Wリーグ2020-21 セミクォーターファイナル

西地区チームのインテンシティの高さが際立った2試合だった。またプレーオフらしい試合であり、地区制を採用し今季初対戦であったことを実感する試合だった。


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立ち上がり5分で決まってしまったような試合で、一発勝負の怖さ・プレーオフの怖さを思い知らされた。

レギュラーシーズンではトヨタ自動車デンソー三菱電機との対戦で全敗したのがウソのようにトヨタ紡織が今シーズン最高のパフォーマンス。ディフェンスから勢いをつけて圧倒した。アグレッシブに前からディナイし、タイミングの良いヘルプでスティール・ブロックし、一撃必殺。平末選手のレザービームアシスト、飯島選手のミドルシュート・3ptシュート、加藤(優)選手のドライブインなど多彩なオフェンスで得点を重ねた。日立ハイテクは谷村選手が孤立。良い流れがきてもトヨタ紡織は白選手を投入し、封じてきた。谷村選手に良い形で収められないので、3ptシュートも打たせれた形ばかり。トヨタ紡織は試合通してシュートを落とさなかった。レギュラーシーズンではオフェンスでブレーキとなってしまうことも多かった白選手も役割が整理され、リバウンドで持ち味を発揮した。内容としては完璧だったが、後半はQFに備えてもう少し東藤選手、平末選手を休ませられなかったか。坂本選手、中野選手、岡田選手は大舞台でも信頼して送り出せるレベルノの選手だと思う。また飯島選手の負傷も気掛かり。

日立ハイテクは谷村選手が封じられて、2の手3の手が出せなかった。PGの曽我部選手、鶴見選手は似たタイプで、他のポジションにも個で打開して流れを変えられるタイプが居ないのは辛かった。ハーフタイムを経てディフェンスは改善されたが、オフェンスの停滞感を打破出来ず、流れを手繰り寄せかけることもないまま、時間が過ぎていった。4Qで3ptシュートが決まり始めたものの時既に遅し。

今季躍進は果たしたが、戦力底上げは必須。良い意味で戦術を壊す存在の台頭に期待したい。

 


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三菱電機がインテンシティの高いディフェンスと高さ・強さを兼ね備えたインサイド陣で圧倒する予感を抱かせた入りだったが、シャンソン化粧品も全く怖気づいていなかった。小池選手を中心に慌てず冷静に対応するとピックからのダイブでファトー選手、野口選手が得点を重ねて、1Qはシャンソン化粧品がリード。三菱電機からは気負いと西地区チームでは見られないスタイルへの戸惑いが見られた。2Q以降は三菱電機が主導権を握る流れに。得意のチェンジングディフェンスでシャンソン化粧品のオフェンスを停滞させ、得点源の吉田選手にシュートチャンスすら与えない。ファトー選手が3ファール、三菱電機は主力選手を休ませる冷静な采配を見せた。シャンソン化粧品は詰んだと思ったが、吉田選手がディープスリーを決め、食らいつく。それでもインサイドが明らかにミスマッチとなり、シャンソン化粧品は不利だったが、なお食らいつく。

さすがに後半は防戦一方になってしまうのではとハーフタイムに考えていた。実際ターンオーバーからディフェンスで走らされる苦しい展開が続いた。小池選手が根性で繋ぐも根本選手が3ptを立て続けに決めて、シャンソン化粧品タイムアウトタイムアウトを取ったところで流れを変えるのは難しいと思ったが、それを変えるのが名将。逆にファストブレイクからの連続得点で三菱電機タイムアウト。あの流れから選手を今一度奮い立たせるなんてなかなか出来ないこと。西地区で2Q以降ジワジワと失速していくチームを見ていただけに…

こうして何度も喰らいついたが、3ptシュートでの得点がなく、詰め切れなかった。4Qで入り始めたが、ミスマッチを突いて相手のファールを増やしつつ加点できる三菱電機は全く動じなかった。そしてファトー選手がファールアウト。そこからの必殺仕事人・小菅選手の連続得点は大きかった。シャンソン化粧品ももう一粘りした。最後3点差まで迫った。配信で見ていても感動させられた。小池選手の魂みなぎるプレー、現地で観ていたら泣いていたかもしれない。

という熱戦の一方で伊集さん、水島さんの昨シーズンまで選手だったとは思えない解説者ぶりは面白かったです🤩


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レギュラーシーズン前半戦は開幕週で東京羽田に連勝するも2週目から8連敗。皇后杯アイシンAWに敗れているが、そこからチームは大きく進化を遂げた。アーリーエントリーの選手が加わった効果は絶大。タイムアウト明けに審判とコミュニケーションを取る吉田選手は超大物です。でも1人2人の選手によるものだけではなく、チームとしてレベルアップしている。経験で劣ってもサイズが小さくても選手層が薄くても名将が選手のモチベーションを引き出せば良いチームは出来る。シーズンオフに主力の流出を防ぎ、吉田選手、佐藤選手がぶち当たるであろうプロの壁を低いものに出来たらどんな強いチームになるだろうか。想像するだけでワクワクしてくる。

 

さて明日はQF。富士通×トヨタ紡織デンソー×三菱電機が行なわれる。

トヨタ紡織疲労と飯島選手の怪我がマイナスポイントだが、富士通も岡田選手欠場で町田選手・篠崎選手の負担は増す。またトヨタ紡織としては日立ハイテクと比べて高さでのミスマッチがほぼないので戦いやすい面もありそうたが、今季初対戦なので何とも言えない(笑)

倒しても倒しでも這い上がってくるシャンソン化粧品相手に明日を見据えた選手起用が出来なかった三菱電機はさらに疲労がありそう。デンソーは選手層も厚く、分があるか。

 

さてもうすぐ日付変わりますね。明日も楽しみましょ〜(とは第三者だから言えるのかな😆)

 

 

 

