Jリーグ 名古屋グランパス×川崎フロンターレ

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サッカーブログを書くのは10年以上ぶりです。当ブログにも他のサービスで書いていたものが一応残っています(笑)

何故超久しぶりに書こうと思ったかというと純粋に試合が面白くて、バスケファンの方にも興味持ってもらいたい・見てもらいたいと思ったからです。

 

まず両チームの現状を紹介しておきます。

川崎はコロナ中断明けから10戦10勝、Jリーグの同一年内における連勝記録を樹立しました。圧倒的な攻撃力を武器にゲームを支配続けます。詳しくはこちらを参照(笑)

 

ホームに迎え撃つ名古屋は1試合消化が少ない状況ではありますが、リーグ最少失点。イタリア人監督が率いるチームらしく堅守が武器です。とは言っても前節も2位セレッソ大阪に圧勝した川崎相手となると相当分が悪いだろなと思っていました。正直私も日曜ナイターということもあり、当初は観に行く予定はしてませんでしたが、こういうマスクが販売されるってことで観に行きました(笑)
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まぁ素材も機能性もイマイチ、このご時世においてヲタク心をくすぶる商売としてはもってこいの一品です←

 

それはさておき、マスク購入が当初の目的となってしまうくらい川崎が強い理由を私なりにも…

  • 選手層の厚さ

W杯出場、JリーグMVPなどチームの象徴である#14中村憲剛選手が長期離脱中(まもなく復帰らしいですが)でもそれを微塵も感じさせない戦力の充実ぶり。誰が出てもスタイルは変わらず、同じ11人がスタメンに並ぶ試合はほぼありません。今季はコロナ禍の特別ルールで選手交代が通常3人のところ5人まで認められていますが、川崎はほぼ毎試合フル活用してきます(名古屋は選手層が薄いので3人の交代に留まることが多いです)

 

  • 個々の技術の高さ

川崎は約5年、名古屋は約2年半風間八宏氏が率いていました。風間氏の志向の下で両チームとも選手はボールを止める・蹴る、相手のマークを外す動きを徹底して練習していたそうです。その練習の強度が高すぎて、両チームとも風間氏が就任した当初は股関節等の筋肉系の負傷が相次いだなんて話もあるくらいです。風間氏の志向はバスケにも相通ずるものがあると思っていて、バスケでもキャッチ&ミート、ボールを受けて、次のプレーに移りやすい・選択肢を増やすということは重要です。

話を戻しますが、川崎は風間氏から受け継いだ鬼木監督の下で常勝軍団となりつつある一方で、名古屋は2シーズン大苦戦を強いられ、風間氏は解任されました。これはズバリ継続性・一貫性の差です。川崎には風間氏就任前も退任後も在籍してる選手が前述の中村選手など主力に何人か居ます。強化し始めたユースチームにも風間氏の志向を取り入れ、そこから上がってきた選手もいます。こうして新しく入ってきた選手にもすぐに志向が注入され、日々質の高いトレーニングができているのでしょう。

名古屋も主力選手は本当に上手いです。しかしチームが解体された状態で風間氏が就任し、その後も選手の入れ替わりが激しく、安定しませんでした。そこから昨季途中就任し、立て直したのがマッシモ・フィッカデンティ監督です。

 

選手層が厚い川崎とは言うものの、ゴールキーパーディフェンダーは固定傾向にあります。ゴールキーパーの#1チョン・ソンリョン選手とディフェンダーの中央に位置するセンターバックの#5谷口彰悟選手は全試合スタメンフル出場。他のディフェンダーも欠場は1〜2試合です。またもう一人のセンターバックである#4ジェジエウ選手は屈強なタイプではありますが穴も多く、サイドバックの#2登里享平選手、#13 山根視来選手はともに元々アタッカーで守備力が高いとは言えないです。個人的には川崎の守備陣に堅固とか脅威といった印象はなく、失点ゼロの試合は多くはありません。だが12試合で9失点というデータがあるのは何故か?

それはネガティブトランジション、攻→守の切り替えの速さにあります。川崎の攻撃陣は相手にボールを奪われてもすぐに奪い返します。奪えなくても相手の攻撃を遅らせる守備をします。バスケでもリバウンドをチップしたり、身体をぶつけて自分が取れてなくても相手に良い形で取らせなかったり、スローインを遅らせたりということを怠らない選手はどんなコーチからも重用されると思います。川崎の攻撃陣はその意識が高く、相手の攻撃時間は短いです。ハーフラインを越えることも少ないくらいのレベルです。ディフェンダー陣が固定傾向にあっても彼らに著しい疲労感が見られないのはネガティブトランジションの意識の高さに他なりません。

 

と川崎はめちゃくちゃ強いのですが、結果はというと名古屋の良さが出て、ロースコアゲームとか入りが慎重になりがちなプレーオフ初戦なんかが好きな方には楽しめそうな一戦となりました。またラフプレーが少なく、レフェリーは簡単にファールを取らず、流れが途切れないので、非常に見応えがありました。

 

