Wリーグ西地区第6週game1

いつもは土日に試合見て、月か火で更新してますが、今日のトヨタ自動車×デンソーが予想してた通り、というか予想を更に上回る好ゲーム。だいぶ長くなりそうなので、早めに更新しておきます(笑)

 

先に他の2カードについて少し。

山梨クィーンビーズ×トヨタ紡織サンシャインラビッツ

両チームともディフェンスは素晴らしいが、5人の連動性あるオフェンスが少ない。トヨタ紡織は新加入選手の融合が上手く進んでおらず、豊富な駒を生かしきれていない。山梨は若原選手、富田選手が負傷によりベンチに下がる時間帯があったことも響いた。当然スカウティングもされ、相手の良さを消す戦い方になっている側面もあるだろうが、その中で飯島選手の活躍が光った。ロスターのバランスは非常に良いだけにシェフのサジ加減次第だ。

 

アイシンAWウィングス×三菱電機コアラーズ

三菱電機がハードなディフェンスでアイシンAWのタフショットを誘発して序盤から優勢に試合を進めた。ディフェンスの安定に加え、リバウンドでも分があるためアーリーオフェンスに繋げやすく、セカンドチャンスも拾える。トランジションを早くし、思い切って3pt、ミドルシュートを打てる(根本選手の3ptは2/12)。こうして手堅く得点を重ねていった。点差が詰まることはあったものの危なげない勝利だった。

アイシンAWは試行錯誤な選手起用が続く。開幕後2度のバイウィークを経ての7試合目だが、14選手中9選手にスタメン出場経験があるなど定まらない。競争原理が働いていることは良いが、選手ごとの役割などそろそろハッキリさせるところはハッキリさせないといけないだろう。個人的にはこの試合でも攻守にエナジーを出していた上長選手はもう少しプレータイムがあっても良いと思うのと現状では大エース・宮下選手の良さも発揮し切れていないのが勿体ないと思うところ(それでも19得点だが)。また相手にアジャストされたときのプランB、Cがないのも気になる。一度崩れると巻き返せないチームになってしまっている。

選手たちの勝利を求める姿勢、チームの一体感などは失われていない。11分出場で4リバウンド・きれいな合わせからの得点も記録した三間選手の存在はポジティブな要素たが、とにかく結果が欲しい。

 

トヨタ自動車アンテロープス×デンソーアイリス

両チームとも最初から最後までディフェンス強度が高い。特に3ptを打たせないディフェンスを徹底しており(トヨタ自動車5/17、デンソー1/7と試投数、成功数とも低調で最後まで進んだ)、それでいて点数も入る。見応えたっぷりで、緊張感高まる試合となり、序盤には馬瓜ステファニー選手、終盤には赤穂さくら選手とFT成功率の高い選手が2本連続で落とすなどプレーオフを見ているだった。

というのがザックリとしたレビューで、以下掘り下げていく。

トヨタ自動車は大きくて強くて速いデンソーのウィングにどう対抗するかと思っていたが、安間・三好・馬瓜エブリン・馬瓜ステファニー・長岡の5選手がスタメンと正攻法できた。その中で自らディフェンスは得意ではないと語る三好選手が本川選手をシャットアウト。ディフェンスでリズムを作ると三菱電機戦・山梨戦で不調だった3ptをソーシャルディスタンスを保ちながら仕留めて、流れはトヨタ自動車に。その後は両チームとも3ptを打つ場面を作り出すこともファストブレイクに持ち込むことも難しい状況だったが、トヨタ自動車インサイド陣のパワーを活かして積極的に仕掛けた。ディフェンスではダブルチームも織り交ぜて、コーナーに追い込むディフェンスで、ショットクロックオーバーを誘発。そのハードなディフェンスにデンソーの得点が止まる時間帯もあったが、オフボールの動きを活発にし、カットインからの得点で食らいついていった。名将たちの采配もさすがの一言。トヨタ自動車がディフェンス強度を維持するため平下選手、永田選手を投入するとデンソーは近藤選手、森選手とベテランで対抗。永田選手はディフェンスに追われた感もあったが、平下選手は3ptを2本決めるなど攻守にエネルギッシュなプレーを見せ、読みの鋭いディフェンスもあり、バスケIQの高さを印象づけた。

デンソーも森選手はプレータイムこそ少なかったものの近藤選手とのコンビネーションで得点を決めるなど前半を引き締めた。大一番・点差も開いていない中でルーキーを使うモンデーロHC、先々週移籍後初出場は果たしたもののガベージタイムでのプレーに留まった森選手を起用するマルコヴィッチHCも勝負師。采配の意図を推理するだけでも面白い試合だった(稲井選手の髪型が試合途中でお団子からポニーテールに変わったことは幻惑作戦とかHCの意図はないと思います←)

こうして前半は38-34のトヨタ自動車リードで折り返した。

 

両チームともタイムシェアをし、主力のバイタリティを維持し、後半もハードなディフェンス。探り探りのオフェンスで得点ペースはやや落ちた。トヨタ自動車インサイドでコツコツと得点を稼いでいたが、デンソーが前半は封じられた本川選手を中心に仕掛けてきた。トヨタ自動車のお株を奪うスローインからの速いオフェンスでトヨタ自動車インサイドをかき乱したかと思えば、一転チャンスメーク役に回った。45度からのアシストで髙田選手が得点を量産し始めて、トヨタ自動車はファールも嵩んでしまった。とは言っても安間選手が3ptを決めた時にはこの日最大の(たぶん)10点差があり、どちらかというとトヨタ自動車ペース。