Wリーグ2020-21レギュラーシーズンレビュー

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この社会情勢下でチームの総合力が問われたシーズンだったが、西地区はAクラスとBクラスがハッキリと分かれた。東地区は後半戦でのシャンソン化粧品の躍進には称賛しかないが、プレーオフを逃した2チームは物足りなかった。
選手の移籍が活発となり、ENEOSへの挑戦権を獲得したいチームに有力選手が分散する傾向の近年だが、そのチーム間での戦いは面白いものがある。しかしENEOSとの差はまだまだ縮まっておらず、下位チームは前述の通り。結果リーグ内でのトップとボトム、打倒ENEOS勢とプレーオフ圏外チームの実力差は広がったように思う。最終スコア2ポゼッション差以内が東地区8/48、西地区6/60(オーバータイムまでもつれた試合は東西1ずつ)。連戦で星を分け合ったのは東地区4/24、西地区5/30。東地区は最終週で接戦、星を分け合うカードが増えた。西地区はトヨタ自動車デンソー三菱電機の3チーム間の対戦とアイシンAW×山梨で起こったのみ。いわゆるアップセットが最終週のシャンソン以外はなく、順当な結果がシーズン通して続いた。

怪我なのか今シーズン出場なしに終わった選手、チームに帯同すらしていない選手が多いのも気になった。オーバートレーニングなのかこの社会情勢下におけるメンタル的な部分なのか。

 

以下チームごとに。

ENEOS

最終週でシャンソン化粧品に1敗、翌日は勝利したものの辛くも1点差だったが、前週までは皇后杯含め女王ぶりを誇示していた。プレーオフに向けて再加速していくはずだが、シャンソン化粧品を見る限り選手たちは一様に身体が重いように感じた。

シーズン通して怪我人が多く、宮崎選手、岡本選手の負担が極端に大きい。プレーオフは根性で乗り切れるだろうが、来シーズン以降反動がこないか心配してしまう。

 

富士通

長年チームを支えた実力者2人が引退し、12人体制で臨んだ今シーズン。さらに栗林選手、王選手は最後までコートに立つことはなく、山梨から移籍加入した星田選手はチーム戦術にフィット出来ず、プレータイムは限られた。選手層の薄さとサイズ不足の中で取りこぼしはせず、日立ハイテクとは2勝2敗。緻密なモーションオフェンスと超ファストブレイクは見ていてうっとりしてしまう。

ENEOS皇后杯含め3戦とも完敗。SFに進出した場合は高さ、強さはリーグ屈指のトヨタ自動車との対戦。どう対抗するか見てみたい。来季はアーリーエントリーで既に合流している3選手をフィットさせるとともにインサイド補強も必要か。

 

日立ハイテク

内海HCの下、大型補強もあり躍進した(私はここまで躍進するとは思ってませんでしたスミマセン)谷村選手の高さ・強さは最大の武器だが、決してそこに依存せず、薮内前HC時代の良さも残しつつ、得点力を大きく上げた。昨季まで所属していたトヨタ紡織では良さが活きていなかった佐藤選手も内海HCの戦術に見事マッチした。

ただロスター16人ながら9人でのローテーションが基本で、シーズン中に台頭してくる選手もおらず、皇后杯では選手のやり繰りに苦労していた。プレーオフではレギュラーシーズン最終戦を欠場した佐藤選手は復帰できるか。ローテーション内の9人が揃えばファイナルも狙える力はある。

来季さらにレベルアップするには若手選手の台頭が必須。プレータイムを貰えなかった中堅選手の退団、移籍補強もあるかもしれない。得点力の高いPG、スラッシャータイプのフォワードが加われば完璧だろう。

 

シャンソン化粧品

昨シーズンオフも主力選手が移籍、開幕直前に大卒ルーキーとマネージャーが退団。不安視されていたが、開幕週では東京羽田に連勝。その後は好内容も選手層の薄さが響き、負けが込んだ。皇后杯アイシンAWに敗れ、ファイナルラウンドには進めなかったが、アーリーエントリーで4選手が加わり、一気に強化された。吉田選手は得点源となり、佐藤選手はディフェンスでの貢献度が高い。まだ選手層は厚いとは言えないが、若いチームだけに怖いもの知らずでプレーオフに挑めば台風の目となるかもしれない。

ここ数シーズン主力の流出が続いているが、今オフこそは現有戦力を維持したい。それが出来れば名門復活も充分あり得る。

 

東京羽田

一昨シーズンはプレーオフ富士通を破りQF進出、打ち切りとなった昨シーズンも終了時点でプレーオフ圏にいたが、今シーズンは低迷。新潟からの3勝に留まった。本橋選手の大怪我による離脱は相当な痛手だったが、開幕時から低空飛行だったので、原因は他にある。能力のある選手は多いが、タイプが似通っる選手が揃っており、ロールプレーヤー的な存在もいない。HCの起用法にも偏りが見られ、選手が活き活きとプレーできていないように感じた。

一般ファンの多さではリーグ屈指なチームだけに頑張ってもらいたい。

 

新潟

仕事との両立、移動負担など他チームとは違う環境の中でシーズン半ばまでマネージャーが不在だった。選手をサポートする体制は充分だったのか疑問が残る。練習場にエアコンがないなどハード面も不十分だと聞くが、その中で最終戦はこれまでの得点力不足が嘘のように99点を取り、失点も70点台に抑えて勝利しシーズンを終えた。

今までの勝利とはひと味もふた味も違うと思う。これをキッカケに出来るか。環境整備や大ベテラン指揮官をサポートするコーチングスタッフ体制が必要だろう。戦力的にはもう1人頑強なインサイドプレーヤーが欲しいところか。

 

トヨタ自動車

圧倒的な選手層の厚さで西地区を制した。後半戦は三菱電機戦、山梨戦の出来が良くなかったが、試しながら・若手を起用しながら結果も出せたのはモンデーロHCの考えがチームに浸透している故か。誰が出ても約束事が徹底されていて、その上で各選手が特長を発揮していた。アーリーエントリーのソハナ選手は既に貴重な戦力となっている。

