や理想を叶えられる環境があることが新リーグの未来図なのだろうが、結局は金がなければ何もできない。待遇面、ここは最大の課題だろう。 

 

  • リーグの体制は?

WEリーグではJリーグが何度も移行を試みるも実現しなかった秋春制を導入する。初年度は9月開幕・5月閉幕とのことだが、WEリーグにも新潟など雪国クラブの参戦も予想され、ウィンターブレイクは必須となる。その中でシーズン何試合開催にするか・均等にホーム&アウェーで実施できるか(ex.10チームで2回戦総当たりだと試合数が少ないが4回戦総当たりだと多い。3回戦だと不均衡)

アメリカではNBAWNBAのシーズン期間をずらし、バスケファンが年間を通して楽しめる仕組みになっているようだが、WEリーグはウィンターブレイクを設ければほとんどの時期でJリーグと重複してくる。Jリーグファンの守備範囲を広げるのも難しいかもしれない。

 

  • スタッフの採用条件は?

職員、役員、コーチングスタッフの女性採用を促進するルールを定めているが、日本の現状ではなかなか厳しい。WEリーグが日本の女子スポーツを劇的に変えるキッカケとなってほしい。

 

  • どうやってファンを増やす?

なでしこリーグ1部の昨季平均入場者数は1,200人ほど。WEリーグでは5,000人を目標とする。リーグ側が掲げる通り、サッカーをしている少女たちが家族で観戦に訪れてくれれば理想であるが、女子サッカーに限らずスポーツ少年少女はとにかく忙しい。まずは幅広い層に選手を、チームを知ってもらわないといけない。現状澤選手のようなカリスマも丸山選手のような個性の強い選手もいない。SNS活用でとにかく知ってもらうこと。

試合配信は以前はmycujooというマイナーなサービスで行われていたが、現在はYouTubeに移行したようだ。無料で見られる利点はあるが、YouTubeはどうしても短編動画を見るサービスというイメージが強いと思う。新リーグでは配信関係の改善にも期待したいところ。

そして現状の中心層であるおじさまもサッカー少女もインフルエンサーとなれる若者も共存できる界隈になれば必然と盛り上がってくる。Wリーグはバスケをしている女子中高生ファンは多いが、でもマイナーコンテンツである。ファン層が偏っていないことが理想だろう。

 

 

WEリーグの成否がこのあと2〜30年における日本での女子スポーツ発展のカギを握るといっても過言ではないが、佐々木氏が仰っている通りなでしこジャパン絶頂期に動くべきで、出遅れた感は否めないし、代表チームの成績低迷やなでしこリーグの人気低迷の起爆剤としてプロリーグ創設では理由がポジティブではなく、コロナ関係なく大きなお金は動きにくい。サッカーに限らず女子スポーツは迫力や豪快さで男子と比べて劣り、インパクトを与えにくい。またJリーグ創設からBリーグ創設まで25年ほど、ラグビーやバレーはなかなか話が進まなかった。それだけスポーツを発展させることは難しいという問題もある。

世間一般の女子サッカー、女子スポーツへの概念を覆すくらいのあっと驚く仕掛けをしないことにはリーグ側の思い描く理想像は叶えられないかもしれないが、成功すれば日本のスポーツ界は大きく変わる。Wリーグもそれに続いてビジネス化、プロ化していってほしい。出来るとして2040年代だろうか。私が元気な間に大発展してる姿を見たい。