ここからは策の打ち合いです。トヨタ自動車が山本選手、平下選手を投入するとデンソーは笠置選手、篠原選手、畠中選手。近藤選手含め外からのシュート力があるラインナップにするとトヨタ自動車は永田選手を投入したが、ハマったのはデンソー。髙田選手、本川選手を休ませられただけでなく、インサイド流動性を生み出した。こうしてデンソーが流れを手繰り寄せるまでいかないものの、掴みかけつつある中でマルコヴィッチHCが思い切った采配に打って出た。前半プレータイムがなかった渡部選手をコートに送り出した。しかも笠置選手とのツーガードではなく1人でコントロールする形での起用とは大胆そのものだったが、ファーストプレーで期待に応えた。臆せずアタックしたことが近藤選手の3ptに繋がった。デンソーにとってはこの日唯一の3ptだったが、非常に貴重なものになった。ここが第1のターニングポイント。この直後にタイムアウトを取り、スコアとしてもトヨタ自動車がリードしていたが、流れは完全にデンソー。コントロールが安間選手と山本選手で目まぐるしく変わって不安定になるなどモンデーロHCの采配が後手を踏む中で平下選手、永田選手は仕掛けてはいるもののどこか怖気づいていた。永田選手はディフェンスでも本川選手に翻弄された。もう少し早く栗原選手を投入しても良かったのかもしれない。

 

4Qもトヨタ自動車のリードが続くが、何となくデンソーペース。長岡選手が負傷により一度ベンチに下がったこともあり、選手のやりくりがより難しくなった。長岡選手は治療を終えて戻れそうな雰囲気だったが、残り5:30ほどのタイムアウト明けには山本・三好・栗原・エブリン・ステファニーという見慣れないラインナップを敷いた。これも駆け引きの一種なのだろうか。ただデンソーはファールトラブルでベンチに下がっていたひまわり選手はじめ皆体力が残っており、トヨタ自動車としては辛かった。

そして第2のターニングポイントは残り4:23からの展開。さくら選手がFTを2本落として、トヨタ自動車はパス回しから栗原選手が3ptを放つも決まらず。デンソーがリバウンドを拾い、本川選手→ひまわり選手で電光石火の得点。ここでデンソーが逆転(してたらしい笑)その直後にトヨタ自動車もステファニー選手がスピンムーブからバスケットカウントを獲得し、FTも決めているが、この日ほとんど見られなかった鮮やかなファストブレイクはダメージを与えたのではないか。

その後長岡選手が戻り、痛みを感じさせないプレーを見せたが、FTを2本とも外した。次のポゼッションでデンソー髙田選手がFTを1本決め、2本目は外すもセカンドチャンスを決めて、71-68。このポゼッションでデンソーが実質初めてのリードにして勝負あり。

※実質初めてじゃないけど、まぁそんな感じです。第3のターニングポイント。

トヨタ自動車にもその後チャンスはあったが、選手たちが疲労困憊。残り20秒で髙田選手がキープしているところでファールゲームにいくべきだったが、その判断が出来る力が残っていなかった。

トヨタ自動車としては一昨シーズンのSFgame3を思わせるやり切れなさが残る最終盤だったが、今シーズンのWリーグベストゲームであることに異論を唱える人はいないと思う。90分ほどで終わってしまうことも多いWリーグの試合において次の試合の開始が5分遅れるくらいなので、映像もスタッツも見なくても好ゲームであったことは分かっていただけるだろう。私もトヨタ自動車が負けはしたものの非常に見応えのある試合で楽しかった。

 

最後にスタッツを元に考えたい。

○3pt

○FT

○ファール数

○ターンオーバー数

 

ファールは両チームともWリーグ基準だと多めで、3ptはデンソーは1本しか決められていない。しかし勝ったのはデンソー

4Qでターンオーバーが増えたこと、FTを2本とも外すシーンが複数あったこと、シュートファールをもらったときにバスケットカウントまで持ち込んだ回数が少なかったことが敗因だろうか。

 

そしてプレータイムの比較。

  • 三好選手 31分
  • 安間選手 33分
  • ステファニー選手 36分
  • 山本選手 6分
  • 永田選手 8分
  • 平下選手 9分

 

  • 稲井選手 24分
  • 本川選手 29分
  • 髙田選手 33分
  • 笠置選手 13分
  • 近藤選手 18分
  • 畠中選手 19分

主力に余力を残しつつ、PGでゲームに変化をつけ、ベテランが流れを食い止めたデンソーと職人たちを前にして若手が勝負所でアグレッシブさを出せなかったトヨタ自動車の構図か。

この試合のMVPは非常に迷うところだ。普通に考えれば25得点の髙田選手だが、インパクトでいえば7アシストの本川選手。プレータイムは短いが、渡部選手の活躍も見逃せず、渡部選手を投入したマルコヴィッチHCがMVPということでお願いします。

そのマルコヴィッチHCがWリーグを肌で感じ、game2はさらに色んな手を打ってくるだろう。トヨタ自動車としては絶対に連敗は出来ない。game1でDNPだった選手が一転スタメンで起用されても両指揮官だと何ら不思議ではない(西澤選手が見たいけど、終始ジャケット羽織ってたから、今週は欠場かな…)更に白熱するであろうgame2絶対に見逃せない。今季ベストゲームを1日で更新してほしい。