インサイドが強力でセカンドチャンス、サードチャンスをモノにできるチームだが、反面インサイド一辺倒になってしまう嫌いもある。最終週デンソー戦のように3ptシュートを増やしていきたい。外れてもオフェンスリバウンドをもぎ取ってくれるのだから。苦しい時に内外のバランスを意識できるか、リーグ制覇のカギはここだろう。

 

デンソー

マルコビッチHCの合流が10月中旬、その後もセルビア代表活動で2度渡欧。チームには混乱も見られたが、昨シーズンと比べディフェンスの強度が上がり、平均失点は東西合わせて最少。レギュラーシーズン最終週ではトヨタ自動車を58点、66点に抑えている。本川選手の加入によりオフェンスでの髙田選手依存度は下がったが、こちらもトヨタ自動車同様3ptシュートを増やしていきたい。

QFを勝ち上がればENEOSとの対戦だが、堅守を維持した上で近藤選手、篠原選手で得点が取れればファイナルさらにはその先も見えてくる。渡部選手の活かし方もカギ。

 

三菱電機

後半戦では前半戦で連敗したトヨタ自動車から1勝するなどファイナルに進出した一昨シーズンのしぶとさ、粘り強さが戻ってきた。王さんが引退してもインサイドは選手層が厚い一方でアウトサイドは川井選手、渡邉選手の負担が大きかったが、若手選手のプレータイムが徐々に増えてきた。特に永井選手の献身的な働きが目立つ。

SQF、QFは一発勝負、三菱電機に利があるようにも思えるが、川井選手、渡邉選手が余力を残して勝ち上がれるか。古賀HCが見崎選手、篠宮選手に託せるか。

来季も高卒ルーキーが複数名加入するとの情報があるが、序列を覆す若手の台頭、ポスト渡邉選手の育成にも期待。

 

トヨタ紡織

地区優勝も充分可能なチームだと思っていたが、新戦力をフィットさせることに苦心したシーズンだった。平末選手はプロの壁を乗り越え、PGとしてステップアップしていったが、佐坂選手は怪我もあったのか出場機会は少なかった。インサイドのサイズアップを目論み獲得した白選手がこのチームのスタイルに最後までフィットしなかったのが最大の誤算。オフェンスのリズムが崩れてしまい、プレータイムが少なかったが、昨シーズンの課題であったサイズアップは果たせず、トヨタ自動車デンソー三菱電機との対戦では全敗。飯島選手が主力に定着し、中野選手はシックスマンの役割を果たせていたことは収穫か。アーリーエントリーの岡田選手も楽しみな存在。SQF、QFは一発勝負だけにチャンスはある。

来シーズンこそ白選手、佐坂選手をフィットさせ、再浮上したい。

 

アイシンAW

インサイドの主力選手が移籍し、ロスターのバランスが悪く、コーチングスタッフの決定も遅れたアイシンAW。チームの雰囲気は良くなった。多くの選手がチャンスを得た。皇后杯準々決勝ではトヨタ自動車を慌てさせた。しかし結果としては昨シーズンと変わらなかった。リーグ戦では企業チームに勝てなかった。試行錯誤の連続でシーズンが終わってしまった感があった。

課題は山積しているが、まずはこのチームの長所・短所を整理し、確固たるチームコンセプトを作り上げることではないか。そしてフィジカル強化。ゴール下でのひ弱さが目立った。それだけでなく他のチーム(特に東地区のチーム)と比べるとオフボールでの動き出しや駆け引きが少ないように感じるが、オフボールの動きでもスタミナを消耗する。相手とのコンタクトが発生する。私がWリーグを見始めた3シーズン前と比べても試合のインテンシティは相当上がっている。フィジカル強化なくして強豪の仲間入りはできない。

 

山梨

一昨シーズン途中から指揮を執っている伊與田HCの戦術が浸透し、戦い方は徹底されているが、アイシンAWから1勝を挙げるに留まった。game1で3Qまで接戦に持ち込んでも4Qで力尽き、その流れのままgame2に入り、大敗のパターンが多いように思う。最終戦では意地を見せ、あと一歩のところまでいった。あの試合を毎節出来れば結果はついてくると思う。

フィジカルが不足しているのか、試合の中で走りすぎ・動きすぎなのか、相手のスカウティングが不足しているのか分からないが、コーチングスタッフを充実させるべきだと思う。

 

最後にプレーオフSQF、QFの予想を。

日立ハイテク×トヨタ紡織

三菱電機×シャンソン化粧品

SQFはともに今季初対戦。1試合目は谷村選手の高さが勝るか平末選手のスピードが勝るかというところだが、谷村選手を起点に外からのシュートの確率も高い日立ハイテクか。2試合目はタイプが大きく異なるチームの対戦、若手が多いシャンソン化粧品はフィジカルに戦う三菱電機に対して後手に回ってしまい、そのまま終始三菱電機が優勢に試合を進める展開を予想。

 

富士通×日立ハイテク

デンソー×三菱電機

SQFを勝ち上がったチームは連戦。体力的には不利。富士通デンソーは前日の試合をチェックできるメリットもあるが、前日劇的な展開で勝ち上がってきたりすると勢いがつく側面もある。

1試合目はインサイドの強さを活かした日立ハイテクの勝ち上がりを予想。2試合目はデンソーが戦術本川で接戦を制するか。

 

昨シーズンはプレーオフを開催できずに打ち切りとなってしまっただけに、楽しみでならない。各チーム・選手がベストパフォーマンスを発揮してくれる事を期待したい。

Wリーグレギュラーシーズン最終週

今まで散々接戦が少ない、アップセットがないなどと言ってきましたが、最終週は東西とも熱戦が繰り広げられた。オンライン観戦だった2/27の試合を中心に3カードを振り返りたい。 

 