名古屋の勝因としては主に3点を挙げたいです。

金崎選手は元々ミッドフィルダーです。鹿島アントラーズ時代は点取り屋の役割を担ってましたが、それでも相手ディフェンダーを背負って泥臭いプレーをするようなタイプではありませんでした。谷口選手とは3センチ、ジェジエウ選手とは6センチの身長差があります。いわばミスマッチなのですが、名古屋のスタメンアタッカー陣の中で一番大きいのが金崎選手。一見川崎のセンターバック陣が優位に思えます。普段通り高い位置で奪って攻撃に繋げられそうですが、金崎選手には四苦八苦しらファールで止めるのが精一杯な場面が何度も。逆に名古屋としては金崎選手の頑張りでフリーキックを得られ、他の選手はひと呼吸置くことができます。90分間屈せず戦い続ける姿は2018年スペインW杯の高田真希選手を思い出しました。連動して#25前田直輝選手、#16マテウス選手も守備を怠らず、名古屋の得点は川崎のお株を奪うような形でした。

 

  • ロングボール、サイドチェンジの有効活用

川崎は相手ボールを奪って素早く攻撃することに長けていますが、じっくり組み立てて、機を見てギアを上げる攻撃も上手いです。要はファストブレイクもハーフコートオフェンスもどちらもスゴく、大事に繋ぎすぎるとダブルチームで奪われるし、相手から逃げるために安易に蹴り出してしまったら、簡単にマイボールにして支配出来ます。

その中で名古屋の選手たちはマイボールを大切にする時、縦に速く攻める時、大きな展開を用いる時と使い分けることができていて、全選手で意識共有も出来ていました。中でも丸山選手の正確な左足のキックを活かした展開は効果的で、手詰まりになった時に打開できていました。相手の守備陣を押し下げることが出来ていました。バスケで説明すると比江島選手、橋本選手、桜木選手がいたころのシーホース三河が分かりやすい例でしょうか。困ったら比江島選手や橋本選手は桜木選手に収めます。桜木選手はポストアップして、相手ディフェンスの動きを止めます。自らレイアップもあれば、カットインしてきた選手に捌くこともあれば、パスアウトからの3ptシュートもあります。それらが出来なくてももう一度作り直します。ピッチが広く選手の人数も多いサッカーでは1本のロングフィードが決定機に直結することはあまりありませんが、流れを変える上では非常に効果的です。

この場面は川崎に押し込まれていて、試合終盤ですが、このようにサイドを攻略して、前半はフリーキックコーナーキックを多く得られていました。今年の名古屋はセットプレーも強力な武器で、そこからチャンスも作れていたので、川崎としては前半は攻められていた印象が強いかもしれません。

 

  • この一戦に賭ける気持ち

前節で2位のチームに圧勝した川崎の連勝が続けば優勝争いは折り返し地点を前にして決まってしまう感もありました。名古屋としては是が非でも連勝を止めたかっただろうし(他の16チームとしても止めてほしかっただろう)名古屋の選手、監督、その他コーチングスタッフの気持ちが伝わってくる勝利でした。

柔軟性のある攻撃だけでなく、守備での約束事も徹底されていました。マークがズレた時のスライド(バスケでいうローテーションですね)、相手ボールを前から積極的に奪いに行く時と引いてブロックを敷いて守る時の意識共有も出来ていました。守備戦術・体系を整えることはフィッカデンティ監督の長けている部分ではあるが、いつも以上に整備されていたように思います。

後半は川崎がメンバー交代により本来のリズムを取り戻しましたが、と見るや#27相馬勇紀選手を投入し、サイドで圧力を生み出そうと試みました。しかし今季不調の相馬選手はこの試合でも起用に応えられず、攻撃が停滞。すると今度は引いてブロックを敷き守備意識を強めました。そしてロスタイム含めて残り10分強ある中でサイドバックの#34オ・ジェソク選手を投入し、逃げ切りへ。限られた手駒の中でやりくりが光りました。

また前節から中3日、8月は毎週2試合開催という過密日程の中で選手たちが大一番でベストパフォーマンスを発揮できるようサポートした監督以外のコーチングスタッフたちの働きも見逃せません。少ない準備期間で相手を分析し、選手たちに落とし込んだスカウティング担当。フィジカルコーチなどコンディショニング関係のスタッフは川崎と比べて選手層で劣る中でリスペクトしかありません。

川崎は全試合フル出場を続けている谷口選手が疲労の色が濃く、ややパフォーマンスも悪かったが、それ以上に金崎選手の特徴を把握しきれておらず、抑えられませんでした。また#10大島僚太選手、#25田中碧選手がベンチスタートでしたが、これにより本来のリズミカルな攻撃が出来ていなかったように思います。大島選手、田中選手が後半出てきて改善はされましたが、相手は堅守を誇る3位名古屋。良くない流れを一変させるには至らず、攻め込んでいるようでミドルシュートなどが増え、崩し切れていませんでした。

 

手駒が限られているがゆえにあの手この手で勝利を手繰り寄せようとした名古屋と豊富がゆえにいつも通りの戦いをしすぎて、最後まで崩せなかった川崎。スポーツって面白いものです。名古屋は主力にけが人がいたものの、次の対戦時にお互いがベストメンバーで戦ったとしても真っ向勝負を挑んだら完敗でしょう。それくらいチームとしての完成度も戦力差もあります。しかしそれを戦術・戦略・采配等で崩しにかかるのがスポーツで、昨日の一戦ではその醍醐味を感じることが出来ました。10月の川崎ホームでの再戦が楽しみです☆

そのときには山村選手か車屋選手が名古屋に居たりしないかな。ポジション的には山村選手が欲しいけど、名前的には車屋選手ですよね。だってTOYOYAだもの←