Wリーグ19-20 トヨタ自動車×アイシンAW

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両チームのファンではない人にとってはこれだけで充分伝わる試合だった。

 

まずアイシンAWから。

2試合通してチームとしてのコンセプトを感じることが出来なかった。中断期間に何をしていたのかと…

戦術的な部分は今に始まったことではないし、コーチングスタッフに変化がない以上は劇的な変化は望めないが、選手がもっと声を出すことは出来ないのだろうか。吉田亜沙美選手や髙田真希選手のような強烈なカリスマ性を持つ存在がいれば、他の選手はそこについていけば現状のコーチングスタッフ・ロスターでもそれなりの成績は残せるだろう。しかしそういう選手はなかなかいないし、育てられるものでもない。

ならばベンチメンバーも含めて皆で声を出す。オーバーなくらいに声を出して叱咤激励する。ブースター論のようになってしまうが(笑)、三菱電機が昨季躍進した要因の1つにはプレータイムに恵まれない那須選手や篠宮選手らの元気の良さがあると思う。それによりコート上の選手は絶対最後まで諦めない。

アイシンAWの選手の性格的な部分もあるのだろうが、一番はHCがチームの雰囲気を作れていないのではないか。このチームの選手はどこか怯えている。一つのミスで交代させられることが常であるチーム、しかも交代後はベンチでのお説教タイム。声が出なくなるのも当然で、変えるべきは何かとなるともう言いません(笑)

 

宮下選手は各チームのスカウティングが進み、代表活動の疲労もあると思うが、その中でも得点を重ねている。リーグ3ptランク1位の梅木選手はトヨタ自動車とのgame1でも高確率で沈めていた。皇后杯富士通を撃破した立役者の1人である板谷選手は引き続き好調を維持。game2では梅木選手が封じられる中で江良選手が気迫を見せた。
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選手は揃っているだけに非常に歯痒い。

 

続いてトヨタ自動車

再開後初戦ということもあってかgame1は慎重な試合運びに終始した感があった。

三好選手が試合立ち上がりで3ptシュートを決めてペースを掴み、18得点。水島選手は3pt3本に6アシストの活躍だったが、PG陣のアシストが少なく、チーム全体で3ptのアテンプトがやや少なめ。ブロックショットは0とスタッツ面からも読み取れるように各選手がコンディション等考えながらやれることを確認しながらプレーしている雰囲気で、特に後半は無難なプレー判断が多かったように思う。

そういう展開ながらターンオーバーは17を記録しており、決して褒められる試合内容ではなかった。

 

一転game2は皆がよく走った。立ち上がりから攻撃的なディフェンスを仕掛けて、梅木選手、宮下選手にシュートチャンスすら与えない。オフェンスでは果敢に仕掛けてバスケット・カウントを連発。1Qで試合を決めてしまった。

最終的にエブリン選手が26得点と代表戦での鬱憤を晴らした。三好選手14得点・5アシスト、安間選手13得点・4 アシスト、山本選手6得点とPG陣の得点・アシストが伸びた。

安間選手はダブルクラッチからの得点、3Qラストのブザービーターなど会場を沸かせた。f:id:antelopes_7_12_23:20200224163526j:image

チーム合計でもアシストが前日から5増えて、2ptシュートの成功率は60%超え、3ptシュートのアテンプトも5増え成功率はほぼ同じ。スティール10、ブロックショット8も含めて攻守に足が動いていた証だろう。

 

2試合合計約21分出場で9得点(うち3pt1本)を挙げた脇選手の成長が確かなものとなってきたことも見逃せない。トリノスアソシエイトHCが率いていた昨季から期待値の大きかった選手だが、怪我もありなかなか実力を発揮できずにいた。今季は12月の山梨戦、皇后杯で準々決勝でもプレータイムを伸ばしていたが、競った展開でも託せるレベルになってきたと思う。
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そして今週の一番のハイライトはアーリーエントリー選手のデビュー

2試合とも残り5分を切ったところで投入された平下選手、永田選手。平下選手は2試合ともミドルシュートを1本決めて、アシストも1つずつ記録。 

 

永田選手は持ち味のドライブで仕掛けるもgame1ではFTでの得点に留まった。game2でも仕掛け続けたが、なかなか決まらず。チームメイトがお膳立てする中で最後の最後に決めることができた。

試合後はこの安堵の表情。f:id:antelopes_7_12_23:20200224172337j:image

 

永田選手に関しては大学で多大な実績を残した選手であり、初戦からローテーションに加わるかと予想していたが、そうはいかなかった。平下選手も含めてこの2試合、特にgame2に関しては大差がついただけにもっとプレータイムを与えても良かったのかもしれない。

ただモンデーロHCは「競争が選手を育てる」という方針を持っているようで、チーム練習合流後半月から1ヶ月ほどの彼女たちに充分なプレータイムが与えられるほど甘い世界ではないということだろう。残り6試合限られた時間でアピールして、来季に繋げてほしい。

2人ともパリ五輪で日本代表を背負って欲しい選手であり、永田選手に関しては3x3東京五輪代表候補でもある。トヨタ自動車で競争を勝ち抜かなければ先は見えてこない切瑳琢磨することにより、チームの底上げにも繋がることを期待している。