三菱電機×アイシンAW

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正直熱戦とは言えないが、私が今季追ってたので、まずはこちらから。

デンソーgame2後半で機能した布陣に近い酒井・梅木・髙原・加藤・宮下の5選手をスタメンに起用。機動力、流動性のあるオフェンスを意図した采配だろうが、狙いは的中。宮下選手がスクリーナーとなり、梅木選手、加藤選手が3ptシュートを沈めていった。三菱電機と比べてサイズで大きく劣るためゾーンディフェンスを多用し、リズムを乱した。上長選手、北川選手らを投入するタイミングも的確で三菱電機はアジャストに時間がかかり、1QはアイシンAWがリードを奪う。ここまではアイシンAWの策がハマったが、三菱電機としては相手のスタメンを見た時点でゾーンディフェンス多用は読めたことだろう。いつまでもアジャストできないわけが無い。アイシンAWのディフェンスを外に広げて、カットインやコーナーからの3pt、ミドルシュートで手堅く加点し、逆転に成功。アイシンAWはディフェンスで二の手三の手がなく、悪い流れはオフェンスにも。チームで形を作れず、ターンオーバーが増えた。FTを得ても成功率が悪く、嫌な流れだったが、何とか5点ビハインドでの折り返し。
よく戦っていたが、勿体ない場面も。1Q残り6秒ほどで梅木選手が渡邉選手にファール。個人ファール1つ目、チームファールは2つ。ならばあと2つはファールを使える。ファールをしている選手を下げ、その上で渡邉選手に密着マークすれば最後の失点は防げたかもしれない。こういうシチュエーションでは三菱電機は渡邉選手のアイソレーションでドライブもしくはミドルシュートを選択することが多い。実際そうだった。ファールの有効活用は日本女子全体の課題だが、そういう選手起用をしないコーチにも問題はある。また2Q終了直前で1.6秒からオフェンスだったが、特に策を講じることなく終了。1.6秒あれば点を取れる可能性も取られる可能性もある。
策を講じて成功するか否かよりも、ここで絶対点が欲しい/絶対に守り切りたいというメッセージをベンチから送ることが大切で、選手の気持ちも高まると思うが、残り時間少ないからといって漫然とやり過ごしてしまうのが強豪チームとの差ではないだろうか。
2Qでリードを広げられなかったことは成長だが、3Qも攻略されたはずのゾーンディフェンスで入り、タイムアウトや選手交代は後手後手。皇后杯準々決勝を思い出す流れだった。
ゾーンディフェンスが悪いわけではないが、それしか策がないに等しいとなると逃げ腰で戦っているようなものだ。

game2では近平選手をスタメンに戻し、正攻法で戦った。1Qは互角だったが、2Q以降じわじわと点差を広げられて、終わってみればgame1よりも点差をつけられ、アイシンAW女子バスケ部としての活動に終止符を打った。この試合の前に山梨が死力を尽くした戦いを見せ、勝利まであと一歩のところまでいっただけに残念な気持ちが強く残った一戦であった。

詳細は別記事で改めて書くが、試行錯誤が続き、シーズンが終わってしまった印象がある。来季からは会社の体制が変わる。このチームはどう変わるのか注目していきたい。

 

デンソー×トヨタ自動車

game1 デンソー●56-58○トヨタ自動車

game2 デンソー○76-66●トヨタ自動車

game1は西地区最高観客動員(推定)の中で行われた大一番。選手が「是非観に来てください」とかファンが友達を誘ったりなど気軽に出来ないご時世。招待枠も家族や友人で埋まるくらいの枠しかないようで、今までのように社員が観に来てるわけではない。リーグが特別なプロモーションをしているわけでもない。バスケットLIVEにしても試合配信以外は東地区のハイライト程度。チケット料金は1試合観るだけだと割高。でもこのカードだけ観客が多かった。実は女子バスケに注目している人って存在して、このカードはここ数年好ゲームばかり。そしてトヨタ自動車SNSや会場で様々な企画を立てたことが集客に繋がったのではないだろうか。

さて話を本題へ。西地区優勝には連勝が条件のデンソーは開始からディフェンスのエナジー全開。トヨタ自動車に7分弱得点を与えない完璧すぎる入り方で12-0のラン。しかしトヨタ自動車も点が入っていなくても攻守ともに攻め気のプレーを続け、外れても3ptを打ち続けた。チーム初得点以降それが実り、巻き返して、トヨタ自動車リードで前半を折り返し。両チームとも激しいディフェンスからの速いトランジションの連続でロースコアなことを感じさせなかった。
3Qも一進一退の攻防が続いたが、4Qで安間選手、長岡選手、三好選手の勝負強さが光った。一瞬の隙を突いて3ptを沈めた安間選手(最終盤のバックコートバイオレーションは肝を冷やしたが)、バスケットカウントを与えてしまった直後に3ptシュートを決めて挽回した長岡選手。決勝点とも言える3ptシュートを決めた三好選手は38分出場でおそらく今季最長だが、痺れる場面でよく決めた。このチームのポテンシャルを考えればこの試合も3ptシュート成功率は決して高くないが、打ち続けたからこそ勝負所で決めることが出来る。選手もコーチも攻めの姿勢が必要である。
ロースコアで進む展開はデンソーの望むところだったかもしれないが、本川選手のファールアウトは痛恨だったか。最後近藤選手のシュートが外れたのは結果論でしかないが、あの形を作れたことは評価に値するだろう。負けて強しな内容だった。
PGのローテーションなど両HCの駆け引きも見応えたっぷり。守り合いを楽しめる方にとっては間違いなく今季ベストゲームだろう。

game1で地区優勝を決めたトヨタ自動車はgame2開始前にエブリン選手、河村選手の欠場を発表、ソハナ選手が初スタメン。デンソー本川選手、さくら選手がベンチスタートだった。

