入りすぎたスリー 〜女子バスケW杯予選 ボスニア・ヘルツェゴビナ×日本〜

まずは3カ国が最後まで戦い抜いて、W杯出場権を獲得したことに敬意を表したい。ベラルーシ欧州選手権や五輪予選での健闘を祈りたい。

 

さてボスニア・ヘルツェゴビナ×日本、良い試合だった。日本の持ち味が発揮できた試合だった。

しかし前日の大敗から建て直したボスニア・ヘルツェゴビナが一枚上手だった。そして何より#35ジョンケル・ジョーンズが怪物すぎた。

 

日本は3ptシュートが入りすぎた。前半で12/24。国際試合だと1試合トータルで24本打たないチームも多いと思うが、前半だけでこれだけ打って、かつ半分決めた。これは日本の持ち味であり褒められるべき結果なのだが、一方で2ptシュートは前半3/12に留まった。

ボスニア・ヘルツェゴビナは3ptシュートを打たせていたのではないか。特に赤穂選手のアウトサイドは空けていたように思う。

個人的にはスリーシュートは水物・最後まで高確率で入り続けることはほぼないと思っている。ボスニア・ヘルツェゴビナも同じ考えだったかは分からかいが(笑)、機動力ある日本に対してアウトサイドを完全に抑えようとしても不可能。実際2ptシュートは試合トータルでも8/30と封じられ、勝負どころで3ptシュートを沈めることが出来なかった。

またオフェンスの形にしてもハーフコートでピックを織り交ぜての3ptシュートが多かった。オプションが増えたのは良いことだが、トランジションからの3ptシュート、合わせのプレーなど日本らしい速いオフェンスは影を潜めた。その中でも前半最後で山本選手の3ptが決まるなど上げ潮ムードだったので、修正せず後半に入ってしまったように感じた。

スローペース・インサイド勝負とボスニア・ヘルツェゴビナの土俵での戦いとなり、連戦だった相手の方が終盤足が動いていた(ステファニー選手がトラベリングした場面にしてもボスニア・ヘルツェゴビナの守備陣形が整っていた一方で日本はステファニー選手が押し上げられていなかった)

ホーム・中2日・本来スタミナ自慢の日本が代表チームとしては初の大陸外遠征となるボスニア・ヘルツェゴビナに対して終盤身体がついていかなかった要因はみっちり分析してほしい。

 

ディフェンスではジョーンズ選手対策の意思統一が図れていなかったように感じる。

198センチでクイックネスあって、3ptシュートの精度高く、ドライブ出来て、パス捌くこともできる。FTも落とさない。要は渡嘉敷選手より高くて幅があって、ステファニー選手のようなプレーをするスーパーな選手。そんな選手はアメリカ代表にもいない。

Wリーグや日本代表合宿であの感覚を分からないのは勿論のこと、ボスニア・ヘルツェゴビナと対戦しない限りは経験できないのでどうしようもないといえばそうなのだが(笑)、徹底的に守るところ・割り切るところの判断が統一されていなかったか。また完全にペイントエリアを支配され見送るしかない場面でファールをしてしまうもっないないバスケットカウント献上も見られた。

ジョーンズ選手封じ以外の場面ではダブルチームやトラップを仕掛けても行ききれない・奪い切れずゴール下ガラ空きの場面が何度かあり、ディフェンスの連携には大きな課題が残った。

ボスニア・ヘルツェゴビナとは当然今後も対戦する可能性はあるが、次からはジョーンズ選手にもっと粘っこく対応したい。スーパースターがゆえに周りと噛み合わず苛立ってることもある。ディフェンスはあまり好きではなさそうなので、2Qで宮崎選手が見せたようなスピードのミスマッチを突いたドライブインを増やしていくべき。決まらなくても・ブロックされても彼女のペースは乱せるだろうし、ファールを貰えればなお良い。

 

2試合を戦い終えて思ったこととして東京五輪銀メダルの日本はものすごく研究されている。研究される対象になっているのは誇らしいが、今後それを上回る戦術・戦略・スキルをどう作っていくか。

  • ディフェンス

東京五輪では髙田選手、アジアカップオコエ選手がインサイドの柱となり結果を出したが、今後は渡嘉敷選手ともう1人190センチクラスの選手が必要か。現状は梅沢選手もしくは留学生選手の帰化という選択肢しかないが、帰化に関しては選手本人が希望していても簡単に事が進むことではない。

梅沢選手、もっと上手くなれそうなチームに移籍しないだろうか

 

  • オフェンス

恩塚体制ではセットオフェンスはほぼ無いようだが、これはコーチ陣に型を作る能力がないのか落とし込む能力がないのかあえてセットを組まず選手に任せているのか。

コーチ陣の能力の問題だとしたらすぐに戦術担当ACを招聘しなければならない。個人的にはあえて今は選手に任せていると信じているし、ゲームコントロールに長けたPGの不在も影響しているはず。今後はバタバタオフェンスはなくなるはず!

 

  • 選手選考

PGは安間選手を一度試して欲しい(今回もその可能性は探っていたようだが)スピードあって点とれて強気なゲームコントロールも光る恩塚HCの志向するスタイルに一番合いそうなPGだと思う。コントロール特化型として町田選手はやはり必要不可欠な存在。ただ春夏はWNBAワシントン・ミスティックスでプレーすることが発表され、日本代表参加となるとW杯直前になってしまうだろう。合宿で連携を高めていきたいなら藤岡選手、小池選手がいる。

全体的に言えることとしてフィジカルの強い選手でないと今後日本代表に割って入るのは厳しい。女子サッカーなでしこジャパンの場合、WEリーグ3強(INAC神戸浦和レッズレディース日テレ・ベレーザ)と海外クラブもしくは過去にそれらの所属歴がある選手たちが選ばれている。女子バスケ代表もWリーグ昨シーズン4強とメダリストから選ばれる傾向が強くなっていきそうな気がする。4強と5位以下ではフィジカルが段違いで、上手い選手はたくさんいるが、国際舞台でスキルを発揮できるとは思えないからだ。

代表を目指す選手はプレータイム減を覚悟で4強や海外に移籍する流れになっていくかもしれない。そうなるとやはり2部制導入が必要だろう(いつもの話ですみませんw)

 

恩塚体制初黒星となったボスニア・ヘルツェゴビナ戦だったが、負けたからこそ課題や足りないところが明確になったと思う。手も足も出ずに完敗したわけでもないので、この負けを糧にW杯へ進んでいってほしい。