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この試合は前日から一転トヨタ自動車のシュートが立ち上がりからよく決まり、13点リードで折り返した。後半は主力2人を休ませた相手に負けるわけにはいかないデンソーの気迫が上回ったか。スローインから激しくプレッシャーを掛け続け、リズムを崩すとトヨタ自動車の得点が止まり、4Q半ばで逆転。そのまま押し切った。トヨタ自動車・安間選手の負傷状況が気掛かりだが、試合後の選手たちに悲壮感はまったくなく、SFに向けて切り替えは出来ている様子だった。

 

日立ハイテク×富士通

白鞘選手の巧みなオフボールの動きを活かして、谷村選手のインサイドと北村選手、佐藤選手の3ptシュート。内外・柔剛バランスよく攻めたてる日立ハイテク
町田選手が組み立てる緻密で華麗なセットオフェンスと篠崎選手が忍者のごとく走るファストパスブレイクが鮮やかな富士通
対称的な両チームの対戦は前半高さで日立ハイテクが圧倒。3Q途中からオコエ選手の3ptシュートが当たり出したことでインサイドにスペースが生まれ、内尾選手が躍動。土壇場で追いついたが、最後のディフェンスでもう一踏ん張り出来ず敗れた。渡嘉敷選手とマッチアップしても負けないレベルにあるリーグ屈指のインサイドプレーヤー谷村選手相手ではどんな守り方をしてもやられていたかもしれないが、タイムアウトはあった。1点とれば良い日立ハイテクは谷村選手のパワープレーを選択する可能性が極めて高い。良いボールを入れさせない、あわよくば5秒バイオレーションを誘発できるようスロワーへのプレッシャーを強くできなかったか?守り切ったらオーバータイム。バイオレーションなら流れが途切れるので選手交代は可能。ならば星田選手にスロワーへのプレッシャーを掛けさせる、田中選手を入れてサイズを上げるなどディフェンス第一の5人を並べられたはず。手を尽くし切れていなかった感があったのは残念だった。

game2はチェック出来ていないが、game1以上の死闘で富士通関係者ファンにとっては感動的な試合だったようだ。

 

シャンソン化粧品がgame1でENEOSに勝利し、game2でも大接戦を演じたが、このカードもチェック出来ていない。する前に週末がやってきてしまいそうだが(笑)、プレーオフの楽しみが増したことは間違いない。QFで東西対決が実現したら盛り上がるかもしれない。個人的にはシャンソン化粧品の勝ち上がりに期待している(というか吉田選手のプレーが観たいです😊)

 

 

Wリーグ西地区後半戦第3週

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山梨×トヨタ自動車

トヨタ自動車は大差での勝利を収めたが、3ptシュートの試投数が少なく、成功率も低いのが気掛かり。永田選手が2試合とも2/3だが、打たされたシュートが決まっていたように感じた。山梨や前節のアイシンAW相手であればフィジカル、スピードの違いでインサイドを崩せる。ミドルシュートで手堅く得点を重ねられる。デンソー戦やプレーオフを見据えて、シューターに打たせる形を作り出すオフェンスがもっと見たかった感がある。またアグレッシブにいきすぎてファールが多く、FTからの失点を増やしてしまっている。相手との実力差があるので、タイムシェアで乗り切り、ファールアウトする選手は出さずに済んでいるにすぎない。

game2では3Qで2度のタイムアウトを取り、大差でもアーリーエントリーの佐藤選手、平野選手の出番はなかったことなどから不出来なことはモンデーロHCも理解しているのだろう。自分たちの意図していたことは出来なかったが、今後に向けて隠していることもあるかもしれない。ただこの内容では次節デンソーに連敗して、地区優勝を逃すこともあり得る。今週はモンデーロHCが練習を指揮するはずだ。ギアを入れ替えて臨んでもらいたい。

 

デンソー×アイシンAW

デンソーは連勝したもののトヨタ自動車同様内容は良くなかった。悪いなりに渡部選手、近藤選手、畠中選手といった脇役が試合を引き締めて、取りこぼしをしないのはさすがというべきか。マルコビッチHCも今週半ばにはチームに合流するようで、どう変わってくるか注目したい。

game2は特に良くなかったデンソー相手に連敗となったアイシンAW。好連携のディフェンスから良い形を作るもシュートが入らない・リバウンドも拾えない。逆に相手にイージーバスケットをされて、疲弊してしまう。チームでオフェンスの形が作れず、得点が止まり、焦って宮下選手、梅木選手の単騎攻めが増えてしまう。この悪循環で負け続けている。個で打開できるだけにどうしてもコーチ陣は頼ってしまいがちだが、時には休ませる勇気も必要。しかし交代やタイムアウトを取ったときには既に流れを奪うことが出来ない状態に陥っていることが多く、ベンチワークの改善も見られない。

最適解を導き出せずに今季あと2試合となってしまったが、デンソー戦では珍しく2試合とも同じスタメンで臨んだ。game2では5試合欠場していた加藤選手がチームに勢いをもたらした。三菱電機戦ではひと花咲かせられるか。

 

西地区もう1カードはトヨタ紡織×三菱電機だったが、トヨタ紡織が連敗。昨季は三菱電機デンソーに2勝、トヨタ自動車からも1勝したが、今季はこの3チームとの対戦で全敗するなど低迷した。アイシンAWは山梨に3勝、山梨はアイシンAWに1勝に留まり、AクラスとBクラスがハッキリと分かれてしまった。西地区はここまで鮮明に実力差が出るとは思っていなかったので、残念でならない。トヨタ紡織は地区優勝も可能な戦力、アイシンAW、山梨に関しても1〜4位チームとの16試合で3,4勝は可能なポテンシャルはあるのではないか。それが出来なかったのは戦術、戦略、交代策などコーチの力量差が主な原因だと思う。

あと2試合、アイシンAW、山梨はプレーオフ進出の望みは絶たれたが、意地を見せてほしい。負けるにしても最後の最後までどちらに転ぶか分からない試合を。

対する三菱電機トヨタ紡織してもプレーオフに向けて躓いていられない。双方のプライドをかけた大熱戦が2日間6試合続くことを願いたい。

 

最後に東地区のENEOS×日立ハイテクについて。

両者とも試合に出場できるコンディション、実力の選手が少なく、苦しい台所事情だが、ENEOSが連勝。game1はオーバータイムの末に、game2はWリーグでは珍しいレベルのハイスコアゲームを共にENEOSが決定力の違いを見せて、勝利した。ツインタワーを欠き制空権を握れないENEOSは岡本選手が2試合フル出場するなどどうしてもガード陣の負担が大きくなる。これまでの選手起用方針を考えるとフレッシュな戦力の台頭は考えづらく、主力選手の根性に賭けるしかない。日立ハイテクも谷村選手、北村選手の負担は大きいが、プレーオフセミファイナル・ファイナルは1勝1敗になれば3連戦。セミファイナルからファイナルまでの間隔も短い。一発勝負の皇后杯とは訳が違う。

トヨタ自動車デンソーは今季ENEOSに勝てなければあと10年は優勝出来ないと思うので、時代を変える意気込みで戦ってほしい。

 

Wリーグ西地区後半戦 アイシンAW×トヨタ自動車

このカードについて語る前に先週末のWリーグ全体の印象から。3週間空いてからの再開だったが、上位3チームと下位3チームの差が広がったように思う。デンソー×トヨタ紡織はgame1を3Qまで観戦したが、トヨタ紡織は今季加入選手がフィットしきれずにシーズンを終えてしまいそうだ。怪我なのか欠場している選手も何人かおり、補強の成果を示せていない。昨季2戦2勝だったデンソー皇后杯も含めて5戦5敗、点差も広がっている。スコアだけでの話にはなってしまうが、山梨や東地区も同様の傾向がある。東西とも星を分け合ったカードはなく、1桁点差もシャンソン×富士通のgame1のみ。

Bリーグ1部でもチーム間格差、地区間格差は指摘されているが、それでも先週末の試合で見ると9カード中3カードが1勝1敗。東地区上位×西地区下位の対戦が3カードあったが、三遠が渋谷に連勝、京都は宇都宮に連敗したものの2試合とも5点差以内である。また新リーグが発足するラグビーはなるべく拮抗した試合を増やすために1部リーグのチーム数を12とした(現状のトップリーグは16チーム)

スポーツ興行においてメインディッシュは試合、前菜やトッピング、デザートが少ない(セントラル開催の今季は皆無に等しい)Wリーグなら尚更である。得点がたくさん入るスポーツは両チームが得点を獲り合うことで盛り上がる。日本代表強化においてもマイナスであり、Wリーグも12チーム(来季からはアランマーレ秋田が新規参入し13チーム)が同じカテゴリーで戦うのはもはや無理があるのではないか。

 

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今季4,5回目となったこのカード。これまでの3回はアイシンAWが前半何とか喰らいついていたが、今回は2試合ともトヨタ自動車が終始圧倒。game2ではアイシンAW米谷選手が3ptシュートを8本沈める大活躍だったが、それでも得点は10しか増えず、失点は2しか減らなかった。その要因を探っていきたい。

 

3〜5番ポジションはほとんどの時間帯でトヨタ自動車が優位な状況にあった。サイズがあるだけでなく、フィジカル、クイックネスでも優っていた。デカくて強くて動き出し速い選手たちがインサイドを攻め続けたのだ。アイシンAWのコンタクトを受けてもびくともせずレイアップを決め切り、3ptシュートの精度は2試合通して悪くここは課題だが、セカンドチャンスもことごとくものにした。エブリン選手、長岡選手、河村選手がスタメンで出て、交代でステファニー選手、ソハナ選手、永田選手らが出てくるので、強度が全く落ちない。ものすごいスピードでレベルアップしているチームだと思う。

世界基準を知るコーチ、能力の高い選手、質量とも充実したスタッフが揃い、強度の高い練習が出来ているのだろう。同じように強度を上げても怪我のリスクが高まる。練習を長くやったからといって必ずしも成長するわけではない。長時間練習の弊害を指摘する声は多々出てきている。実際日本女子バスケでは今も長時間練習をしているチームはあるようで、怪我人が多いチームがいくつか思い当たる。チーム力の差を埋めるのは容易なことではない。

 

アイシンAWトヨタ自動車の3ptシュートを相当ケアしていたが、インサイドで着実に得点を重ねるとともにミドルレンジも制圧していた。これもフィジカルと関係してくるのだろうが、ノーマークを作り出し、確実に決めてくるのがトヨタ自動車であり、アイシンAWはエアボールになってしまう場面が何度も見られた。

 

  • オフボールでの動きの質の差

チームごとに戦術は異なり、一概には言えないが、トヨタ自動車の選手たちは常に動きが見られる。一度下がってボールを受けようとする動き、ハイピックなどでマークのズレを生み、スペースを作り出し、得点機会をうかがう。ディフェンスにおいてもボールがないところでも激しいディフェンスを仕掛ける。アイシンAWはまずドライブでズレを作るスタイルなのかもしれないが、トヨタ自動車のディフェンスが激しく、割って入っていけない。game2では酒井選手の小気味いいパスとハイピックから米谷選手のシュートシーンを作り出せていた。常に流動性を作り出していきたい。

 

  • この試合にかけるモチベーションの差

皇后杯準々決勝で前半苦戦したトヨタ自動車から相手を叩きのめす強い意思が感じられた。2試合とも同じスタメンで臨み、序盤から圧倒した。10月のリーグ戦ではgame1とgame2でスタメンを大幅に入れ替えたこともあったが、アイシンAW相手では最初から試す余裕はないと判断したのだろうか。

アイシンAWもコート上の選手は試合終了まで戦っていたが、ベンチワークは来季のチーム編成に向けてのセレクションでもしているかのように映った。降格がないリーグなので先を見据えることも大切ではあるが、プレーオフ進出が消滅したわけではない。トヨタ自動車に勝つための戦術、意図のある選手交代が見えなかった。

 

トヨタ自動車は3ptシュートの精度向上は継続の課題ではあるが、ソハナ選手という強力なセンターが既にフィットしており、40分通して高さを維持できる。思い切って打っていけば良い。皇后杯でも28分くらいまでは自分たちのペースで試合を運べていた。ベンチも含めてビビらずに戦えればたとえベストメンバーのENEOS相手でも勝てるレベルにあると思う。

アイシンAWは繰り返しになってしまうが、とにかく今季中に1つ勝つこと。これに尽きる。

 

 

 

 

男子代表メンバー予想

来週からカタールで開催されるアジアカップ予選の予備登録メンバー24名が発表された。おそらくこのメンバー全員がカタールに遠征はしない。というのも招集は1クラブ1名までという報道が出ているからだ。この第一報が出たときにファンの間では様々な意見が出ていたが、選手もクラブもファンも落としどころとして納得せざるを得ないだろう。

この状況でも出たい選手・不安を感じる選手それぞれ。こういう時だからこそ団結しようと思うクラブもあれば、怪我人が多く拒否できるなら拒否したいクラブもあるだろう。富樫選手や田中選手が観られないなら返金してほしいと思うファンもいるかもしれない。

しかし予選を行わなければ本戦も出来ない。男子バスケの場合、アジアカップとワールドカップ、オリンピックが繋がっている。パリ五輪にまで影響を及ぼしてしまう恐れもある。Bリーグクラブとしてはチーム成績を左右しかねないが、想定外の事態が起こることを想定し、降格をなしにしたシーズンなので、受け入れてもらいたい。推し選手が観られないのは辛いが、60試合もあるので、ここは我慢してほしい。新たな推しを見つける機会が出来たと考えるのはどうか。特別指定選手が数多く活躍している(BリーグやバスケットLIVEのSNSだけを見ると活躍している日本人は特別指定選手しかいないとおもってしまうくらいだ 笑)

20試合しかないこちらの界隈で代表戦とリーグ戦の日程が重複したら怒り狂いますけどね←

 

さて私の予想です。

篠山 富樫 ベンドラメ

古川 田中 安藤(周)マーフィー 西田 

ブラウン(or橋本(拓))チェンバース 今村

 永吉 橋本(晃)

竹内(公)(orロシター)シェーファー 太田

大企業がWリーグのチームを保有し続ける意義とは

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昨日自分の周り(っていってもSNSですが笑)で盛り上がってたネタに便乗して…

また湧いてくる人がいそうだけど、思い立ったが吉日ってことで書いてみます(笑)

 

Wリーグの在り方については疑問が山ほどありますが、まず大前提としてこの社会情勢下でも全チームが今季参戦していること・現時点では来季以降の活動休止や廃部等を打ち出しているチームがないことに感謝しなければいけないと思います。普段から不満垂れ流してるお前が言うなと思われそうですが(←)、1つ2つそういうチームが出てきたら、他に続くチームが出てきて、リーグは成り立ちません。なので各企業・クラブには敬意を。とは言っても感謝・敬意ばかりでは思考停止なので思ってることはある程度吐き出します(笑)

※今回のブログ内では所々おまいう案件が出てきますが、スルーしてください←

その上でWリーグが何故こうもクローズドな体質なのかを考えてみます。

 

女子スポーツをメジャー化することの難しさ

まずこれがあると思います。なでしこリーグのブームが一過性で終わってしまったこと、WEリーグ創設もあまり盛り上がってる感はないことが示しています。時期が悪かったとはいえリーグに大きな資本は入っておらず、アッと驚く大企業のクラブ経営参入もありませんでした。国外に目を向けてもWNBAの選手はあまりサラリーが良くないと聞きます(WCBAや昨年ベルギーで開催された五輪予選は観客多くて盛り上がってる印象ですが、選手のサラリーとか興行収入とかどうなんでしょうか…?)サッカーにしても女子はアメリカが本場ですが、今までに2回プロリーグを創設して潰れた過去があります。ヨーロッパでは近年ようやくビッグクラブが女子チームも保有し始めて、力を入れてきたところです。

サッカーにしてもバスケにしても共通しているのが男子だとメッシ選手、カリー選手とか詳しくない人でも知ってる選手がいるものですが、女子スポーツの選手だとなかなかいないですよね。日本国内限定で見てもハンドボールってバスケよりマイナースポーツだと思いますが、宮崎大輔選手って結構有名だと思うんですよね。五十嵐圭選手もBリーグ開幕前から有名でした。女子だとなかなか…

アスリートとして一般的に映えるのは男子なのでしょう。女子の取り上げられ方はいまだにこういう取り上げられ方をすることもあるのです。

その結果、日本では見るスポーツとしてのバスケがマイナーなこともあり(Bリーグも国内3大プロスポーツってだけで、世間の認知度とか全然ないことは緊急事態宣言下での収容制限を決める上で参考とされていないことから明白です)、内輪で盛り上がるイベントになってしまっているのが現状ではないのでしょうか。

 

 

ファンを増やすための努力はしている

ファンって必要なの?的な意見も見かけましたが、もちのロンで必要だし、協会やリーグはその努力をしています。じゃなかったら代表戦の男女共催とかオールスター開催、グッズ販売、昨季だとトレカ配布もしてましたが、そういうこと一切しませんよ。チームグッズを販売しているところもありますが、これも社内でやれば良い話ですよね。

なぜその努力をしているかというとバスケのステータスを上げたい。男女ともに競技人口が多いバスケにはポテンシャルがあります。Wリーグのステータスが上がれば学卒後もバスケを続けたいと思う女性が増えるでしょう。そうなればあとは好循環です(たぶん)また五輪など代表戦の露出度・注目度を高めたい意図もあるでしょう。会社・チームとしても代表選手、特にオリンピアンを輩出することは名誉です。

まだまだ少ないとはいえBリーグ開幕を機に国内でのバスケへの注目度は上がっています。女子代表チームは5人制アジアカップ4連覇、3人制ではU23W杯で優勝するなど競技力が高く、もっと人気にならないとおかしいのですが、それを妨げてる原因は明白です。

 

  • 広報体制のチーム間格差

=12チームしかないのに一枚岩ではない

手前味噌ですみませんが、アンテロープスは広報面に関してはプロクラブにも引けを取らないと思っています。

一方SNSアカウントすら持っていないチームやリーグ戦再開まであと一週間ほどの段階でトレーニングが出来ているのかすら分からないチームもあります。

こういうのってライト層を興ざめさせると思うんですよね。

  • 無料で観戦出来ることの是非

企業チームのホームゲームだと基本的に従業員の方は無料で観戦できるようです。それどころかチケットを取得する必要すらなく、当日入口で社員証を見せればOKの場合もあるようです。一般ファンと従業員では入口が違うチームもありました(笑)

バレーボールVリーグも観に行ったことありますが、こちらも従業員っぽい方は多いです。ただ半額とかでチケット買っていたり従業員用のファンクラブに入ってたり、要はお金払ったり手続きをしたりしているんですよ。なのでちゃんと観てます・応援してます。Wリーグ観に来てる従業員の方は乱暴な言い方すると暇つぶし風な方が多いんです。

観に来てくれることは嬉しい。全試合リーグ主管で従業員招待が基本ない今季の閑散とした客席を考えると招待客も必要である。従業員の立場からすると福利厚生の特典を活用して何が悪いんだって話で、悪いのは企業側。もっと言えば従業員の観戦は無料で良いと思われてしまっていること=競技としてのステータスの低さが悪いのです。

  • 身内優先 

無料で観戦できるだけでなく、従業員用エリアが確保されていて、グッズや飲み物・食べ物が貰える場合もあって、チケットを買っている一般ファンとは違いすぎる待遇差。昨季行なわれていた選手により、グッズ投げ込みでは従業員エリアしか見ていない選手が多かったり、試合後のインタビューではファンよりも会社や従業員へのお気持ち表明が優先されていたり。

これだけ閉ざされた世界ではファンは増えませんよね。私なんかはBリーグ開幕をキッカケにバスケにハマって、水島沙紀さんで女子バスケに魅了されたという土台があるので、嫌悪感はあるけど、応援する気持ちがマイナスになることはなかったです(いや多少のマイナスはありました←)でも特に好きなチームや選手が定まってなくて、近くでやってたから・友達に誘われたから観に来たって人が好きになるかと言われると至難の業ですよね。

 

と考えていると日本人なら誰でも知ってる大企業(中には海外でも有名な企業も)が女子バスケ部を保有し続けてくれるってありがたい話ではあります。オリンピアンを輩出することは名誉あることと書いたものの女子バスケでメダル獲得実績はなく、仮に昨夏五輪が開催されていたとしても(=渡嘉敷選手、本橋選手、吉田さん、大崎さんがいたとしても)銅メダルが精一杯だったと個人的には思っています(醒めててすみませんが…)

トヨタ自動車フィギュアスケート小塚崇彦選手、ファーストリテイリング錦織圭選手と契約しています。これらの会社にはスケート部やテニス部があるわけではなく、要はスポンサー契約です。相応の価値があるってことですけど、女子バスケにそれだけのブランド力はないです。その中で続けてくれてるってやっぱりひたすら感謝ですよ(不満はたっぷりあるけれど←)

 

協会やリーグも改革の意志はあるけど、スピードが遅い。大きな組織の動きを待っていては廃れる一方。今はこの社会情勢でやれることは限られているかもしれませんが、明けない夜はありません。5年もしたら何であの頃はあんなに皆ヒステリックになってたんだ?!となるはずです(願望込み)そのときに今のままでは見向きされません。

 

  • チームを運営する各企業に女子バスケはもっと投資価値がある対象だと思ってもらいたい
  • 色んなスポーツが好きな人・多趣味な人の余暇の選択肢にWリーグも含まれる。そういう人が増えてほしい
  • 絶対女王体制崩壊=戦国時代到来でパワーバランスを変えよう

 

選手やファンがやれることはこの辺りだと思います。批判は建設的に・具体的な提案も込みに。

まず1つ目、デンソーが分かりやすくて、女子バスケ部と女子バレーボール部を保有していますが、後者は従業員も有料で、ファンクラブがあって、昨季以前は地域イベントにも積極的に参加していました。試合時の飲食ブースは結構な数の出店があるようです。会社にも地域にも認められているのです。女子バレーボールは大昔に五輪で金メダル(でしたっけ?)を獲得した実績があって、その名残からか根強い人気があり、一概に比較はできませんが、女子バスケは一般ファンの数が少なく、選手の個性アピールも不足している感があります。まずは色んなスポーツ好きな人に女子バスケも面白いな〜と思ってもらえるようファンも選手も訴えかけていきたいですね。サポーターがJリーグ屈指のビッククラブと有名企業の交渉を仲介した(?)なんて話もあります。

我々もブロンコビリー世界の山ちゃんを利用しまくればオールスターだけでなく通年でスポンサードしてくれたりリーグ戦で冠試合してくれたりよりパイプが強くなるかもしれません。

 

そしてもっともっと大事なこと、一強は色々と弊害があって、国内2大タイトルを3季連続くらいでトヨタ自動車デンソーが争うくらいになれば…このご時世ドラスティックな改革は難しいし、やるのは賭けに近いですが、夜が明けた時にパワーバランスが変わっていれば一気に進むことでしょう。要は3年くらいで力を溜めて、そこからGO!ってことです。

 

協会やリーグの改革スピードを上げる、一部企業・チームが意識を変えざるを得ないと思うくらいに行動していきたい。

(まずは一強が崩れないことにはだけど……)